日本最南端のおむすび ナンナンナンダ探訪記
なんだかんだ言って、自分のnoteは旅の話が多い。
5年近く続けている「日本中のおむすびを探しに行く旅」は、毎回驚くような発見があったり、思いもよらぬアクシデントがあったりと楽しい思い出になっている。
そのおむすび旅の中でも、いちばん印象に残っているもの。
それを、旅行記にしてみなさんに紹介したいと思う。
(少し長い話になりますが、お時間ある時にぜひ)
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はじめに
古代から現代まで、ずっとカタチが変わらない。しかもずっと多くの人に愛されている、日本のアイデンティティフード「おむすび」
そのおむすびを誰よりも愛し、まだ見ぬおむすびの姿を追い求め、日本中を旅していく。
それが、noteで5年間書き続けている「1000日間で1000のおむすびを食す男」だ。
もちろん、順調にいくことばかりではない。時にはおむすびに辿り着くことができず、くやしさのあまり涙することだってある。
そうかと思ったら、奇跡が重なり最高のおむすびに出会うこともある。
今回紹介したいのは、そんな話。
日本最南端の島「波照間島」に渡って、自分の脚だけで日本最南端のおむすびがなんなのかを探しに行った旅のこと。
1.日本最南端の有人島「波照間」へ向かうのだ
よし。今日は、運行するらしいぞ。
ホテルの朝食ブッフェを10分で食べ終え、急いでフェリーターミナルに向かう。
石垣島から離島に向かうには、安栄観光と八重山観光フェリーの2つのフェリー航路がある。この2つのフェリー会社は、なぜか同じような航路をほぼ同じ時間に出発しているライバル便だったりする。ただ、波照間航路だけは安栄観光からしか出ていないらしく、しかも1日3便しか運航していない貴重な便だ。
この波照間航路はかなり曲者で、とにかく欠航が多い。月によっては欠航率が5割を超えるらしく、昨日も波照間島に行こうとしたが乗船することは叶わなかった。
つまり、この運航するということはラッキーであって、絶対に乗り遅れることはできない。万が一満員になってフェリーに乗れないなんてことになったら大変だ。
そこまでして、どうして日本最南端のおむすび探しに向かうのだろう。それは昨年の夏、西表島で行ったおむすび探しの旅に起因する。その旅の中で西表島の南側、大原港の近くにおむすびキッチンカー「お結び八」を偶然発見。いろいろ調べた結果、ここが日本最南端のおむすび屋さんらしいということがわかった。
でも、おむすびって、おむすび屋さんだけで作られて売っているものではない。日本中のどこにだっておむすびはあるが自分の持論。
つまり、スーパーや居酒屋、食堂なんかでも食べられるおむすびはあるはずである。
日本中のおむすびを食べ歩くと言っているのであれば、そこまで調べないと日本最南端のおむすびを見つけたということはできないはずだ。そこで、日本最南端の有人島である波照間島に渡り、日本最南端のおむすびを見つける旅に出ることになったのだ。
石垣島のフェリーターミナルの売店では、たくさんのおむすびが売られていた。離島に渡ると食事をするところが少ないらしく、おむすびやお弁当などの食べ物を買っていく人が多いらしい。でも、自分には関係がなさそうだ。だって、今日は波照間島のおむすびを何個も何個も食べることになるのだから。
これがかなり甘い考えであったということを、この時は知る由もなかった。
2.相棒は自転車キーキー号
思ったよりも混んでいるなあ。
石垣島から乗った波照間行きのフェリー。
朝8時発という早い出発だがかなり人が多い。昨日の欠航の影響もありそうだ。作業服を着た地元の人、観光客らしき大きな荷物を持った人、ベストを着た釣り人などいろいろな目的の人が乗っていた。まあ、おむすび探しで乗船しているのは自分くらいだろうけど。
航海はかなり順調だった。雲はあるけれど天気は安定しているらしく、波も穏やかなようだ。途中、昨年渡った西表島が見えてきて懐かしく感じるところもあったが、さらに南へ南へとフェリーは進んでいく。
1時間ちょっと進んだところでフェリーのスピードが落ちてきた。窓の外を見ると、広い防波堤が見えてきた。ここが波照間港。日本最南端の有人島である波照間島にある玄関口だ。
よいしょ。ついに上陸!
