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美術館のすすめ

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実はずっと前から始まっていたのかもしれない、旅のこと(DIC川村記念美術館にて)

実はずっと前から始まっていたのかもしれない、旅のこと(DIC川村記念美術館にて)

「行きたいなぁ、でも遠いしなぁ」
「行きたいなぁ、でも仕事があるから」

人は、つい行動しない言い訳を作ってしまう。そして、今日も昨日と変わらぬ1日を過ごしてしまう。もし、あのとき、あの日、行動していたら。そんな瞬間は誰にでもあるものなのかもしれない。

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繁忙期真っ只中の前職での昼休み、サンドイッチを片手にスマホでとある美術館のHPを眺めていた。

「明日、有給を取れば行ける、、、。でも無理

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東京駅とアーティゾン美術館と自画像の話などを

東京駅とアーティゾン美術館と自画像の話などを

天気の良いとある日、私は東京駅にいた。東京駅にはいつだってたくさんの人がいる。ここからどこかへ行く人、ここへ帰ってくる人。東京駅にいると、まるでちょっと空港にいるかのような非日常感がある。私以外の全員がものすごいスピードで動いていくような、自分だけがここに取り残されているような不思議な感覚に囚われながら仕事へ向かった。

仕事を終えて、あまりにも天気の良い日だったのでそのまま帰宅するのがもったいな

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厳しい冬を乗り越えて(東京都写真美術館にて)

厳しい冬を乗り越えて(東京都写真美術館にて)

星野道夫さん、というと私が思い出すのが現代国語の教科書だ。内容はあまり覚えていないが、当時私が読んでいた国語の教科書に星野道夫さんの文章が掲載されていた。教科書のプロフィールに記載されていた、彼が数多くの動物や自然の写真を撮っていたこと、そして取材中にヒグマに襲われ、急逝されたことを覚えている。

当時の私にとっては、国語の教科書は癒しだった。幼い頃からたくさん本を読んできたからか、国語は得意でど

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