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おやすみエッセイ~December 2023


12月1日

くるくると舞う

くるくる ふわり

少女はつらさを 歌と踊りに託します

ハレをまとって ケをはらう

おきゃくさんも 踊りだす

つらいつらいと 笑いだす

きいてきいて わたしの歌を

みんな集まれ 今を生きよう

心にとじた 鉛を抱いて

くるくる ふわり

うたって ふわり


12月2日

ここに本と静けさがある。

土曜日の図書館。ソファに座りなんの音もない世界に没頭できる。ひとつ本棚の向こうでは、娘がせっせと友に手紙をしたためる。

顔を上げれば明るいガラス張り、目前、紅葉もしばし丘と池と青空に心が落ちつく。

あとは珈琲でも出てくれば、最高かな。

12月3日

夜も寝静まる頃、そっとドアをあけて冷えた空にくりだす。

オリオン座に挨拶をし、地平線に落ちる上弦の月は堂々と黙している。

住宅街のきらめき
とおく店の電飾
谷間を走る電車

音すら消える冬の街は、映画のそれと変わらぬ映像をみているよう。

澄んだ空を見上げて、今日も

12月4日

文字を囲う、その広々とした余白に目を奪われた。

余白なのだから、なにもない。無論、文字は余白以外に在る、なのに脳はそこを注視した。

つまりは、人生だと思ったのだ。人の一生に必要な余白が、そこに在る気がした。

ある作家の、エッセイ本を開いた時の話。

12月5日

ろうそくの灯りは

あたたかさと 静けさを あらわす

消える

消えるということ

もし誰かに

おびやかされることがあっても

それがかなしい記憶として残っても

それでもまた 立ち上がって

あたたかな灯をつけよう

助け合える家族 仲間と 囲いあおう

12月6日

音がして外に出ると、凍えた夜空に火花が散る。

我が家の玄関はどこに繋がっているのか、季節をとわずまれに目前に咲くのだ。

いつも前触れがなく、今夜はひとりで堪能。

きんと冷えた空に打ち上げ花火とは、意外かどうか、アンマッチさは感ぜられない。

なんと贅沢なひと時。

12月7日

エプロンは、なぜかアップルパイを焼く時にしかつけない。
揚げ物でもつけた試しがない。

なんでだろう、なぜかそうなのだ。

作業台にはそこそこな大きさのまな板。

そこに小麦粉ふるって、生地を棒でのばす。

エプロンと私。
アップルパイで繋がる関係。

12月8日

どんなに忙しくても、夜は洗濯物を干します。

洗濯機をまわして干して畳む行為が好きです。

バスタオルなんか、顔をうずめて幸せ噛み締めたいくらい。

ただひとつ、苦手なものは洗濯バサミ。

どうしてだか、
つまんで 挟んで 乾かして
乾いて つまんで 型崩れ
が、苦手です。

12月9日

クラス全員、先生から花の苗をもらったらしい。

いっこのお花うえたら ちゃんとニョキニョキって生えてきたんだよ

楽しそうに話す娘。ふと聞かれる。

なんでママはお花すきなの?

