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恋と学問

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もののあはれとは何か?本居宣長「紫文要領」から読み解く、源氏物語の魅力と本質。
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2022年8月の記事一覧

恋と学問 第19夜、もののあはれとエコノミー。

恋と学問 第19夜、もののあはれとエコノミー。

源氏物語の「帚木の巻」で展開されたコイバナ、いわゆる「雨夜の品定め」について、前回は内容の紹介しか出来なかったので、今夜は本居宣長の解釈に踏みこみます。前回を読まなくても分かるようには書くつもりですが、気になるかたはそちらも読んでみてください。

宣長が注目したのは次の発言です。

これを谷崎潤一郎は次のように訳しています。

しかしながら、宣長の解釈に従って訳せば、これとは全く異なる訳文が出来あ

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恋と学問 第18夜、千年前の恋バナ。

恋と学問 第18夜、千年前の恋バナ。

光源氏17才。・・・

五月雨がうっとうしく降りしきる夜に、3人の友が集まってきた。

頭中将(とうのちゅうじょう)
左馬頭(さまのかみ)
藤式部丞(とうしきぶのじょう)

いずれも海千山千、まだ若いのに、幾多の恋愛を経験済みの色好み。彼らが集まって話すことと言えば、恋の話に決まっている。

話題はいつしか「理想の女とはどんな女か」に移り、ああでもない、こうでもないと、埒のあかないままに夜が明けた

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