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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2021年6月の記事一覧

【書評】本郷和人「日本中世史の核心」

【書評】本郷和人「日本中世史の核心」

中世史の専門家である本郷和人氏の著作。日本の中世史(鎌倉・室町・戦国時代)を概観するための8人のキーパーソンが並べられている。

その内訳は以下の通り。

源頼朝、法然、九条道家、北条重時、足利尊氏、三宝院満済、細川政元、織田信長。

源頼朝と足利尊氏、織田信長はわかる。法然は中学、細川政元は高校の日本史教科書に載っている。が、九条道家・北条重時・三宝院満済というメンバーは知名度も低いし、なかなか

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【書評】細川重男「執権」(講談社学術文庫)

【書評】細川重男「執権」(講談社学術文庫)

某カリスマ予備校講師が、「その人の本棚に講談社学術文庫が何冊あるかで教養レベルがわかる」的なことを言っていた。確かに、渋くて勉強になるラインナップがそろっているし、濃紺で統一された背表紙が本棚に並ぶさまは一種の威厳さえ漂う。

そんな「お堅い」講談社学術文庫だが、笑いどころの多い本もわずかに存在する。一冊はいしいひさいち著「現代思想の遭難者たち」、もう一冊は本書である。

本書のテーマは、

「北

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【書評】「第一次世界大戦と帝国の遺産」

【書評】「第一次世界大戦と帝国の遺産」

未曽有の戦争となった第一次世界大戦は、歴史にどのような影響を与えたか。本書は、「帝国」に焦点を当てたオムニバス形式の論説集である。

第一次世界大戦は、列強の帝国主義的膨張の結果として勃発した。そして戦争の結果、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、ロシア、オスマンの4つの帝国が崩壊した。また、イギリスやフランスの帝国主義のあり方も変化させたのである。

例えば、フランスでは軍事力や労働力の需要が高ま

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