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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2022年11月の記事一覧

【書評】木村裕主『ムッソリーニ ファシズム序説』(清水書院)

【書評】木村裕主『ムッソリーニ ファシズム序説』(清水書院)

 第一次世界大戦後にドイツ・イタリアや日本などでおこったファシズム(全体主義)は、第二次世界大戦の惨禍を引き起こしました。その歴史から現代人が学ぶことは多いはずです。

 しかし、ヒトラーの関連書が無数に手に入るのに比べ、彼と双璧をなすイタリアのムッソリーニの評伝は、日本語では意外と多くありません。

 学校の歴史の授業だと、ムッソリーニはヒトラーの添え物のように扱われている感じは否めません。しか

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【書評】萩原淳『平沼騏一郎』(中公新書)

【書評】萩原淳『平沼騏一郎』(中公新書)

 1939年8月、敵対していたはずのナチスドイツとソ連が突如独ソ不可侵条約を結び、世界を驚かせました。
 日本の平沼騏一郎内閣も衝撃を受け、「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」とする声明を発して総辞職しました。

 一般的に、平沼騏一郎の名は「欧州情勢は複雑怪奇」という「迷言」とともに記憶されています。もう少し詳しい人でも、右翼的思想の持ち主であったこと、戦後A級戦犯として裁かれ終身刑になっ

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