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仮説を立てて、ビジネスモデルを意識して分析を行う:Zoom Video Communicationsを事例に

企業のビジネスモデルを意識するためにはどうしたらよいのでしょうか?

まず必要なのは仮説思考でしょう。

いきなり答えを探しにいってもおそらく混乱します。

この仮説思考は、言ってみれば、コナン君になってください、ということです。

コナン君(シャーロックホームズでもいいですけど)は、事件が起きた時に、色々な見立てを行って犯人を捜しますよね。

犯人を捜すわけではないですけど、物事について自分なりの推測をして、考えてみる、ということが仮説思考です。

仮説思考の特徴は試行錯誤をすることにあります。あれでもないこれでもないと巡らせていきます。

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事件発生⇒仮説に基づいて推測する⇒ 試行錯誤する⇒犯人を突き止める

というパターンですね。

さて、企業分析は「犯人捜し」をするわけではないので少し違うように感じるかもしれませんが、考え方は似ています。

「見立て」を行う、つまり仮説が必要な訳です。

同時に必要なのはビジネスモデルを意識することです。

この企業はどうやってお金を稼いでいるのか?

これを意識することです。

今回はZoom Video Communicationsをみてみようと思います。

言わずとしてたZOOM!ですね。

ZOOMはコロナ禍で知名度を上げ、かつ売り上げを伸ばした代表的な企業でしょう。このZOOMについて考える前にまずはこの業界のビジネスモデルを意識してみましょう。

キャッシュ(現金)を得ずして事業は成り立ちません。ソフトウェア・クラウド系サービスでよくあるパターンは以下のような図になります。

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顧客としては有料会員と無料会員がいます。無料会員に対しては広告を希望する企業に広告を出させることを認可することを通じて、リターンを得ます。無料会員は広告をみないと利用できない構造になっています。

この構図はソフトウェア企業だけではなく、YouTube、Facebook、Twitterも同じです。広告が入ることによって無料で使ってもらうビジネスモデルが成り立ちます。

ZOOMの事例でいえば、今回のコロナ禍で売上を増やしているのではないかと予想されます。特に売り上げを増やしているのが4月末で無料ランセンスの使用制限が終了して以降と考えることが出来ます。

ZOOMも有料と無料会員に分かれていますが、こうしたビジネスモデルとは異なります。

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ZOOMは広告収入を基本的な収入ベースにしていません。時間制限や機能制限をしている無料会員から有料会員への誘導を図るインセンティブは弱いかもしれません。ただ、ZOOMが教育機関で多く採用されたのは、使いやすさだけではなく、広告が入ってこない、という点にもあるでしょう。

多くの人に広く利用してもらうというZOOMの戦略は当たっている、ことになります。

4月30日までZOOMを教育関係者に無料提供することを決めていました。ということは4月末まではとりあえず無料で利用してその後、有料会員に切り替えたということが想定されます。この推移を追ってみましょう。

こちらは2-4月の期間の決算結果です。

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繰り返し確認してきたように、ZOOMの利用者が増えて売上高が増えたのではないかと想定がされます。その通りの結果が出ています。

ZOOMの四半期(2-4月)の決算では、売上高(Revneues)は2.5倍程度増加しています。教育関係者はこの期間、無料で使えたわけですが、それ以外の人で有料ライセンスを購入したという人も相当程度いたことが分かります。


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そして、5~7月に入るとさらに伸びています。この時点で売上高の伸びは4倍です。無料会員から有料会員への切り替えが進んだことが分かります。

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ここから売り上げがどこまで伸びているかというと鈍化傾向です。

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上の結果は8~10月のデータです。前年同期比の結果と比較すると4.7倍増加しています。ただ、9月の累積でみると4.07倍程度です。確かに増加傾向には変わりはないのですが、トータルで4倍程度の伸びですから、どこか物足りなさも感じます。

周りでZOOMを使っている!という人の増加割合と売上高の増加割合が一致しない感じがします。

ここまで考えた結果をまとめてみましょう。

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こうした見立てができます。ZOOMは確かに売上高を伸ばしたのですが、思った以上ではない、ということです。特定の有料ライセンスの人にぶら下がる形で無料ライセンスの人が使っているという状況になっているので、今後爆発的に収益を伸ばしていくというのは難しいビジネスモデルかもしれません。

となるともう一歩先に成長するためには、類似の企業を買収するか、新しい画期的なサービスを提供するかのどちらかが必要になります。

セキュリティ強化に関連する企業を買収してはいますがインパクトはそれほどでもない気がします。

かつてFacebookはInstagramを、GoogleはYouTubeを買収しました。プラットフォーマー、つまりその分野における絶対的な企業として君臨する(言い換えれば競争優位を獲得する)ためにはよりインパクトのある投資が必要になってきます。

直近でインパクトある買収といえばSlackが買収されたことですね。

買収先のセールスフォースはなじみがない人もいるかもしれませんが、急速に成長しているクラウドサービスを提供している企業です。同社は米国企業で、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業です。ビジネスアプリケーションおよびクラウドプラットフォームをインターネット経由で提供してます。

クラウドベースで顧客管理を出来る。つまり経営管理が出来る同社とスラックとの相性、つまりシナジーを期待しての買収です。

ZOOMはこうしたインパクトのある買収を出来るかどうかが今後の成長の鍵でしょう。もしくはZOOM自体が他社に買収される、ということもありえるかもしれません。ここまで無料会員も含めた顧客を増やしたZOOMを欲しいという企業はいるでしょう。ひょっとすると他社に買収されてもOKと考えて、他社の買収を控えているのかもしれません。

当然ですが、買収される場合は、買収時の価格に上乗せされて買収先企業に買われます。となるとZOOMの株を買っておくのもいいかも…しれませんね。

いずれにしても今のところZOOMからは積極的な新規の投資の動きは見えません。次のZOOMの一手は何か?を考えてみると面白いですね。

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