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あえて自治体の「お試し暮らし住宅」を利用するワケ

2022年7月現在、お試し暮らしも8ヶ月目に突入。関東の自宅を引払ったあとに、お試し暮らし住宅を利用した自治体は6つ。関東在住中に利用したお試し暮らしも含めると、合計9自治体のお試し暮らし住宅を利用してきた。

「私たちは自宅を引き払って車一台に荷物積んで各地を回っている」と伝えると、よく聞き返されるのが


ADDressを利用してるの?」
バンライフ?」

という寝泊まりする場所についてだ。


私たちが利用しているのは、住まいのサブスクサービスでも車中泊でもなく、自治体の「お試し暮らし住宅(移住体験住宅)」。

自治体により利用条件が違い、入居期間も異なるのだが、私たちの場合は1ヶ月以上入居できる物件を選んでいる。


では、私たちがお試し暮らし住宅を利用する理由を説明しよう。

※これ以降、お試し暮らし住宅を体験住宅と呼ぶ。

●理由1:プライベート空間が守られる

体験住宅は、1組1物件。基本的に戸建で、まれにアパートやマンションの一室もある。家具家電付きの普通の賃貸物件とほとんど同じ。

安価に宿泊するとなるとゲストハウスやカプセルホテルも検討すると思うのだが、それらと体験住宅の決定的な違いは共有スペースだ。

共有スペースがあることによって、「交流」や「情報収集」などメリットがあるのはわかる。

ただ、仕事を常に抱えていて暇ではない身からすると、物件内での交流やイベントごとすら煩わしいのだ。夜一緒に飲んでワイワイしている余裕はない。
そして、私たちは家で仕事をするのが基本のスタイルであるため、リビングやキッチン、お風呂、トイレなど共用スペースを使用するにあたって気を遣うことが煩わしい

また、セキュリティー的にもゲストハウスに荷物を置いて行くのも少し心配だ。かと言って、Phantom4など何から何まで毎回車に積んで持ち運ぶのも面倒。


となると、プライベート空間のある家、戸建やアパート等の一室が最適なのである。そこでちょうどいいのが体験住宅なのだ。

●理由2:費用を抑えることができる

今までに利用した体験住宅の費用は、1組あたり水道光熱費ネット込みで平均6万円/月。2人で1ヶ月約6万円の固定費だ。

それに対し、ホテルやゲストハウスだと下記のようになる。

ドミトリー/ゲストハウス:2人で平均6500円/日x 30日間=2人で約195,000円/月
→費用がかかり過ぎる。共用スペースがあるので却下。
ビジネスホテル:2人で平均8000円/日x 30日間=2人で約240000円/月
→費用がかかり過ぎる。自炊ができないため食費もかかる。
住まいのサブスクサービス「ADDress」:44,000円 (税込)/月  
→共用スペースがあるので却下。

ホテルは1人であればそんなに高くないが、2人となると費用がかさむことがよくわかる。
2人以上で滞在するのであれば、体験住宅が圧倒的に安い。

●理由3:どんな自治体なのか、地域の質やスタンスがよくわかる

体験住宅を利用するための一連の流れのやり取りでびっくりするほどその地域が見えるのだ。
もちろん一度も現地には行ったこともない。


▼参考までに、下記は体験住宅利用の大まかな流れ

1.自治体の移住窓口に体験住宅について問い合わせる / 移住相談のアポを取る
 →住宅利用可能時期や条件をよく確認する
2.オンライン面談や電話で簡単なヒアリングがある
3.申込
4.自治体の審査の上決定

上記流れのやり取り中に、そもそもその地域に訪れたいか、移住候補先として見に行きたいと思うかが決まる。


ー担当者次第なのでは?

確かに対応については担当者次第ではあるが、そもそも対応が担当者次第になるのはおかしいと思っている。

これは行政に限らずどんな組織にも言えることだが、たった一人の対応も組織の問題であると考えている。採用教育、職場環境、人間関係、さまざまなことが絡み合った結果の『対応』だ。そうなると組織、トップの問題である。そしてそのトップは町民が選んでいる。

要するに、自治体の一職員の対応から透けて見えるのは「地域全体」なのだ。

実際にあった様々な対応について、下記記事に詳しく書いている。

体験住宅に入居後も、自治体とのやり取りは定期的に発生する。
対応速度や滞在中のサポートなどを見れば、町民はどうだか知らないが、少なくとも自治体の体験住宅入居者に対してのスタンスはよくわかる

●理由4:地域の方や移住者と交流しやすい

ゲストハウスに滞在するメリットでは?と思っていた「交流」

実は、体験住宅に入居してもこの「交流」は求めればかなり実現する

実際に、私たちは移住者や地域の方からお話しを聞きたいと思っているので、自治体の移住担当者に毎回相談する。
「こんな人から話を聞きたいんです。」と伝えると、繋いでくれたり、アポを取って連れて行ってくれたりする。

これは本当にありがたい。
いきなり個人的に連絡するより、自治体の方が間にいると相手方もきっと安心して会ってくれるだろう。

ここで、ひとつ気をつけておきたいことがある。

ゲストハウスだと必然的に発生する交流だが、体験住宅に入居した場合は、自ら積極的に交流を求める必要がある

逆に言うと、特に求めなければ地域交流をしなくてもいい。

交流の有無や度合いを自分で選択できる状態にできる移住体験住宅は、個人的には最高の環境だと思っている。

●理由5:定住したときと同じ生活が送れる

私たちは、定住先としてどうか、という視点で滞在したい。

その地域が定住先としてどうかは、ホテルで生活していてはわからない。
なぜなら、ゴミ出しや地域の住民がどんな人たちなのかわかりづらいからだ。

しかし、体験住宅であれば、移住し物件を賃貸や購入したときと同じような環境下に住むことができる

ちなみに、私たちは滞在中、下記のよう点を見ている。

・町民が普段使いするスーパーの利用
・公共の図書館や体育館の利用
・住民のゴミ出し時のマナー
・町内の各エリアの特徴(少なくとも入居した体験住宅のあるエリアの住民の雰囲気や環境)

滞在中に上記内容を確認できるだけでも、定住地としての判断材料として大きな収穫だ。

●まとめ

現在の私たちのライフスタイルや経済力からすると、お試し暮らし住宅を利用するという選択はベストだと捉えている。

ただ、お試し暮らし住宅を利用する上での大変な点もある。

・新型コロナウィルスの感染拡大状況に左右される。
 (緊急事態宣言等の発令により、急遽利用できなくなる可能性と常に隣り合わせ。)

・自治体への申込みから入居確定までに時間も手間も要する。
 (体験住宅利用の申込みはほとんどが郵送。住民票の提出を求める自治体も多い。)

上記の大変な点に嫌気が差さなければ、今後も体験住宅を利用していくつもりだ。

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