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わたしたちはどうやって「感情」が「感情」であることを知るのだろう バーバラ・H.ローゼンワイン+リッカルド・クリスティアーニ『感情史とは何か』刊行記念 訳者陣厳選フェアリスト<協力:岩波書店>
オセローが妻の寝室に入ってくる時、妻が理解するのは彼の言葉ではなく話し方の意味である。「お前の目が見たい」、「俺の顔を見ろ」と彼は言う。これらの台詞は、愛情を込めて言われるならば恋人の哀願でもあり得ただろう。だが、妻デズデモーナには分別があり、理由は分からないながら、彼の言葉の裏側に「憤激」があることを理解する。オセローが泣き始めると妻は尋ねる。「ああ、つらい、どうして泣いていらっしゃるの?」 これらは400年ほど前に書かれた戯曲の登場人物たちの言葉であり、シェイクスピ
デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ ――クソどうでもいい仕事の理論』 刊行記念 訳者陣厳選フェアリスト<協力:岩波書店>
なぜ、やりがいを感じずに働く人が多いのか。なぜ、ムダで無意味な仕事が増えているのか。なぜ、社会のためになる職業ほど給与が低いのか。 謎を解く鍵はブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)にあった! 数々の証言に基づき、人文知を駆使しながら、私たちの世界をむしばむブルシット・ジョブの実態と弊害とメカニズムを解明、理論化。 ひとの役に立つ仕事に正当な対価を払い、互いをケアするまっとうな経済社会を築くため、仕事のほんとうの「価値」を再考する。 ※書名をクリックすると「大学生協
【2020何を考えていたフェア】野中モモの「ZINE」 小さな私のメディアを作る(晶文社) コメント 早大生協戸山店・ブックセンター :マツオ
野中モモ 著 ISBN 9784794971715 本体価格 1,500円+税 2020年3月 発行 「「読む人」はいつだって「作る人」だ。」 いよいよ出歩くのも難しく、自分の部屋から出づらくなってきた2020年3月、こんな狭い場所で一体何をすればいいのか…。クリエイティブなこと(そう言うと大層な感じだけども)、下手でも、とにかく手を動かしてみることが大切なのかな?と思ったときに、書店にやって来てくれた。 ZINEの面白さはもちろん、「私はここにいますよ」と込めなが
【2020何を考えていたフェア】グローバル時代のアメリカ—冷戦時代から21世紀—(岩波新書) コメント:一橋大学 大島奈々さん
古矢旬 著 ISBN 9784004317739 本体価格 900円+税 2020年8月 発行 まずコロナ禍の読書についてですが、緊急事態宣言が出ていた時期は近所の書店も営業しておらず、なかなか本を買うこともありませんでした。むしろそれが数年前に読んだ小説や“積ん読”状態だった本を読むきっかけとなり、例えば高校生の頃に読んだ遠藤周作の『沈黙』は時間が経ってから再読するとまた感じ方も違うことに気付かされました。(『沈黙』もご紹介したいところですが、それはまたの機会に。)
【2020何を考えていたフェア】経済学を味わう ―東大1、2年生に大人気の授業(日本評論社) コメント:日本評論社 荻原弘和さん
市村英彦・岡崎哲二・佐藤泰裕・松井彰彦 編 ISBN 9784535559554 本体価格 1,800円 2020年4月 発行 コロナ禍、通学できない学生の方々を思うと胸が痛いです。本来、先生・学友たちと自由に議論し、学問を深めるための下地を固めていく楽しみが大学にはあると思うからです。その“楽しみ”を全国の大学生に味わってもらいたい。その思いが本書の根底にあります。 経済は、これからどう変わっていくのか。「感染防止と経済活動の両立」など、“経済”への関心が高まっている