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roots1*青年期

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roots・ season1の青年期 少年期からの続きなので8章からになります。
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#子どもたち

【roots】青年期
《21章》目覚めて

【roots】青年期 《21章》目覚めて

森の教会に着いても僕は起きずにルークが担いで中に入れてくれたらしい。
ルビーは車の音で飛んで外にお迎えに来てくれたのにグーグー寝ている僕を見て。
ホッとしてワンワン泣いて。揺すりまくって起こしたらしいけど。全然起きなくて。皆んなに止められて。
仕方がないなと寝かせてくれていたそうだ。可愛いよね。

僕は夢の中で皆んなにお礼を言っていた。
タイラー、ティム、トレバー、のキツネ三兄弟が。小さなメモ一

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【roots】青年期
《20章》王として・5

【roots】青年期 《20章》王として・5

昨日の続きから

「僕は弱虫だから。チェイスを見えなくさせてもらうよ。その方が話しやすい。どうせ叩いても切っても君は居なくならないからね」
「人は影から逃げられないってわけさ」ケケケ…
と笑った
「僕は逃げるよ。心に入らせないように出来る。ちゃんと君の悪を見て避ける事が出来るんだ。もう10歳の僕じゃない」
「見た目だけだ。中身はお子ちゃま10歳だろうが」
「違うよ。僕は色々考えて行動出来るように

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【roots】青年期
《20章》王として・4

【roots】青年期 《20章》王として・4

昨日の続きから

あのドレイク書房のビルに来た。
ドアを開けて廃墟になった部屋の真ん中にあぐらをかいた。
僕の動向はお見通しだろうに。
夜になるまでチェイスは現れなかった。
夜になり照明を付けた。この部屋だけ発電機で電気が付くようにタイラーとトレバーに頼んでおいた。トレバーに極力影の出辛い照明器具をつけてくれと頼んだ。
手術用照明は影が出にくいと聞いた事がある。だから明るさは半端ない。
これなら

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【roots】青年期
《20章》王として・3

【roots】青年期 《20章》王として・3

昨日の続きから

あのドレイク書房のビルに来た。
ドアを開けて廃墟になった部屋の真ん中にあぐらをかいた。
僕の動向はお見通しだろうに。
夜になるまでチェイスは現れなかった。
夜になり照明を付けた。この部屋だけ発電機で電気が付くようにタイラーとトレバーに頼んでおいた。トレバーに極力影の出辛い照明器具をつけてくれと頼んだ。
手術用照明は影が出にくいと聞いた事がある。だから明るさは半端ない。
これなら

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【roots】青年期
《17章》ここから

【roots】青年期 《17章》ここから

日は昇り、外を眺めて僕は途方にくれた。
ドアをノックする音。
「はい」力なく答えた
「デイブ!俺だけど」オーウェン!
ホッとしてドアを開けた。
持って来てくれたサンドイッチとコーヒーを一緒に食べた。少し生きていると思えた。
「ルビーは?」「ミアだったよ」
「ミアは?」「出て…行ったよ」「そうか…」
2人ともわかり切っている事を確認する様に話した。
「僕が勝手にルビーだと思ったんだよ」
「ミアがルビ

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【roots】青年期
《16章》私のもの

【roots】青年期 《16章》私のもの

「ただいま」僕が帰るとルビーはもう家に帰って夕食の準備をしていた。
「おかえり」この笑顔を疑っている自分が申し訳なく感じた。

ただ、僕はルビーを知らない。
最初は白い花で。次に会った時は妖精のような美しい女の子で。数時間後にはココにいた。
あの短時間で、正直、本物か偽物かなんてわかるわけないし。知る由もない。
自信が持てない…。
「デイブ、どうかしたの?疲れてる?」
「いや、何でもないよ。今日の

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【roots】青年期
《15章》旅

【roots】青年期 《15章》旅

2度目のペリカンまで再び書き上げた。
僕はオーウェンと出版社を巡っていた。

時折、エイデンの話もしたけど新しい情報も探すあてもなく時間だけが過ぎていた。

今日は僕が調べていた3つ目の出版社。
ファンタジー本を出しているフォールズ出版。
とりあえず読んでくれるとのことで原稿を渡してお願いをして建物を出た。
2人で少し休もうと久しぶりにペリカンの店に寄った。

すっかり、何も起きずにいる事が僕たち

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【roots】青年期
《11章》小さな炎

【roots】青年期 《11章》小さな炎

朝7時に起きて、2人で朝食をたべ。
ルビーは道路向かいの花屋へ出掛ける。
僕は家で、掃除洗濯。
そしてこの旅を書き続けている。

お昼過ぎ、電話が鳴った。
「ハロー」
「ドレイク書房ですが、デイビッドさんで?」
「はい!僕です」
「読みました。なんだか不思議な話ですね。続きはあるんですか?」
僕はドキドキが口から溢れて聞こえてしまうんじゃないかと胸に手を当てて深呼吸した。
「はい、今も書いてます」

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【roots】青年期
《十章》それぞれの仕事

【roots】青年期 《十章》それぞれの仕事

僕は1度目のペリカン兄弟までの原稿を持って出版社を訪ねた。
新聞に求人広告を出していたので住所を書き写して直接足を運んだ。
ドラゴンマークのファンタジー小説を扱っている「ドレイク書房」
ドラゴン書房って事。名前が気に入った!

ドアをノックして中に入ると古い紙の匂いがした。瞳があのドラゴンに似た年配の男性が近づいて来て「何か?原稿?持ち込み?」と聞いて来た。
「は、はい!これはまだ序章で長い長い話

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【roots】青年期
《九章》僕にとっても
ルビーにとっても

【roots】青年期 《九章》僕にとっても ルビーにとっても

「コーヒーの良い香りが部屋に漂ってホッとする」マグカップを鼻に近づけてボソッと呟いた。
3人でこの部屋にいる事を考えると不思議過ぎて笑い出してしまいそうだ。
「歳取ったな」とオーウェンが言った。
「君はライオンっぽいよ」と僕が言うとハハハと笑って「俺と君は親友なんだ。もうずっとずっとね」とオーウェンが優しい顔で僕を見て言った。
僕が頷くと。オーウェンは
「で、俺とルビーも友達だ」な!とルビーに言っ

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【roots】青年期
《八章》新しいくらし

【roots】青年期 《八章》新しいくらし

目が覚めると僕の隣に寝息が聞こえた。
暗くてよく見えない。
白いワンピースが微かに見える。
ルビーだと思った。

ここはどこだろうとキョロキョロ見渡してみた。
一度目の旅では花園の後はまた廊下に戻っていた。でもあの廊下では無さそうだ。
あの古い洋館の壁紙に染み込む匂いはしない。
目が暗さに慣れてきて部屋の中だとわかった。

細く光がみえる。
側へ行くとカーテンから漏れる光だった。
そっとカーテンを

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