つねとは

こんにちは。日記、みたいなものです。

つねとは

こんにちは。日記、みたいなものです。

マガジン

最近の記事

私の本棚について

22歳までのわたしのほろ酔いの帰り道は、いつもなぜか本屋に吸い込まれた。もちろん本当に吸い込まれるわけではなく、いつも飲んでいた都心から実家に帰る途中の乗り換え駅の中に小さな本屋があったからで、しかも遅い時間の乗り継ぎは悪く、なんとなく、本屋で時間を潰すからであった。その頃からだろうか、とりあえず読みそうな面白そうな本を見つけたら、買う、という癖がついたのは。まだそんなに本への執着もなく、仕事への繋がりもなく、ただ自身の好奇心や心地よさを満たすためのものだった。その酔っ払い本

    • またたび

      冬に白神山地へ山歩きをしに行った際、多くの湖、池を見た。観光客は皆寒そうに駐車場からほど近い青池なるコバルトブルーの見栄えの良い池を見ては足早に帰っていった。私と母は少し奥まで行くつもりだったのでいそいそと脇の道を進んだ。シーズンを外れていたためか山の中で人にはほとんど出会わなかったが、稀に出会う人は皆少し奇妙であった。 山の中で人とすれ違う際、大抵「こんにちは」と一声掛け合う。なのですれ違った人は少し印象に残るものだ。しかしあの山の中で出会う人はなかなか印象に残らなかった。

      • 雨の日の傘の下

        最近、一人暮らしをはじめた。 ここ何日か自分の期待に応えるべく、なんとなく忙しなく日常を形作ろうとしていた。 今日は朝からずっと降ったり止んだり、バスを待つ今このタイミングでの酷い雨にぼんやりとじぶんの輪郭がぼやけた。 一年前に遠くへ1人で引っ越して行った人が最近やっと生活をしている実感があり、穏やかな時間がこの一年余りなかったように思う。少しづつ持てるようにしたい。というようなことを言っていた。自分はこれからどうなるだろうか、となんとなくどんよりした空気に埋没する。 ぼつぼ

        • そういうもの

          私は道から降りる時、おいしょと思います。 そして道に上がる時、よいせと思います。 それは、歩道から道路に降りる時も、 スファルトの道から山道におりるときも、 川原から川に降りる時もです。 同じようにおいしょと思います。 そしてまた、同じように、上がる時はよいせと思うのです。 私はとりあえず冷蔵庫に溜め込みます。 貰えるものは全てもらって、溜め込みます。 人様の野菜の余りや、 職場で残ったお菓子、 売り場で安くなってた瓶詰め、 集まりで出た半端なお酒や調味料も。 そ

        私の本棚について

        マガジン

        • 本と美術
          1本
        • エッセイ
          5本
        • 5本

        記事

          神保原駅

          始めてきた土地、駅のホームで一人本を読んでいます。全く知らないお寺や遺跡の名前になんとなく懐かしくなった。涼しくなった空気に充満する暑さの終わりの匂いがとても懐かしく、寂しくなります。 本当に一人なわけではなく、ここで人を待っています。 背の伸びきった草がこれからうなだれようとしています。自分の祖母の家の辺りよりは栄えているものの、自分の実家の辺りよりは何もない。久しぶりに着た長袖のシャツの中を少し芳ばしい風が通り抜けて行きます。前を通り過ぎる列車の窓の明かりは白々しく、ま

          私は遠くが見たかった。

          私は疲れている。 今日もまた閉鎖された電車に乗り、仕事へ行く。 時間どうりにすら動けない電車。人が溢れたせいだ。 人が作り操るものすら、人によって乱れ制御できない。 今日、地下鉄の窓に映る車内と、透けて見えるゴツゴツとした灰色、そこにモネをみた。 私の目は良すぎた。 良すぎる目は遠くをよく写す代わりに、近くを見ることに不向きだった。 その目をもって、毎日小さな箱に乗り、目の前に人が立つことのストレスといったらなかった。 私は遠くが見たかった。 地下鉄の車窓から遠くを見

          私は遠くが見たかった。

          画家の言語の概念について

          『endless 山田正亮の絵画』 論考 田野倉康一 282貢『言葉はただ、歪むしかない。ー山田正亮と言語について』を読んで、 思考は言語なくして存在するのだろうか。 人はものを考える時、意識していなくても言語を使用している。考えるというのは思うことと違い、理由や経緯を必要とし、筋道を立てて客観的に分析、判断を行うことだ。思うというのは感覚的で曖昧なものなので考えとは又、別のものである。「こう思った」と断定的に言葉にするのは、自分がどう思ったかを考えた結果であって、思う

