【2020何を考えていたフェア】グローバル時代のアメリカ—冷戦時代から21世紀—(岩波新書) コメント:一橋大学 大島奈々さん

33_ブックフェア_大島

古矢旬 著
ISBN 9784004317739 本体価格 900円+税 2020年8月 発行

まずコロナ禍の読書についてですが、緊急事態宣言が出ていた時期は近所の書店も営業しておらず、なかなか本を買うこともありませんでした。むしろそれが数年前に読んだ小説や“積ん読”状態だった本を読むきっかけとなり、例えば高校生の頃に読んだ遠藤周作の『沈黙』は時間が経ってから再読するとまた感じ方も違うことに気付かされました。(『沈黙』もご紹介したいところですが、それはまたの機会に。)
学期が始まるとなかなか参考書以外の本を読む時間は確保できなくなりましたが、アメリカ史関係の授業をとっていたこと、そして大統領選が近かったこともあり、岩波新書のアメリカ合衆国史シリーズは一気に読んでしまいました。今回ご紹介したいのは、その中でも古矢旬著『グローバル時代のアメリカ』です。こちらは今年8月に出たばかりで、冷戦期から現在までの通史を網羅しています。もちろん直近のオバマ政権・トランプ政権についての記述もあり、対照的に語られることの多い両氏について、著者は違いだけでなく「アウトサイダー性」という共通点にも着目しています。この二人の大統領の誕生は、レーガン政権以来続いてきた「グローバル化」「新自由主義」「多文化主義的な傾向の進展」という長期的なトレンドの限界を表しているのだといいます。今回の大統領選に関してはトランプ氏やバイデン氏の言動にばかり注目してしまいがちですが、それ以前の共和党政権・民主党政権のあり方や、民主主義のあり方の変化を知ることで、新たな視点を得ることができるのではないでしょうか。
私はこのシリーズを読んで、現在のアメリカの背景について知らないことがまだまだ多いということに気付かされ、今後より深く学んでいきたいと考えています。今までアメリカや歴史には興味がなかったが大統領選や人種・民族差別問題、移民政策などのニュースに関心を持っているという方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
(一橋大学 社会学部2年 大島奈々さん)

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