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神保原駅

始めてきた土地、駅のホームで一人本を読んでいます。全く知らないお寺や遺跡の名前になんとなく懐かしくなった。涼しくなった空気に充満する暑さの終わりの匂いがとても懐かしく、寂しくなります。
本当に一人なわけではなく、ここで人を待っています。

背の伸びきった草がこれからうなだれようとしています。自分の祖母の家の辺りよりは栄えているものの、自分の実家の辺りよりは何もない。久しぶりに着た長袖のシャツの中を少し芳ばしい風が通り抜けて行きます。前を通り過ぎる列車の窓の明かりは白々しく、まるでこちらと明らかに区別された世界のような空虚をもたらします。空虚、空虚の中身は思考で満たされます。空虚というのは虚構で拠り所から見る故、空虚なのです。

浅間山古墳。名所案内の下の方にある浅間山古墳。
それすらも陳腐な懐かしさに誘導します。
浅間山、前にテレビ番組で浅間山についてやっていた。ただそれだけのこと。

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