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オフィスのトイレ改装大作戦~内装材のショールーム巡り体験記

おもてなし空間を目指して
オフィスのトイレを改装することに!

この度、弊社(トリニティ株式会社)のオフィスのトイレを改装することになりまして、設計担当に任命されました。
トイレ改装大作戦と大ごとのようなタイトルを付けましたが、予算の関係上、出来ることや使える素材は限られておりまして、設計と言っても大したことはしていないのが実状です。(//▽//)
ですが、遥か遠い昔にインテリアデザインの仕事に従事していたので、昔取った杵柄で(?)久々に図面も描いてみましたー!

CADがないので、パワポで作成。つたない図面ですいません…m(-_-;)m

5年ほど前に隣のビルから引っ越しして、執務スペースや会議室は新装したのですが、トイレはデフォルトのままでした。
トイレってつい後回しにしがちですよね。でも、お店などでトイレがきれいで使いやすいと嬉しいですし、そのお店に対する評価も高くなりますので、弊社でもお越しいただくお客様へのおもてなしとスタッフがオフィスで快適に過ごせることを目的にイメチェンすることになりました。

アイカ工業株式会社「トイレに関する調査・2014年」(20~50代の男女各334名計668名を対象とするインターネット調査)より

化粧板メーカーのアイカ工業の調査結果でも、オフィスのトイレが汚いとオフィスのイメージが下がると回答した人が、男女共に約7割に上ったようです。オフィスのトイレも結構見られているのですね。

https://www.editionhotels.com/barcelona/ https://www.the-well.com/new-york

マリオットホテル&リゾーツが運営する高級ホテル「EDITION Barcelona」と2019年にNYマンハッタンにオープンした会員制ウェルネスサロン「THE WELL」のサニタリー空間。
ラグジュアリー施設は、トイレ空間にも世界観を一貫させていてさすがです。(調べてみると、意外とここまで力を入れていないケースも多いみたいですねー。)

https://www.axor-design.com/jp/bath/products/collections/axor-starck-v

フランスの大御所デザイナー、Philippe Starck氏がデザインした「AXOR Starck V」。
躍動的な水の動きを鑑賞できるガラス製の素敵な水栓金具です。
こういうのを付けられたら最高ですが… 現実は厳しい!(ちなみにガラスの部分は取り外して洗えるようです。)

残念ながらここまでのおもてなし装備はできませんが、少しでも快適な空間になればと思い、残暑厳しい中、重い腰を上げて「内装材のショールーム巡り」をしてきました~。(^^)/

時が経つのを忘れる空間だった
楽しすぎる内装材のショールーム

① まずは、壁紙を探しに「サンゲツ品川ショールーム」へ

まず、品川にある「サンゲツのショールーム」に行ってきました。広大なスペースに膨大な数の素材サンプルが展示されていて圧巻です。遅い時間に行ったのであっという間に閉館時間になってしまい、2回行きました。
選ぶのは壁紙2種類ですが、白い塗り壁風のクロスを選ぶだけでも凹凸感や刷毛のピッチが微妙に異なるものがたくさんあるので、凄く悩みました。

壁紙コーナー。この中から選ぶのは至難の技です。でも楽しかった~!

チャコールグレーのフラットな壁紙をアクセントに、残りの三方の壁を塗り壁調のテクスチャーの白いクロスにすることに決定!(^^)/

ついつい目移りして探しているのと全然違うのも見ちゃいます。
こういうのも個人的には好きです。

ショールームでは、内装材がどのように見えるかイメージできるように実際の生活空間が再現されています。
このモデルルームに使われている素材の品番も確認できます。

天然木目調の床材の種類も豊富でした。
エイジングした木の質感や色味を再現したものや、のこぎり跡をわざと残したラフな仕上がりの板材の表情を再現したものなどもあり、近年のナチュラル志向を反映しています。遠目に見たら本物の木と見分けが付かないです。

昔、インテリアデザインの仕事に従事していた頃にあった木目調とは雲泥の差です。当時の木目調は遠目に見てもフェイクだってわかりましたしねー。
あと表情もこんなに豊かではなく、小学校の机の天板みたいな感じでした。
本物のウッドフローリングでもそんなでしたから木目調なんて以ての外でした。

今ではデジタル印刷技術によって本物に見劣らないフェイク表現が可能になり、内装設計の可能性も広がりました。
設計から離れた者としては羨ましい限りです。
最近では、SDGsや脱炭素化社会の動きを受け、「炭素を固定化」する特性を持つ、と言うかそのような解釈がされることから天然木材(間伐材であれば環境保全により貢献)を多用するケースが増えています。
ですが、こうした化粧材は機能性が高い、メンテナンスが容易といった利便性が高く、便利な素材で必要だなと思います。カラー剤を使用するため天然素材が使いにくい美容院などには必要不可欠な素材なのかもしれませんね。

② 収納の化粧板を探しに「アイカ東京ショールーム」へ

https://www.aica.co.jp/show-room/tokyo/

洗面台の収納とトイレットペーパーなどの備品を入れる壁面収納に使う化粧板を探すために新宿にある「アイカ工業のショールーム」にも行きました。
ここもスペースが広く、商品の種類が豊富でした。アイカはウェブサイトでバーチャルショールームも展開されていて、上の画像はそれをキャプチャーさせていただいたものです。
バーチャルショールームは見学後に素材情報を再度チェックするのには便利ですが、やっぱり実際に出向いて実物を見るに限りますね。
デジタルカタログも各社展開されていますが、質感がわからないです(あと、色味も微妙に違ったりしますし…)。