南国の熱気がフェリーのクーラーで冷え切ったからだを包み込む。
石垣島と違って、波照間島では桟橋を降りたらすぐに待合所があるわけではない。かなり離れたところに旅客ターミナルがあるのが見えた。今回の旅の目的はおむすびを探すことなので、まずは、この旅客ターミナルにおむすびがあるか調べてみることにした。旅客ターミナルに入ると小さな売店が1軒あった。そこには残念ながらおむすびの姿はなかった。まあ、旅は始まったばかりだし、焦ることはないだろう。
さて、ここからどうしようかな。
まずは、島を周るための足を確保しないと。
よく見ると、港の近くには何軒かレンタサイクル屋さんがあるようだ。
近くのレンタルサイクル屋さんはすでに多くの人が並んでいた。
人気は、ピカピカの電動アシスト付きの自転車らしい。料金を見るとちょっと高い。うーん予算オーバーかも。今回の旅ではなるべくおむすびを多く食べたいので、移動の費用はなるべく抑えたいところ。もう少し安い自転車がないかさらに離れたレンタサイクル屋さんを見に行くことにした。
おっ安い。
普通自転車1000円。ただ、見た目はかなり年季が入っている。しかも変速ギアがない、かなりノーマルなタイプだ。これは悩む。予算オーバーだけどラクチンな電動アシスト付き自転車か、安価だけど、かなり年季の入ったノーマルな自転車。
ううん。ここはノーマルな自転車にしよう。
自転車を借りて、ペダルを漕ぐ。漕いでみてわかったのが見た印象よりも、さらにオンボロな感じ。ペダルを踏むたびにキーキーと音がなる。大丈夫かなあ。ちょっと不安だけど、出発することにする。
少し漕いでみると、自転車から鳴る音もそんなに気にならなくなる。むしろ一定のリズムを刻んでいるので、心地よさも感じてしまう。
自転車キーキー号。
いい相棒になりそうだ。
3.日本最南端の郵便局でお宝マップを手に入れろ
さて、どこに向かおうかな。
自分が考えていたのは次の2つのルートだ。
ひとつめは、日本最南端の地に行き、そこから北上をしながら飲食店を探していくルート。
ふたつめは、人が多くいる集落の方に向かっていき、その周辺で飲食店を探し回るルート。
どちらにしても、足がかり的な情報がまったくない。そこで、まずは情報を仕入れようと波照間郵便局へ向かうことにした。波照間郵便局は日本最南端の郵便局で有名な場所だ。きっと有益な情報もあることだろう。
すみませーん。教えてください。
「波照間島郵便局」とデザインされた絵葉書(ここでしか買えないらしい)を買いながら、窓口の方に波照間島でおむすびを売っている場所がないかを聞いてみる。
「うーん。共同売店がいくつかあるから、そこで売っているかもしれないねー」
「あとは、食堂とか何軒かあるから、そこで扱っているかもねー」
「そうだ、これを使いなさいよ」
と波照間島の飲食店などが細かく載っている地図をくれた。集落の場所やそこにある共同売店や食堂などが網羅されているらしい。
これは、嬉しい。この地図をもとに南側から飲食店を探していけば、最南端おむすびが見つかるかもしれない。
ちなみに飲食店が開くのはランチの時間に合わせて11時ぐらいかららしい。逆に共同売店は、お昼の時間はかなり長い休憩に入ってしまうらしく、注意が必要らしい。また、お弁当などは、そんなに数が多くないので売り切れることも多いらしい。
まずは、共同売店を周っておむすびを探すことから始めよう。
4.次から次へと難敵襲来
波照間郵便局でもらった地図を見てみると、島内には共同売店が5つあるらしい。
共同売店は各集落ごとにわかれて建てられているみたいだが、地図で見る限りそれぞれの距離はそんなに遠くないようにみえる。そのどれもが平坦な島の中心にあるようだ。
これなら、自転車キーキー号でもそんなに時間をかけずに周れそうだ。
いちばん南から順にみると次のようになる。
このどこかに日本最南端のおむすびがある可能性が高いのだ。
気持ちもどんどん高ぶってきた。
早くいかないと売り切れてしまうかもしれない。
急げ!
最初は南共同売店に向かうことにした。
この南共同売店は、その名前の通り波照間島のいちばん南にある売店。ここにおむすびがあればミッションはほぼ終了ということになる。
自転車キーキー号を勢いよく漕いで、集落を横断する道路を進んでいく。道路といっても、そんなに広くはなく、車が1台通れるくらいの広さ。歩行者もほとんどいないし、車の行き来もほぼないし、信号もないのでどんどん進んでいく。この調子なら、もうすぐ着くだろう。
ところが…
やばいっ!
気がつくと目の前に黒い雲が広がっていた。つい、さっきまで快晴だったのに…
ポツポツポツ
ザッザッザー
ズゥワーーー
突然、スコールがやってきた。雨粒がやたら大きいし、自転車のキーキー音が聞き取れないくらいの雨音。なんとか雨宿りができそうな、大きな木を見つけて逃げこむ。服はビチョビチョ、靴もべっちゃり。最悪だ。
10分ほどで雨が止んだ。さっきまで真っ暗だった空があっという間に青空へ変わっている。
さあ、共同売店に向かわないと。休んでいた時間を取り戻そうと一気にペダルを漕ぐ。
急げ!
ところが・・
またまた難敵が待ち受けていたのだ。
えっ。
あれはなに?
