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1000のおむすびを食す男 第2話【漫画原作部門】


第2話 茨城 旧国道50号線。81歳のおばあちゃんがたった1人で40年間続けてきた昭和レトロなおむすび②


(第1話はこちら)



プロローグ

「おにぎり」と「おむすび」
どちらで呼ぶか問題がありますよね。


丸いカタチやたわら型がおにぎり? 三角形がおむすび?

関東がおむすび? 関西がおにぎり?

江戸時代より前がおむすび? それ以降がおにぎり?

カタチなのか、地域なのか。
それとも成り立ちや時代なのか・・

これまで、全国のおにぎり(おむすび)をいろいろ調査をしてきたが、全国的に混在して呼ばれているのが事実。

つまり、現在ではその区別はなさそう。


ちなみに大手のコンビニチェーンだと、こう呼ばれている。

ローソンとミニストップは「おにぎり」
ファミリーマートは「おむすび」
セブンイレブンは海苔を後から巻くタイプが「おにぎり」それ以外を「おむすび」

この物語「1000のおむすびを食す男」では、人と人との関係が結ばれたり、日本の地域や食がつながっていくことをイメージできるように
「おむすび(お結び)」と呼ぶようにしています。



第2話本編

印刷の立ち合いの帰りに見つけたのが、茨城県の旧国道50号線沿いにある、年季の入ったおむすび屋さん。
そこは、おばあちゃんが1人で切り盛りしているお店だった。

おおくらやのおばあちゃんは、とてもお話好きだった。


「ここは本当にお米が美味しいの。この裏に流れている小貝川の水を引いた田んぼから良いお米が獲れるのよ」

「このお店は、実はカーステレオショップだったの。お店の電気なんかも当時のものなの」

「40年以上、ひとりでおむすびを握っているの。近くの企業で運動会とかあると、500個も握らなくてはいけなかったの」


「ほら、このお店のことがそこの本に載っているわよ」


テーブルの上に本が一冊あった。



国道50号線(旧水戸街道)道は何をつくったのか?

そこには、国道50号線の開発を中心に、この地域の歴史が詳細に載っていた。


このお店「おおくらや」のことが、その成り立ちなども含め、何ページにも渡って書かれていた。


おにぎりの金額は、開店当時は100円。平成に入ってからは110円。
そして、令和元年に消費税が上がったのを機に120円になったらしい。
今の物価高の中でこの価格で大丈夫なのかなあ。こっちが心配してしまう。



調理場を見せていただいた。
大きなガス釜でごはんを炊き上げるそうだ。
そのごはんを注文を受けてから、優しく優しく握っていくらしい。


おばあちゃんはこんな話もしてくれた。

「実は、ずっと連れ添ってきた夫を3年前に亡くしたの。本当に寂しくて寂しくて」

「でも、出来る限り毎日このお店を開けるの。そうするとお客さんがやってきて、声をかけてきてくれるの。それが生きがいなの」

「美味しいって言ってもらえることが、本当に嬉しくて」

「体は辛い時もあるけれど、まだお金の計算もできるし、仕入れもできる。まだまだ続けられそう」




お店には、おむすびの他に「まぜごはんのもと」も売られていた。
人参やゴボウなどを甘辛く煮つけたもので、近所の方たちがよく買いに来るとのこと。



そういえば、外の大きな看板にも書いてあったな。


「当店おすすめ混ぜごはんの具」


これは絶対に食べないと!


おばあちゃんに、まぜご飯のおむすびを握ってもらった。

ふんわり三角形のおむすび。
おしんことお茶もつけてくれた。

見ているだけで、よだれが出てくる。


いただきまーす!

がぶりっ


うーまーい!

小さく刻まれたニンジンにゴボウ。
甘辛く煮つけられたその具が、ごはんの中にたっぷりたっぷり入っている。

うんうん。
こういうおむすびを求めていたんだ。
懐かしいというか心が温まるというか。


最近のおむすびブームでは、どんどん派手なおむすびが増えてきている。
もちろん、それもいいのだけれど…

やっぱりこういう温もりを感じるおむすびもいいよなあ。



旧国道50号線沿い。
81歳のおばあちゃんが40年以上ひとりで握ってきたおむすび。

とても大切なことを教えてくれる優しい優しい味でした。

ご馳走たまでした!



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