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シネマ・エッセイ 〜暮らしに映画のエッセンスを

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人生の旅路という表現が意味するように、時に人生は旅に例えられる。映画は、さまざまな人生の縮図。旅をするように楽しむ。日常の、または非日常の暮らしにもっと映画のエッセンスが注がれた… もっと読む
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2024年4月の記事一覧

映画『男はつらいよ50 お帰り寅さん』

映画『男はつらいよ50 お帰り寅さん』

昨年10月ごろ 仕事で奄美大島と加計呂麻島を訪れた
映画『男はつらいよ』シリーズ48作最後のロケ地である
30年前に両島で撮影されたロケ地を聖地巡礼

私自身は 寅さん映画を観たことがなかった
映画館で映画を楽しむようになったのも2017年であるから まだ7〜8年程
映画ファンとしてはひよっこである

加計呂麻島にある「リリーの家」で48作目を鑑賞した
寅さんを演じる渥美清さん
器量だけでない度

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映画『チャップリンの冒険』『サンライズ』

映画『チャップリンの冒険』『サンライズ』

1895年ごろ 動く映像が日本にやってきた
時代は大正から昭和初期にかけてのこと
全国に活弁士と言われる匠は8000人いたという
現在は20人
時代という時の変化を感じる

弁士は
「作品を語る」
「ことばを拓く」
と 弁士の澤登翠さんは伝えていた

「一生やめらんない」と
お茶目な一面を見せつつも
澤登先生は映画『サンライズ』において
主演男性の感情の浮き沈みが
人生の浮き沈みであることを

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映画『テルマ&ルイーズ』

映画『テルマ&ルイーズ』

「彼女たちの、自由が走り出す。」

この映画の惹句である
女性が主人公のロードムービーの代表作であろう

一方 易経を通してこの映画を観てみると
まったく異なる色彩を帯びる

易経には水山蹇という卦がある
四難卦のうちの一つ

危険な雪山を想像してみよう
大吹雪の中 その山に詳しい案内人もつけずに
入山したらどうなることだろうか

テルマもルイーズも
どの段階でも振り返ることはできた
後戻りをする

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映画『瞳をとじて』

映画『瞳をとじて』

映画館を後にする時のこと
同じ映画を観た年配の男性客が発した言葉が
いまも記憶に残っている

「若い時に『ミツバチのささやき』を観たけどよくわからなかった。
 でも、こんなに素晴らしい作品をつくるんだね」

ビクトル・エリセ監督の最新作『瞳をとじて』
映画の中の映画『別れのまなざし』では依頼者の娘を探す
そしてこの『瞳をとじて』では元映画監督ミゲルが出演者であるフリオを探す

まるで両者の映画が呼

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