よく見ると道の先に2匹の白い犬が放し飼いになっていた。困ったなあ。昔、犬を飼っていたことはあるけれど、よその犬はあまり得意ではない。
ましてや南の島で放し飼いの犬だ。噛まれたら一大事だ。
いや、よく見ると違う。
2匹の白い動物。あれは犬ではない。
その白い動物は、すごい勢いで駆け寄ってきた。
噛まれるっ。あわてて逃げようとしたけれど、あっという間に自転車の下まで来てしまった。
えっ、子ヤギ?
それは、小さな子ヤギと、さらに小さな赤ちゃんヤギだった。2匹はあっという間に自転車の下までやってきた。
くんくんくん。子ヤギたちは、ズボンと靴下の間に鼻を埋めて匂いを嗅ぎまわる。そんなに匂いを嗅がれても、そんなに可愛い顔をされても餌とか持ってないよ。足元にいたら。危なくてペダルが漕げないよ。
スコールに子ヤギ。波照間島のおむすび探しは、なかなか前に進めない。
5.共同売店ローラー大作戦!
日本最南端のおむすびを明らかにするために向かったのは、日本最南端の有人島「波照間島」
日本最南端の郵便局でもらった情報を元に、まずは朝から営業している共同売店を周っておむすびを探すことになった。ちなみに島内にある共同売店はこの5つだ。
情報によると、このどこかに日本最南端のおむすびがある可能性が高いと考えられる。それぞれの売店は集落ごとに分かれて建っているみたいだけど、自転車で周ればそんなに時間がかからない距離にある。
よし、どんどん周っておむすびを見つけよう。作戦名は「共同売店ローラー大作戦」だ。
では、どこから周ろう。悩んだ結果、まずは南共同売店に向かうことにした。南共同売店は、その名前の通り波照間島のいちばん南にある売店。ここでおむすびを見つけることができれば、この旅のミッションもほぼ完了ということになる。
早めにミッションを終わらせて、残った時間で悠々とビーチで遊ぶのも悪くないだろう。そんな青写真を描きながら漕ぐたびに音の鳴るレンタル自転車のキーキー号を走らせ、集落を横断する道をズンズン進んでいった。
それにしても暑い。
まだ3月だというのにその日差しは真夏そのものだ。
首筋や背中は、吹きだした汗でぐっしょりである。
島で唯一の中学校の横を通り、くねくねした道を進むとコンクリート造りで白い庇がついている建物が見えてきた。建物の前には白い自動販売機と赤いポストも設置されている。どうやらここが南共同売店みたいだ。
自転車を店の脇にとめて、売店の中に入る。お店と言っても、少し暗くてあまり広くはない。広さを東京で例えると駅の改札横にあるコンビニぐらい。その店内の棚には、お菓子や調味料などの食品や雑貨が整頓されて並べられていた。入り口付近の棚はなぜかぽっかりと空いていて、商品が置かれていなかった。
すみませーん。おむすびは売っていませんか。
「今日は売ってないよ」
レジのところにいたお店の方はそう答えた。
残念・・・。
今日は売っていないということは普段は売っているのだろう。まだ午前中とはいえ、早々に売り切れてしまったかもしれない。来る途中で、雨宿りをしたり子ヤギと戯れていた時間が悔やまれる。
まあいいでしょう。島内には、あと4つも売店があるのだから。そのどこかでおむすびを手に入れられるだろう。
気を取り直して、南共同売店の一番近くにある、まるま売店へ向かうことにした。地図を見る限り、位置も南共同売店とそんなに変わらないぐらい南にある。まるま売店でおむすびを見つけたとしても日本最南端と言っても異論はでないはずだ。
しばらく、自転車を漕ぐと南国らしく薄いブルーの壁の建物が見えてきた。大きくまるま売店と書かれた看板がかかっているので、ひとめでここだとわかる。店内に入ると、先ほどの南共同売店と同じく、おむすびの姿はなかった。
すみませーん。おむすびは売っていませんか。
「今日は、おむすびを作っている惣菜店が休みなのよ」
お店の方はそう答えた。どうやら、おむすびを製造している総菜屋さんがお休みらしい。
そもそも共同売店はおむすびを売る場所であって、作っているのは別にいる方らしいのだ。
うーん、またダメだったか。
まあでも、まだ周っていない売店は3つもあるし、そのどこかでおむすびに出会うことはできるでしょう。
またまた気を取り直して次の売店へ向うことにした。
6.島から消えたおむすび
次に向かったのは島の中央にある名石共同売店だ。名石共同売店は、先ほどのまるま売店のすぐ近くに会って、自転車でも2分くらいで着いてしまった。
大きな三角屋根が特長的で、他の売店よりも規模は大きそうだ。
ここならおむすびが見つかりそう。
正確に言うと日本最南端の売店ではないけど、そこに近い売店だからギリセーフと言う話にしてしまおう。
お店に入ってレジのところにいる店員さんに、本日3回目の台詞を投げかける。
すみませーん。おむすびは売っていませんか。
「今日は入荷してないよ」
えっ。ここもダメなの。もしかして、島でおむすびを作っている方はひとりだけで、たまたま今日がお休みの日だとかするのかもしれない。
不安が頭を駆け巡る。
まあでも、まだ周っていない売店は2つもあるし、どちらかでおむすびは見つかるだろう。
次に向かったのは島の東側の集落にある丸友売店だ。鉄パイプの土台で作られた庇が店の前に突き出ている特徴的な建物。
そこで本日4回目のこの台詞を放った。
すみませーん。おむすびは売っていませんか。
「売ってないのよ。今日はあやふふぁみさんが休みなのよ」
えっ。あやふふぁみってなに?
