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会計学は何のための学問

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2020年12月の記事一覧

企業分析をする上での最低限の簿記知識は?:最初の簿記一巡の取引までマスターしよう

「企業分析をする上で最低限の簿記の知識はどれぐらいか?」

これ、なかなか難しい問いです。

というのも簿記の知識、スキルはあればあるほどよいからです。

正直、私は簿記自体はそんなに得意ではないです。

仕組みは知っていますが、たとえば、簿記、会計士試験の連結の問題を出されてても時間内に解けないと思います(答えをみれば全部仕組みは分かりますが)。

試験問題で出される問題は、総合的な簿記力を問う

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仮説⇔検証の往復こそが仮説思考:仮説思考×事業モデルの企業分析法

仮説⇔検証の往復こそが仮説思考:仮説思考×事業モデルの企業分析法

仮説って自分が思いたいことを思ってその証拠を探せばいいんですよね?

こんな質問が来ました。

これたまに(よく)ありますよね。

自分が実証したいことのデータを集めて、都合の悪い情報は入れないで実証したりすること(もしくは限りなくその影響を無視して行うこと)。

理論は単純化されていますが、現実は複雑です。

つまり複雑な現実を映しだすためには、他の情報ではなく注目したい情報にフォーカスを当てる

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会計学の基礎的なスキルセット:学習曲線を意識しながら我慢強く学ぼう

会計学の基礎的なスキルセット:学習曲線を意識しながら我慢強く学ぼう

会計学を学ぶためのスキルセットって何でしょうか?

スキルセットとは、職種や役職に必要なひとまとまりの知識や能力を指します。

今や既存の知識、技能だけで勝負するという時代ではなく、最低限の知識を身に着けた後は、学び方を学ぶ能力を培うことが必要である、と感じています。

VUCA時代ともいわれる現代、既存の知識、技能はすぐに陳腐化します。

*VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・

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世界標準で物事を考えて、学問領域を超える会計学

故・平松一夫先生のことを考えています。

平松一夫先生は私にとっての恩師であり、指導教員です。

さて、平松先生は日本の国際的な立場、意見を発信するということに後半生は力を注がれてきました。

前半生では、外部情報会計に関する書籍を出版されています。

外部情報会計の研究はいわゆる意思決定有用性研究とその後繋がる話でしたので、こちらの方面に注力されれば、いわゆる、平松理論というのが実証されたのでは

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仮説を立てて、ビジネスモデルを意識して分析を行う:Zoom Video Communicationsを事例に

仮説を立てて、ビジネスモデルを意識して分析を行う:Zoom Video Communicationsを事例に

企業のビジネスモデルを意識するためにはどうしたらよいのでしょうか?

まず必要なのは仮説思考でしょう。

いきなり答えを探しにいってもおそらく混乱します。

この仮説思考は、言ってみれば、コナン君になってください、ということです。

コナン君(シャーロックホームズでもいいですけど)は、事件が起きた時に、色々な見立てを行って犯人を捜しますよね。

犯人を捜すわけではないですけど、物事について自分なり

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キャッシュ化までの流れをイメージする:飲食店をケースに考える

キャッシュ化までの流れをイメージする:飲食店をケースに考える

「事業の投資⇒キャッシュ回収」

事業を続けていく上での基本です。

事業を投資しているにも関わらずキャッシュの回収が出来ない。

それは最悪の事態です。

企業は慈善事業体ではありません。事業の投資をキャッシュとして回収できなければ倒産します。

今、新型コロナかで起きているのは、事業の投資が予定通り回収できなくなかったことによるキャッシュの不足で倒産、もしくは事業の縮小という状態です。

なぜ

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学生からの質問に答える「なぜマニュアルを作ってくれないんですか?」VUCA時代に必要な「想像力×創造力」

学生からの質問に答える「なぜマニュアルを作ってくれないんですか?」VUCA時代に必要な「想像力×創造力」

会計学総論の講義の中では、業界地図を使いながら自分たちで好きな業界を選び、その中で、3社の国内上場企業を調べるワークをやっています。

ワークを行うだけでなく、会計の教科書的な内容や個別のケースの話もしながら、分析を少しずつ進めるやり方です。

基本的に分析のやり方のフレームワークは示していきますが、細かいことは指示しません。

どうやればいいのか?

良い企業とはどう判断すればいいのか?

こう

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