          画家の言語の概念について

          よりかかる

          適切な距離が大切ってよく言うけど適切な距離を保つことって本当に大切なんだなと、最近になってようやく思うようになってきた。 その必要性を理解してきた。 今、近くにあるものと大切にしなきゃいけないものがちぐはぐになっている。 本当に私が近くに置いて大切にしたいものは何かわからなくなってしまった。 よく考えるためにも色んなものから離れたい。距離をとりたい。そう思うようになった。 これは遠ざけたいとはまた違って、適切な距離を測るために一度少し遠くに置いてみる、離れてみるという作業

          よりかかる

          彼がみた私の夢

          ふたりがいた 自転車でふたりのり 坂をぐんぐん ぐんぐん登っていく あ、眉間に皺が 自転車を止める 脇の道をいく 綺麗な銀杏並木 晴れたいい いいお墓参り日和 ひらけた場所 それぞれが色々な人と それぞれに色々なことを おひとついかがですか? あ、また眉間に皺が 大丈夫です ありがとう 君はずんずん ずんずん進む ずっと眉間に皺が お墓参りをしよう 見た目はアパートだけど これは君のお墓 おかしいかもしれないけど 夢だから 君とお墓参り 君のお墓参り お

          彼がみた私の夢

          台風の夜の夢

          それはそれは大きな山だった 連なる山だった 雲立ち昇る山だった 海もあった 大きな杜もあった 深い緑の濃い空気 透けた雲が溜まる上がる下がる 車を降りた何も持たずに いや、お財布と携帯は持っていた いろいろな人がいる 押し付けるような海風 人は皆何故か清々しい顔をして風に負けていた むしろ少し楽しそうだった 私だけが物陰に隠れ風を避けていた 立ってみた出てみた 母が嬉しそうにこっちをみている 写真撮りなよ という カメラ置いてきちゃった という あら残念 という 見渡

          台風の夜の夢

          今日の夢

          黒い影だけ そこにあるのは水 ただそれだけ そこに木が立っている 静かな とても静かな 湖だった 足元に ただひたひたと揺れる 一つのもののよう それは それは 黒い影と水 頬を叩く 耳元でけたゝましく音を鳴らし いつまでもどこかへむかう #詩 #夢 #今日の夢

          今日の夢

          普段主に作っているのは美術作品 インスタレーションというジャンル分けできなかったものがごっそり溜まってジャンルになった様なジャンルのものを作っています。

          普段主に作っているのは美術作品 インスタレーションというジャンル分けできなかったものがごっそり溜まってジャンルになった様なジャンルのものを作っています。

          敵味方を共有しようとすること

          あの人は敵だ味方だ、好きだ嫌いだ 自分の思念を話しているようで同意を求めている。 自分の意見を述べているようで、私を敵か仲間か確かめている。 怖いことだ、それにふと気がつくととても仲間ではいられなくなる。 自分もやったかもしれない。 あさましい疑ぐりを。 やられると気分が悪いものを。 賛同してやるものかと少し意地になるものを。 今、私は彼が私の嫌いな人と話しているのを遠巻きに通り過ぎる。 ああ気持ち悪い。 あの人と話す彼さえも嫌いになりそうだ。 逃げるように一人図書館へ向か

          敵味方を共有しようとすること

          やっと言葉にしたら、眠れない。 致し方ないと起き上がり茹でてあったとうもろこしを半分、網戸越しに景色をみながらぼんやり貪った。 自販機でジュースを買う音。お釣りの出る音がした。もう一個ジュースの落ちる音。2人で買いに行ったのか。 お茶を一杯グッと飲み干してもう一度布団に入ります。

          やっと言葉にしたら、眠れない。 致し方ないと起き上がり茹でてあったとうもろこしを半分、網戸越しに景色をみながらぼんやり貪った。 自販機でジュースを買う音。お釣りの出る音がした。もう一個ジュースの落ちる音。2人で買いに行ったのか。 お茶を一杯グッと飲み干してもう一度布団に入ります。

          あぁ、この時なのか、と。

          別れるその日の後ろ姿がいちばん美しかった。 冬の風の強い日だった。 倒れそうになる自転車を懸命に漕いだ。 彼に懇願してももうダメなことは明確だった。 それでも携帯越しなんて、顔を見れば何か、何か違うはずだと、思いたかった。 思えば2年近く付き合っていた。 強い風の音が耳を塞ぎ遮断した。 自転車を漕ぐのに精一杯で、不安とか悲しみとかよりも彼の後ろについて行くのがやっとだった。 田んぼの間の道を西日が強く照らしていた。 案の定ダメだった。 部活終わりの白いワイシャツに強い風が、

          あぁ、この時なのか、と。

          +3

          はじめてのフィルムカメラ

          はじめてのフィルムカメラ

          +2