お店の方に聞くと、おむすびを製造しているカフェの「あやふふぁみ」が今日はお休みとのこと。
さらに聞くと、島内には「あやふふぁみ」と「藤井惣菜店」の2つのおむすび製造所があって、各売店によって取り扱いが別れているらしい。
少なくとも「あやふふぁみ」のおむすびを入荷しているお店は全滅ということだ。さらには「藤井惣菜店」を入荷しているお店もすでにダメだった可能性が高い。
この時点で共同売店でのおむすびは出会えない確率は95%ぐらいになっていた。
残るは島の一番西側にある冨嘉売店。
冨嘉売店は、自転車で15分ぐらいかかる離れた集落にある。ここが本当に最後の売店になる。
泣きそうになりながら、今日5回目になる台詞を言った。
すみませーん。おむすびは売っていませんか。
しかし、結果はダメだった。
この日は島のおむすびを製造している「あやふふぁみ」と「藤井惣菜店」が、2軒ともお休み。そのため、どこの共同売店に行っても、おむすびは売っていなかったのだ。
春休み期間中の金曜日で、観光客も多いはずなのに。さあ本当に困ったぞ。
7.ホバリングとサイクリング
あてにしていた共同売店でのおむすび探しは、どこにも売っていないという最悪の結果になった。とはいえ、波照間島まできてこのまま手ぶらで帰るわけにはいかない。
そこで、次の作戦を考えることにした。
それは「飲食店ローラー大作戦!」
そのネーミングの通り、波照間島内の食堂やカフェなど飲食店のメニューでおむすびがないかを探す作戦だ。島内の飲食店はランチ営業から始まるところが多く、どこも11時近くにオープンするらしい。それまで少し時間が空いているので、波照間島でどうしても行きたかった日本最南端の碑を見に行くことにした。
郵便局でもらったマップによると、横長の楕円形をしている波照間島の南東にあたる海岸線沿いにその日本最南端の碑はあるらしい。
波照間島は島の中央部分が平らな台地になっていて、周囲の海岸線に向かって標高が下がっていく、どら焼きみたいな形をしている。
海岸線に向かって行って、そこから帰ってくるということは、坂の上り下りがあるということにもなる。
今乗っている自転車は、変速ギアがついていないノーマルなママチャリ。しかも、ペダルを漕ぐたびにキーキー音がするオンボロさだ。坂の上り下りはかなり脚力が必要になりそうだけど、のんびり行きましょう。
まずは、島の中心部から東側に向かい、海岸線をぐるっと周りながら南下して日本最南端の碑を目指すことにした。
しばらく進むと周囲を包み込むような、ブロロロロという大きな音が聞こえてきた。
飛行機かな。でも波照間島には航空路線がないはず。よく音を聞いてみると自分の進んでいる東方向から鳴っているようにも思える。もう少し近づいてみよう。
すると、地上にかなり近いところでホバリングしているヘリコプターが見えた。
その下には金網の柵に囲まれた広場があって、その手前にはい赤瓦の新しい建物が見えてきた。
その建物に近づいてみると、大きく波照間空港という文字が書かれていた。
調べてみたらここは波照間空港の新ターミナル。現在では、波照間島に航空路線はないけれど、昔はあったことがあるらしく空港は当時からあったものらしい。
今後、新しい路線を就航させることも想定されていて、そのために新ターミナルを整備しているらしい。ヘリコプターはなにかの訓練中だったのだろう。
嬉しいことに、この空港から先の道は緩やかな下りになった。空も雲がなくなり、快晴に近くなってきた。陽の光が射すと空や海が鮮やかになってくる。目の前に広がるのは、青空と緑の草原と碧い海。 吹き抜ける海風も自転車のキーキー音もぜんぶが心地いい。まさに最高のサイクリングとなった。
8.日本最南端の地に立つ
緩やかな下り坂をどんどん進んでいくと、日本最南端の碑と書かれた案内看板が出てきた。
ついに日本最南端の碑がある場所に着いたようだ。
案内看板の指す方に進むと大きな広場になっていた。
広場から先は、ぼこぼこした芝生や砂浜もあって、歩いてしかいけない。
自転車キーキー号は広場に置いていくことにした。
実は自転車キーキー号には鍵はついていない。
もし自転車盗難にあったら…
自分は日本最南端の地で置き去りになってしまう。まあ、離島では自転車盗難自体がないのかもしれないけれど。
芝生の上を進んでいくと、いろいろな石碑が並んでいるのが見えた。
波照間の碑、平和祈願の碑、日本最南端の平和の碑。
