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#短編小説
ショートストーリー「空飛ぶ少年兵」
眠れなかった。
ベッドの上で毛布にくるまってから何時間も経つのに、まだぼくは夢の世界を訪れることができなかった。
きっと、幽霊がいっぱい出てくる映画を観てしまったせいだ。就寝前にそんなものを観るから、恐怖が眠気を上回っているのだ。
まるで深い深い森の奥で、捨てられておびえた子犬になった気分だ。
冴えた目で、天窓に四角く切り取られた星空を見つめながら、そんなことを思った。
ふっと短く
ショートストーリー「絶対に名は明かせない」
喋ってみると、名無しの権兵衛は意外といいやつだった。
彼の部屋は僕の隣で、以前から気になる存在ではあった。
だって、決して自分の名前を明かそうとしない同学年の隣人なんて、気にならないはずがない。
だけど同時に、決して自分の名前を明かそうとしない彼のその特殊性は、周りから一定の距離を置く役割を果たしていた。事実、彼は寮の中で浮いていた。
だけどひょんなことから、僕は彼と親しくなった。
【ショートショート】中華料理店にて
営業先との商談に失敗した帰り、俺と高橋は近くにある中華料理店に寄った。
失敗して落ち込んだとしても、空腹は満たす必要がある。
そうでなければ、午後から始まる別の営業は乗り越えられないのだ。
俺たちは店の一番奥にある壁際のテーブル席に腰を下ろし、俺は五目そばと炒飯、高橋は酢豚と天津飯を注文した。
小ぢんまりとした店内には、カウンター席と四つのテーブル席が配置されており、俺たちの他に客
ユウヒ飲料の自動販売機【ショートショート】
自動販売機の扉を開けると、その向こうには『昭和40年代の世界』が広がっていた。
* * *
本日9台目になる自動販売機の飲料を補充し、集金を終えた俺は、トラックに乗り込み、車を発進させた。
車内のラジオからは、ブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』が流れている。
時刻は午後1時半過ぎ。道は空いていて、もう5回は信号に捕まっていない。
俺は自然と『ボーン・
【ショートストーリー】逆回転寿司の逆襲
ここ最近、逆回転寿司で客による不正が多発していた。食べ終わった皿がレーンに戻されているという事案が発生しているのだ。
それも一皿や二皿ではない。多い日だと十皿を超えることもある。
しかしその不正が発覚してから数週間が経過しても、犯人の特定にはまだ至っていなかった。
警察沙汰にはしたくなかった店主のコオリヤマは、店内に注意喚起の紙を貼ることにした。
だが、大した効果は見られなかった。タチの