同じ色味でもこんなに種類がある!😱

チャコールグレーの壁面に映える明るめの色味の木目調化粧板を物色。
白っぽかったり黄味がかっていたりグレイッシュだったり色味も様々で、モチーフとなる木の種類によって木目も異なるのでどれが良いか悩みます。
木目も木取りによって見え方がかなり違うので、それも化粧板のデザインに反映されています。

木取りによる木目の違い(筆者作画)

年輪がタケノコ型に現れる動的な表情の「板目」と直線で現れる静的な印象の「柾目」の中間の「追柾」の商品が多いように見受けられたので、トレンドなのかもしれません。煩すぎず地味すぎず程よい塩梅なのでしょうね。
わたしがインテリアの仕事をしていた大昔は柾目がトレンドでした。
その頃はノイズとなる柄があまり好まれませんでしたので、今とは価値観が全然違いました。
木目「調」とは言え化粧板も時代に応じてこんなにアップデートされているんですね。

洗面台の展示スペースに化粧板のサンプルを置いてどれにするか検討。
実はインテリアデザイナー時代にオフィスの改装を担当した際、デスクの天板に木目の強いチーク材を採用してクライアントに不評だった黒歴史がありまして、「板目」を選んで失敗したらどうしようと慎重になってしまうのですが、無難すぎて空間に面白味がないのも何だかなぁ~と思い、左側の板目の商品に決めました!

https://www.aica.co.jp/products/veneer/melamine/premium/feature/

アイカの高意匠&高性能化粧板「セルサス・プレミアムテクスチャー」の商品を選択。木目の凹凸と精巧な木目の印刷の相乗効果でリアリティがあり高級感もあります。

筆者自宅の壁面収納の扉の化粧板

今から14年前にシステム収納メーカーのManoneにオーダーメイドした自宅の壁面収納の建具の化粧板。木目調とレザー調とグロス塗装調の3種類で、これもアイカの化粧板です。
当時こんなにリアルなテクスチャーの化粧板があるのかー!?と感激しましたが、現在の商品はこれより遥かにリアルです。

予算、若干オーバーしましたが、洗面台の天板は濡れても大丈夫なように「コーリアン」(人造大理石)にすることに。天然木目調の化粧板の質感との相性も良さそうです。

③ 床材チェックは「東リ東京ショールーム」で

https://www.toli.co.jp/showroom/tokyo.html

五反田の東京デザインセンターに所在する「東リのショールーム」では、天然木目調の床材を確認してきました。

こんな感じに実物が床面に貼られています。
先のアイカの化粧板同様に、色ムラのあるエイジング仕様の木目調が主流のようです。

煤けた感じの古民家調のもありました(再現性高い!)。
洗面台の収納の化粧板を板目の目立つ表情のものにしたので、床材は色ムラの少ないオーソドックスなタイプにすることにしました。

新築/リフォーム予定の人たちにとって
「幸せの空間」だった内装材のショールーム

こうして3つのショールームを回り、サンプルもいただいて使う商品を決定しました!(ジャジャーン)

取り立てて目新しさはないコーディネートですが、洗面台の収納の化粧板がどう見えるか楽しみです。

https://www.cera.co.jp/product/list/detail/id=5684

ちなみに洗面ボウルは、CERAのヴェッセル式のマットホワイトのものを選びました。この上部に来るミラー収納には間接照明を仕込んで四方を光らせる設計にしています。「ホテルライク」になるかな?

今回、便器を新調することはできませんでしたが、便器のデザインも凄くスタイリッシュになっていますね。タンクレスが一般的なようです。
今のオフィスの便器はタンク付きで古めかしく見えるためタンクレスに替えたかったです。でも、タンクレスだと断水時に困るからこのままでもいいのかも!?

たかがトイレ改装ですが、図面を引いたりショールームを見たりしているうちに、自宅のインテリアもいじりたくなりました。
天井の壁紙が剥がれてきてぱっくり割れているのを見てみないふりをしているのですガァー… (๐_๐||)

サンゲツのショールームでは、自宅のリフォーム(或いは新築?)の素材の検討に来たと思われる人たちもお見掛けしました。サンプルのパネルを並べて考えたり写真を撮ったり、楽しそうでした。
内装を決めるプロセスで一番楽しい瞬間だと思います。
ショールームって「幸せな空間」なんだなと思いました。
同ショールームはコインロッカーや自販機もあり来場者への気配りがされていると感じましたが、今後のショールームには「カフェ」なんかもあると良いかもしれませんね。欲を言えば、照明の色温度での見え方の差異もシミュレーションできると良いです。

https://www.nativeunion.com/

あと、これは余談ですが、ショールーム巡りをしていて「スマホショルダー」の存在意義を初めて実感しました。最近、若い女性たちを中心に流行っているスマホを肩から掛けられるアレです。
素材の写真を撮っては品番や感じたことをメモったりするのにあれがあると良かったなーと、持っていないので後悔しました。近々ショールーム見学をするご予定のある方にオススメしたいです。v(^⭕^)v

篠崎美絵
トリニティ株式会社 執行役員                    デザインコンサルタント・クリエイティブ・ディレクター
インテリアデザイン事務所でファッションブランドのブティックをはじめとする商業空間の内装設計に従事。ミラノ工科大学にてデザイン戦略のマスターコースを取得後、2003年にトリニティに入社。
デザイン、カルチャー、ライフスタイルの観点から消費者価値観や市場の潜在ニーズを洞察し、具体的な商品/デザイン開発のアイデア創出のためのコンセプトシナリオ策定、及びトレンド分析を行うデザインコンサルティング業務を担当。


https://trinitydesign.jp/


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