さすが、日本最南端の地だ。石碑の数も多い。その3つの石碑のさらに奥の方に、Tの字になっている石碑があった。このTの字はガイドブックで見たことがあるぞ。
その石碑には「日本最南端の碑」と書かれていた。これが、有名な日本最南端の碑だった。このTの字が指している方向は真南なのだろう。
ここが日本の最南端の地なのかあ。
正直感慨深いものがある。
でも周りをよく見てみると、海岸線までは少し離れているようだ。
日本最南端の地というのであれば、ここではなく、もっとギリギリ海のそばなのではないだろうか。
でも、そこまで行けるのだろうか。
海岸のほうは岩場のようで、ところどころ膝下ぐらいまでの草が生い茂っていた。
真っ白なテッポウユリなども咲いている。場所を選びながら進めば、海岸線の近くまで歩いて行けなくもない。
とりあえず行けるところまで進んでみよう。
ここは八重山諸島。
ハブなどの危険生物もいるので、足元を確かめながら、ゆっくりくゆっくり慎重に進んでいく。いつしか草もなくなり岩場だけの場所がでた。目の前には海が広がっている。足元も悪いし、これ以上進むのは無理かな。
この場所でも、携帯の電波は届いているみたいだ。そこでスマホでマップを見てみることにした。先ほどの日本最南端の碑からさらに南へ進んでいるのがわかる。マップを見る感じだとここが波照間島の中でもいちばん南の場所らしい。
つまり本当の日本の最南端に辿りついたようだ。
ゴツゴツした岩場と真っ青な水平線。日本最南端の地に立って気持ちも晴れやかになった。
さあ、日本最南端のおむすび探しを続けよう。
9.ここまでの情報をいったん整理
そもそも、おむすび探しは難しいものだ。
日本にあるおむすび屋さんの数は全部で800店と言われている。ラーメン屋さんが32,000店、お寿司屋さんが23,000店と言われているので、出会う確率は数十分の1でしかない。
しかも、営業している時間も朝から昼までというところがほとんどだ。
グルメサイトにも情報は少ない。レビューなどはほとんどないし、数年前の情報が普通に出ていたりする。その情報を頼りにお店に行っても休みだったり、お店がなくなったりしていることは日常的にある。
もちろん、おむすび屋さんだけで売っているものではなく、食堂や居酒屋、道の駅など買えたりもする。しかし、そういう情報は滅多に出てこない。
つまり、おむすび探しは現地に直接行ってみなければ、売っているかどうかがわからない。
この超情報時代におけるエアポケットみたいなものなのだ。だからこそ、新たなおむすびを見つけて食べたときは本当に嬉しいのである。
ここまでの情報をいったんまとめてみようと思う。
石垣島からフェリーで1時間ちょっと揺られて、日本最南端の有人島である波照間島へ向かった。
波照間島航路は欠航することが多く、当日の朝にならないと出航をするかわからない。
この日は運良く波照間島に上陸をすることができた。
(地図は下記の竹富町観光協会から拝借しています)
波照間島は周囲15キロほどの島だ。
島の北西(左上)にあるのが、フェリーが到着した波照間港。
その近くには東洋一美しいビーチといわれるニシ浜がある。
また、島の反対側のいちばん東の方に、波照間空港(現在休止中)がある。
その波照間空港からさらに南側に向かうと、途中に立ち寄った日本最南端の碑がある。
島の中心部をぐるっと周るように走っているのが、波照間一周道路。
その輪の真ん中に集落が固まって存在している。集落は全部で5つあった。
それぞれの距離は近く、自転車であれば移動はそんなに時間はかからない。
共同売店は、集落の数に合わせるように全部で5つある。
しかし、朝イチに行った共同売店でのおむすび探しは失敗に終わった。
5つの売店で売られているはずのおむすびを製造している「あやふふぁみ」と「藤井惣菜店」の2軒ともこの日がお休みだったらしい。
まさか、そんな日に上陸してしまうとは、本当に運が悪い。
実は、波照間島に来る前にインターネットで調べた波照間島のおむすび目撃情報はいずれも先に挙げた5つの共同売店のものだった。
つまり、この時点で波照間島まで来ておむすびを食べずに帰る可能性がかなり高まっているということになってしまった。
残った作戦はあとひとつ。
それは島に10店舗ほどある飲食店(食堂、カフェ、居酒屋など)でおむすびを売っていないか調べるということだ。
ここからは、まったく情報のない未知の世界となる。
