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音楽のプロの定義は難しいし、そもそも吹聴することじゃない

音楽の世界は、プロアマの定義が不明瞭です。

例えばゴルフみたいにプロテストを通過して、資格としてプロという立場になればとてもわかりやすいのですが、音楽にはそうした資格もなければ線引きも曖昧なので、どちらとも言えない「状況」になっている人が大変多いのです。

そもそも、プロかアマかは自分ではなく第三者が、しかも人によって異なる見解でそれを判断する傾向にあります。例えば、音大卒業していればプロだと認識する人、いわゆるプロオーケストラに所属している人やプロオーケストラと共演してるソリストをプロだという人、教わっている音楽教室の先生はプロだと認識している、自分が認めた上手な人をプロと言っているかもしれません。

そう言えば小学生の頃、ゲームとかサッカーなど何かに非常に長けている人に対して「プロい!」と言ってたの思い出しました。余談。

そしてもうひとつ。プロを肩書きで線引きしていることも多いです。
例えば、またゴルフで申し訳ないのですが、プロテストを合格して試合に臨んだのに成績がいまいち振るわないことが続くと「プロなのにね」と言われてしまいます。資格を持っている以上、こう言われてしまのは仕方がないところもありますが、音楽の場合は世界的コンクールで優勝した人と、音大を出たばかりのノンキャリアな人と、コンクール受賞経験がないけれどプロオーケストラ奏者とをどのように線引きするかは人によって違います。

結局すべては第三者が決めていることです。

一方、「自分はプロです」と言い張ればプロになれるのも音楽の世界の面白いところで、自覚を持って活動し続けるその姿勢は決して悪いことではありませんが、プロだと豪語しても特に音楽に関する仕事(ギャランティが発生する音楽に関わる行為)がどのくらいその人にあるかは第三者からはわかりにくいものです。

ただ、経験上「自分はプロだ」と口に出して言い張る人を見たことがありません。ましてや言葉の節々に「オレ、プロだからさぁ〜」みたいに言っている人なんて出会ったことがありません。当然自分もそんなこと言ったこともないし、ギャグにもならないと思ってます。

プロであることを口にして言い訳にするのはみっともないので絶対にしません。多分この業界、みなさん同じだと思います。

プロだと吹聴しないのは、プロであるという自覚がないのとは別問題です。実際僕自身、音楽活動による収入だけで生活していますし、確定申告の職業欄にも「芸術家業」と書いています(「日本標準産業分類」でそういう職種が存在しているため)。だから多分分類的にはプロなんだと思います。
では音楽活動以外の、例えばバイトでも収入を得ている人は音楽のプロではないのでしょうか。これも結局自覚の問題であり、第三者がどう見るかで異なると思います。そもそも今のご時世、職業なんて明確に線引きできません。こうした曖昧なところに第三者が介入して「バイトしながら音楽活動しているなんてプロじゃない」とか言うのって、本当に失礼です。ほっとけ。

ですので、自分で自分をプロだ、なんていちいち口にすることはありませんが、自覚としては持っていて、それはなぜかと言うとプロである以上、一定の水準を維持し、それに見合った活動をし続けなければならない、という自覚と、第三者からこの人はプロだという目線で見られているプレッシャーを感じつつ音楽に関係する仕事をしているから、と言えます。


荻原明(おぎわらあきら)

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