三角関数の人類史④~古代インドの叡智
前回はこちら。
前回までは古代ギリシャを舞台としていましたが、「sin(サイン)」「cos(コサイン)」などの用語はまだ登場しません。
これらの用語の起源をたどるには、古代インドの数学に触れなければなりません。
前4世紀、マケドニアのアレクサンドロス大王が大征服事業を行いました。その結果、東洋と西洋の文化交流が深まりました(ヘレニズム時代)。
古代ギリシャの数学の成果もインドに伝わり、インドの数学や天文学でも三角法の大きな成果が現れました。
3~6世紀、インド北部を支配したグプタ朝時代のことです。
499年、インドの天文学者・数学者のアリヤバータが、天文学書『アリヤバティーヤ』を著しました(トップ画像はアリヤバータの像)。
その中には、円の直径と弦の比、つまり現代的な三角比の概念が登場します。
今でいうsinは、この書物では「jiva(弦)」となっています。cosは「kojiva」となっており、これが紆余曲折を経て「sin」「cos」の語源となるのです。
(続く)
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