逆に考えると、おむすび探しにとってこんなにワクワクできる展開はないのでは。
自転車のペダルを踏む力が自然と強くなってきた。
どうやら自分が思っていたよりも、自分はポジティブなタイプのようだ。
10.ああランチ難民
この日は春休み期間の金曜日。
通常であれば、波照間島で金曜日を定休日にしている飲食店はないらしい。
最初に狙うのは島の中心部で飲食店の点在している名石、前、北、南の集落。このどこかでおむすびを見つけることができるかもしれない。
しかし注意しなくてはいけないポイントもある。
それは売り切れ。
同じフェリーで来た観光客は多かったので、早めに行かないとおむすびが売り切れるなんてことになってしまうかもしれない。
急いで調査をすすめよう。
まずは島の一番南にあるKUKURUCAFE(ククルカフェ)へ向かうことにする。ここは日本で一番南にある飲食店と言われているところだ。
ここでおむすびを見つければ、一発逆転最南端おむすびということになる。
しかし、お店の前にいくと人の気配がまったくなく、開店するような感じもない。
お店の前には大きな黒板があって「木・土日祝お休みします」と書かれていた。この日は金曜日なのに、まさかの臨時休業だったみたいだ。
(ちなみに、後からインターネット上に出ているメニューや写真を探したところ、おむすびの姿は無し)
まあ、しょうがない。他のお店を周ってみよう。
ところが、ここから心がぽっきり折れるような苦難の連続が待っていたのだ。
(下記は、すべて行ったお店です)
やばい…
全滅だ。
これはまずいことになった。
島の中心部にある飲食店が、なぜか全てお休みだったのだ。(1軒だけ、ぶどぅまれーというお店が12時オープンらしいので、後で回ることにする)
そういえば、この時間になって、やたら自転車で周っている観光客を見かけるようになった。たぶん、自分と同じようにランチを食べる場所を探し回っているのではないだろうか。
残るは島の西側にある冨嘉集落周辺の飲食店。島の西側には飲食店は少ないが、おむすびを共同売店に卸しているという情報があった「あやふふぁみ」というカフェがある。
あやふふぁみの前に行くと、入口に大きな札がかかっていた。
その札には「本日休業」と書かれている。
やはり、お休みだった。
おむすびがあるとすれば、ここが最有力だったのに。かなりのピンチ状態である。しかし、ピンチはそれだけではなかった。
いく店行く店、どこもお休みだ。
しかし、ここでついに波照間島で初めて営業しているお店に出会うことができた。
それが、お食事処あらぶちという食堂。
この日は島の中でこのお店しかやっていないらしく、観光客がすべてここに集中しているみたいだった。
ものすごい行列ができていて、とても入れる状況ではなかった。
ちなみに、このあらぶちは八重山そばを出すお店で、おむすびは売っていないとのこと。
やばい。おむすびどころの話ではなくなってしまった。完全なランチ難民になってしまったのだ。
通常であれば、共同売店で食べ物を買うという選択肢があったのかもしれないが、今日回ったところでは、おむすびもお弁当も売っていなかった。しかも、波照間島の共同売店は12時から15時ぐらいまで休み時間に入ってしまう。こんなことなら、石垣島のフェリータミーナルでおむすびを買って来ればよかった。
朝イチから自転車を漕ぎ続けた疲れがドッと出てきた。ランチを食べなくてもいい。せめて、どこかで休憩したい…
11.開店ガラガラ
「万事休す」
まさにこの言葉がぴったりくるような状況だった。
意気揚々と波照間島に上陸した、日本最南端のおむすびを探す旅。
当初、見込んでいた島内の共同売店には、残念ながらおむすびの姿はなし。お弁当なども売っていなかった。その後は島中の飲食店を周るもなぜかお休みだけらで、開いているお店は1軒のみ。しかも大行列で入ることすらできない。
おむすび探しどころか、ランチを食べることすらもできない状況。
せっかく波照間島まで来たのに、なにひとつ収穫を得ることができない。
日本中のおむすびを食べ尽くすと言っておきながら、情けない姿で帰ることになってしまう。
帰りのフェリーの時間は夕方。まだ時間はだいぶあるけれど、このままだとなにも食べずに過ごすことになりそうである。
どうしよう。どうしよう。
もしかしたら地図に載っていない飲食店があるかもしれないと思い、集落の道をぐるぐる回っているけれど、そう都合よく見つかるはずがない。
考えろ。考えろ。
あっ!
