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相手を思う気持ちと自粛をするのは全然別です

大人になってからはめったに風邪をひくことがないのですが、子どもの頃はたまに熱を出して学校を休む、なんてこともそれなりにありました。

当時のことなのでうろ覚えではありますが、熱が出ると朦朧として夢だか現実だからわからなくなりがちで、家中の家具やらポットやらが全部巨大になって見下ろされているような、そんな怖い夢(?)を見た記憶もあります。

「ぼのぼの」というラッコが主人公のマンガがありまして、独特な世界観とが面白く、小中学生の頃よく読んでいました。
その中に、「健康な時は周りの木や石や草に対して自分は無関心だけれど、風邪をひいた時には、周りの草木は自分に無関心だ」というくだりがあって、なるほどなと感心した記憶があります。

確かに、風邪を引いた時は体が辛いし、思考がうまくまとまらないし、このまま死んじゃうのかもしれない、とすら思ってしまい、「なぜ自分だけこんな辛い思いをしているのか」と孤独や寂しさを感じることもあり、周りの人に構ってもらいたい気持ちが生まれることは否定できません。

でもだからといって、自分が風邪なんだから、みんな自分と同じペースで生きろと他の健康な人を恨んだりするはずもありません。
逆に、クラスで誰かが風邪でお休みしたから、他の人はその人のことを思って慎ましく静かに生活しましょう、なんてことを言っていたら何もできません。心配はするけどそれはそれ。学校に来ている人は体育だってするし、給食だってモリモリ食べるわけです。

相手を思う気持ちは大切です。だから「具合はどう?」とメールをしたり、元気になって学校に来たら「よかったね」と声をかけてあげたいとは思います。とってもとっても仲が良ければお見舞いに行くのもアリですが、しかしクラス全員で半泣きになりながら熱でうなされている友人の家に暗い顔して押しかけていくか、と言えばそれはかなり気持ち悪い。

お正月の本来であれば最ものんびり過ごすお昼の時間、突然の大地震が発生しました。最初は携帯のアプリ「NERV」が活発に通知を始めたことで知りましたが、震度7という数字を見たと同時に東京もグラグラと長めの揺れが起き、東日本大地震を思い出しました。
石川県沖の大地震、火災、倒壊の情報をニュースやSNSで知るしかなく、何が起こっているのか完全に把握はできませんが、その場所で今まさに大変な思いをされている方がいらっしゃるのは事実です。家屋が倒壊して非難生活を余儀なくされている方も多いでしょうし、そんな家族親族を心配している方が日本中にいらっしゃることと思います。

では、そんな方々のことを心配して、お正月に親族で集まるのはやめよう、おせちなんて食べてはダメだ(被災された方がきっと食べられないのだから)、楽しいことは控えて、初売りに行くのは辞めよう。これらの自粛、何の意味があるのでしょうか。

しかしどこまで本当かわかりませんが、こうした思考になる人が一定数いるのはSNSで知りました、この思考って「自分が風邪でうなされているのだから、クラスメイトが授業を中断して全員自分のベッドを囲んで半泣きになりながら看病してほしい、心配してほしい」ということですよね。
そんなこと願う人が本当にいたら相当キモい。これ、かけっこをして一番遅い人に全員がペースを合わせる発想です。

そう言えば小耳に挟んだことですが、幼稚園などではかけっこで順位をつけない、優劣をつけないところもあるとか。全員の立場が平等である思想、危険ですね。赤い旗が見えそうです。

話があちこちに飛びましたが、相手を心配し、思う心は大切です。しかしだからと言って自粛、謹慎をするのは筋違い。それぞれが今できること、したいと思うこと、すべきことをすれば良いのです。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。