なんでだろうね なんか昔から好きだね

木と花に囲まれた我が家は
大好きな私の居場所。

12月10日

我が家には最愛の雑貨が存在する。

その名も『ハハハハハンガー』。

母母ハンガー、でなはい。

ハハハハハンガーである。

キッズ用の木製のハンガーに彫られた模様が

ハハハハ
ハハハハ

と連なるためそう名付けた。

あるだけで楽しくなる雑貨たちは、私のお気に入り。

12月11日

街道から外れたこの場所で

夜の静けさをやぶり

うっすらと聞こえる。

あれは、そう、「真夜中を飛ぶ鳥」。

大きなつばさで空を切る音、しかし残像は音だけ、私の頭上まで響いてくる。

月と星と真夜中を飛ぶ鳥が、夜の平衡を保っている。

ほら、またきこえた。空を切る音が。

12月12日

地球には何百億もの生き物が住んでいるのに

私は私の人生しか知らなくて

たった隣にいる人の人生ですら、一部しか知らない。

もし関わり合えたとしても、それもほんの一部。

互いの一生は交錯するのに、不思議な感覚。

私は私の人生しか知らないなんて。

12月13日

いるだけでいごこちのいい場所は

空間が私を包んでいるのか

私が空間に溶け込んでいるのか どちらかだろうと思う

浅くゆっくりな呼吸をしても 苦しくない場所

そんな場所が 私にはいくつかある

いごこちのいい場所は なにも"場所"だけじゃない

12月14日

夜に帰宅するなんて、もうそうそうないけれど

はやくに陽が落ちるから、少し遅くなればもう夜更かしした気分になる

ドアをあけて、暗く暖かい空気の中

目前にきらめくChristmas treeは

両の目のわるい私には、やさしくぼうっと輝く

いちにちでほっとする瞬間

12月15日

学校の敷地ほどある丘が丸裸にされた。
背丈以上あった草が、すべて刈られたのだ。

うさぎの一家や猫、キジやへびなんかも目撃されている近所の丘。

春の早朝なんかは、鳥たちの声が朝露とともにこだまして響く。

木はないのに、不思議な丘。
またみんな、戻ってくるだろうか。

12月16日

非情な現実を目の当たりにして心が沈みます

解決策とならないのに、どうして戦争だ、争いだと言うのでしょうか

それ以外の手段が無いからですか

鉄砲で心臓を貫き、家を壊し、心を砕く行為は、我を通しているだけです

子どたちとその家族を傷つけるのは、もうやめてください

12月17日

寒空の下、おでんにお酒。いいですね。

私の人生におでんの屋台は存在しなかった。
だから常連客として通える人は、ちょっとうらやましい。

冬といえば、燗。
ああ、懐かしい。1年ぶりの響き。

酒を細口にそそぎ、湯に徳利を沈める。
そこに炙ったヒレを落とすのも、また最高。

12月18日

子どもの頃に五感で感じていたことを

それを今でも感じられれば

私の描きたい物語も形作れるだろう

もし、あの頃よりも感覚が鈍くなってしまっていたら?

そたら、しょうがないから、今日の五感を頼りに

今、感じるままに
描いていこう

それが私の小説物語の描き方。

12月19日

目に見える範囲でしか広がらない世界を

出歩くことで、本を開くことで、人とかかわり合うことで

広げられる。

私の世界は私だけのもの。

誰のものでもない。

けれど、この世界は

無数の人で形作られている。

同じ場所を行き来していた人生

もっと自由に広げていこ。

12月20日

遠吠えが聞こえる。

珍しいな、ここらはヘビやうさぎやウリボーや猫はいても
のら犬はいない。

静かな寝室に、分厚い壁を突き破って
何かを訴えてくる。
なかまを呼んでいるのかな。

あれ、声が途切れた。
家路に着いたのだろうか。

静けさのもどる中、目に見えぬ彼を思う。

12月21日

睡魔って、どうして魔という字を書くんだろう。

睡の世界には、魔物が棲んでいるのかも。

眠ってしまったら悪魔がやってきて、あの世に連れていかれるよ。
昔の人はそう説いたのかも。

今は人だけど、生まれは鬼だと子らに名乗る私でさえ、わからない。

鬼と魔物は違うものね。

12月22日

寒い

寒い日の足元

霜柱に足あと

マフラー

くびもとがあたたかい

手をつなぐ

早朝のある日

ランドセルと歓声と霜をふむ音

ちいさな喜びがあふれる朝

12月23日

『言葉の海に溺れる』

そんな体験をしてもらいたいですね。

活字好き

という、目の肥えた人を虜にする

そんな書き手になりたい。

わくわくが鳴り止まず

私を楽しませておくれ、と

そんな思いで最後まで

私の綴る活字に溺れてもらう。

そんな書き手になりたいのです。

12月24日 Christmas Eve

わくわくが止まない娘は

ちょっぴりサンタさんと鉢合わせたい様子。

寝ない子にはサンタさんこないよと、事実を伝える母。

すると、ありがとうのココアを置いておくと言い、準備をして
マシュマロも添えました。

お疲れのサンタさん、我が家はホットココアのある家ですよ。

12月25日 Christmas

何はともあれ、今年も無事に過ごせた、それだけで私ってばえらい。

大病もなく大きな怪我もなく。

バタバタと時が駆けてしまったけれど、仕事はこれまで以上に頑張ろう。

辰年は、もっと自分らしい仕事をして駆けてゆきたいです。

そして心身の健康第一で過ごします。

12月26日

心が吹雪く時がありませんか。

すさんでしまって重たくて、心が持ち上がらない。

そんな時、わたしは布団にしずみます。

ちり紙を手に部屋にこもります。

つかの間のひとりきり。

つまり、休むという事です。

身体と同じように、心にも休息が必要です。

砕ける前に。

12月27日

人って不思議です。

人生に目的がないと地に足がつかない。

目的がなければ、
地表をただよう浮遊物と同じ。

私がそうでした。
生きづらさを感じ、ただ過ぎる日々、生きる意味を見出そうとしました。

生きるのに目的が要るだなんて
なんて面倒で不思議な生命体なのでしょう。

12月28日

家族や仲間がいることは、人にとって必要なこと。

家族がいない人は、仲間を作ればいい。

仲間がいない人は、家族といればいい。

誰かといられれば、いざという時に助け合えるはず。

家族も仲間もいない人は、身近でも遠くても、誰かと関わりを持つこと。

自分を知る存在は、いつか自分を助ける。

12月29日

流れ星が海に落ちてる

と、娘がつぶやいて
なるほどそうかと考える。

私が瞬きしている間に

誰に看取られるでもなく、

深い深い海に落ちていく。

そしてたまたま訪れた地球の一部になって

長い旅路の末、流れ星は休息に入る。

そう考えるのは、私が地球の人だからだろうか。

12月30日

人は本当に地球にとって必要な要素だろうか。

人は地球を必要としている、けれど

地球は人を必要としていない。

人っこひとりいなくなったとて、地球はおろか、動物や植物たちも困らないだろう。

むしろ我々は地表にはびこって、戦争だの環境破壊だのやりたい放題ではないか。

12月31日 大晦日

娘とふたり、紅白を観てお蕎麦を食べて0:00を待っていたら、静かに年をまたいだ。

ハグをして、おめでとう、今年もよろしくと声をかけ合う。

旦那は睡魔に勝てず寝てしまったし、遊びにきていた家族は新年を待たずに帰宅。

それぞれ思い思いに過ごした、我が家の年越し。

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