ひとつ忘れていたことがあった。午前中に周った飲食店の中で、1軒だけ12時にオープンするお店があったはず。
そのお店は「ぶどぅまれー」
日本最南端の飲食店「KUKURU CAFE」の近くにあったお店だ。
現在の時間は11時55分。
通常であれば12時に開店するらしい。
ただ今日は島内の飲食店がどこもかしこもお休みの日。
たとえ開店していたとしても、メニューにおむすびがあるかはわからない。
おむすびが見つかる確率はかなり低いが、もう他に手立てはない。
集落を横切る道路を東側に向かって自転車を走らせる。しばらくするとぶどぅまれーと書かれた小さな案内を見つけた。
その案内には「火曜日定休」と書かれている。
今日は金曜日だ。やはり通常であれば開店している日だろう。
案内の出ていた交差点を右に曲がると、コンクリートづくりの大きな建物がみえてきた。屋根や窓枠が緑色に塗られてて爽やかな印象を受ける。
どうやら、お店は2階にあるようだ。
建物の横に2階に上がる階段があった。頼む開店してくれ。と願いを込めて階段を上ろうとする。
しかし、そこにはこんな札がかけられていた。
「本日終了」
やっぱりだめか・・
でも、もしかしたら昨日かけたものが残っているのかもしれない。この後、札が返されて「開店」と書かれた文字が出てくるかもしれない。あと、10分だけ待ってみよう。
しかし、何分待ってもお店は開かなかった。
最悪だ。自分の運のなさが本当に情けない。
たまたま訪問した日(春休み中の金曜日だったけれど)が、波照間島全体の飲食店の臨時休業日と重なってしまったみたいだ。なにか島のイベントとかと重なってしまったのかもしれない。
はぁ…
もう、諦めて帰るしかない。
「・・・・・」
2階のほうから、なにか話し声が聞こえてきた。もしかして、お店の人がいるのかもしれない。もうこれが最後だ。ダメ元を承知で2階のお店に向かって、階段をあがってみた。
2階は大きな吹き抜けテラスのようになっていて、プラスチック製の白いテーブルと白いイスが並べられていた。ただ、そこには誰もいなくて営業をしている感じはなかった。その奥には、店内につながる扉があって、その扉は開いていた。どうやら、人がいるみたいだ。思い切って、その扉の奥に向かって声をかけてみる。
すみませんー。 今日って、お店は開きますか?
すると、建物の中から店員さんらしき女性が出てきた。
「あれー。今日は看板だしていないはずだけど」
やっぱりそうだ…今日はお休みだったのだ。
これで、本当に本当の万事休すである。
ところが…
ここから奇跡が…
起こった!
お店の人は、こう続けて言った。
「実は、開店の準備はしていたのだけど、材料が足りなくて今日は開けないつもりだったのよ」
「あるのは、ソーキそばの並が数人分だけ。大盛は無理だし、時間もかかるわよ」
あっ、食べます!食べます!
よかった!ソーキそばなら作ってくれるみたいだ。お腹ペコペコだったので、本当にありがたい。なんとか奇跡的にランチ難民を逃れることができた。
でも、奇跡はそれだけではなかった。
「あと、おむすびもできるわよ」
えっ!おむすび!おむすびができるのですか!
もう、それだけでもいいので食べさせてください!!
なんという奇跡だろう。島中の飲食店が休業している中で、本来、開店していなかったお店に入ることができ、しかもおむすびに出会うことができそうなのだ。
おむすびの神様本当にありがとう。
待ち時間は本当にわくわくだった。いったい、どんなソーキそばなんだろう。どんなおむすびが出てくるのだろう。
この2階のテラスには大きなホワイトボードが置いてあって、そこにはおすすめメニューなどが書かれていた。
その中央に大きく「おりたぼりー」の文字を見つけた。
おりたぼりーとは、いらっしゃいの意味。
このいらっしゃいの意味の言葉は、沖縄本島や先島諸島で言い方が違う。
沖縄本島だと「めんそーれ」。宮古島だと「んみゃーち」。石垣島だと「おーりとーり」。西表島だと「わーりたぼーりー」。与那国島だと「わーりー」。波照間島の「おりたぼりー」は、石垣島と西表島の言い方に近そうだ。
そんなことをぼんやり考えていたら、店の人がヒバーチ(島胡椒)、コーレーグース(島唐辛子)などソーキそばに入れる調味料を持ってきてくれた。
「これでお水を飲んでね」
渡されたのは、なぜかお寿司屋さんの大きな湯呑。
2階のテラスはオープンエアで風通しもよく、気持ちいい。そのテラスでお寿司屋さんの湯呑でお水を飲む。
まったく想定をしていなかったシチュエーションがそこにあった。
実際に、この日の波照間島では多くの観光客がランチ難民になっていたみたいだ。2階のお店がオープンしてるのを感じて、次から次へと人がやってきていた。残念ながら後から来た人はお店に入ることができずに断られていた。
自分がお店に入れたのは本当にラッキーなことだったのだ。
12.キセキの黄色いおむすび
待ち時間は30分くらいだった。
待っている時間にどんどんおいしそうな匂いが広がってきた。これはスープの匂いかな。それともソーキの匂いかな。
そんなことを考えているうちに、とうとう料理が運ばれてきた。
お盆の中央に黒いどんぶりがどーんと置かれていた。
それは、待ちに待ったソーキそばだった。
どんぶりの中には半濁したスープが入っていた。
そして、その中には太いストレートの麺がたっぷり入っている。結構量がありそうだ。
麺の上には大きなソーキの塊と三角形のかまぼこが2枚乗っかていた。
もうよだれが止まらない。
さらに、どんぶりの横には丸いお皿が添えられていた。
そこの上には…
待ちに待ったおむすびの姿があった!
それは、自分の手のひらぐらいありそうな大きなおむすび。カタチは丸と三角の中間ぐらい。不思議なことに、そのおむすびはうっすらと黄色みがかっているようだった。もうお腹がぺこぺこだ。
いっただきまーす!
まずは、ソーキそばから食べてみよう。
ズズズズズ!いきおいよく麺をすすりこむ。なるほど、あっさりとしたスープの中にしっかりと豚骨のだしが効いている。麺はやや太めのストレート。歯切れのよい食感で、スープとの相性もいい。
ガブリ!
大きなソーキにかぶりつく。うわぁ、柔らかい。豚の軟骨がトロトロに煮込まれていて、濃厚な旨みが口の中にひろがってく。
はぁ、うまい。
次は、この大きなおむすびだ。
このおむすび。うっすら黄色みがかかっていると思ったが、よく見ると黄色いつぶつぶがお米に混じっていた。
いったい、この黄色いつぶつぶはなんだろう。お店の方に聞いてみると、その黄色い粒は、もちきびだそうだ。もちきびは雑穀の仲間で、栄養が豊富であり、お米と一緒に炊き上げるともちもちとした粘りが味わえるらしい。あの桃太郎のきびだんごを作る時にも使われるらしい。
鬼が島できびだんごではなく、波照間島でもちきびおむすび。これは、かなりレアな体験だ。
がぶっ。
大きな口でかじりつく。
なるほど、なるほど。
食感はおこわみたいに少しモチモチしている。そこに穀物の香ばしい感じが加わり、深みのある味わいになっている。ごま塩の塩気もがいいアクセントだ。このもちきびおむすびとソーキソバとの相性もこれまたいい。ソーキソバの旨みが、このもちきびおむすびの味わいと交わることで、さらに増幅されるように感じる。
ふぅ。
あっという間に完食。最高の満足感。まさに幸せの黄色いおむすびなのだ。
そして、ここでもうひとつの奇跡が加わる。
それは…
このおむすびを出してくれたお店、ぶどぅまれーの位置のことだ。
今回の波照間島の探索の中で、おむすびを売っていたことが確認できたのは、「ぶどぅまれー」と5軒の共同売店のみ。(他のお店はインターネット上の情報だとおむすびは売ってないことが濃厚)
5軒の共同売店におむすびを作って卸しているのは、「あやふふぁみ」と「藤井惣菜店」の2軒の製造所になる。
下に載せた地図をみてほしい。
この「ぶどぅまれー」は「あやふふぁみ」より南に位置し、「藤井惣菜店」とほぼ同じかやや南にある。つまりこの3つの中で、最南に位置していると言えるのだ。
しかも「ぶどぅまれー」より南に位置している飲食店はカフェと居酒屋の2軒のみ。そのどちらもおむすびを売っていない。
そこから考えると、この「ぶどぅまれー」のおむすびが日本最南端で作られていて、しかもその場所で食べられる「日本最南端おむすび」と言えるのだ。
日本最南端のおむすびを探す旅。
想定外のことが重なり、ピンチの連続だったけれど、巡り巡って最終的にいちばん良い結果に辿り着いたようだ。
ということで、日本最南端のおむすびは「ぶどぅまれーの"もちきびおむすび"」ということで決定!
おわりに
波照間島での日本最南端のおむすび探し。いろいろあったけれど、ようやく日本最南端のおむすびを見つけることができた。あとは石垣島に帰るフェリーの時間まで、のんびり過ごすだけだ。
向かったのは島の北側にあるニシ浜。
東洋でいちばん美しいビーチとも言われているらしい。ちなみにニシとはこちらの言葉で北のこと。ちょっとまぎらわしい。ちょうど干潮だったので、沖のサンゴ礁のところまで歩いていける。
この時間になって、また雲が多くなってきた。陽が出たり、隠れたりするたびに海の色が変わっていくのが面白い。
海面の上からでも黄色や青の熱帯魚がくっきりみえるくらいの透明度。ここちよいさざ波。
なんて幸せな時間なのだろう。
太陽の光が入ったところだけ、海の青色がさらに濃くなる。
まさに波照間ブルーであった。
それと同時に、ここまでの道のりが思い出されていく。
今はインターネットを見ればほぼすべての情報を知ることができる時代。AIチャットに聞けばなんでも答えてくれる時代だ。
そんな時代の中で、実際に現地に行って、自分の足でまわって、自分の目で見て、自分の舌で味わって、たどり着いた答え。
そういった経験はなかなかできるものではないし、その過程も含めて人生の宝物になりそうだ。
そして・・・なんだかんだ言って楽しい。
でも、これで満足はしない。
まだ見ぬおむすびの姿を求めて、南へ、北へ、西へ、東へ!
さあ、次の旅へでかけよう。
(終わり)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※写真は、自分で撮影したものです。
この話は、2023年の春にnoteで書いた旅行記を、編集し直したものです。
話の中に少し出てきますが、2022年の夏には、西表島で日本最南端のおむすび屋さんを探したこともリポートしています。
※毎日、おむすびの食リポをしていますので、よろしければ読んでみてくださいね。↓
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ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。 おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり… みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。 皆さんと、いろいろなコラボをしたいです! ぜひぜひご連絡ください!