私信　憲法第９条

「新憲法はアメリカ人が作った」との言説を錦の御旗に
「9条」を否定するあなたへ
言葉を簡ばず人を辱めることで
「軍隊を持て」「核を持て」と声を張る　あなたへ

第2次世界大戦を無条件降伏で幕を閉じた日本
連合軍によって戦争犯罪が問われ
被告が日本人だけの軍事裁判が開かれ
「絞首刑」の言葉がくりかえし告げられた市ヶ谷
そして「新憲法」が成される時
アメリカは
原爆の下に平和などなかったことを知っていて
終戦の先に不戦などないことを知っていて
そして「第9条」を明文化した

はじめに　日本人による試案が在り
ＧＨＱが草案を成し
内閣との折衝を経
衆議院にて審議され※1
第9条に「平和」の文言が
第25条　生存権が
その他の権利条項等が追加された※2

断続する戦争の時代を超えて
計り知れない傷みを思い知り
不安のない日常と
戦争のない世界を
恒久であれと願う平和への祈りの前に
紛争の地からも
戦争の時代からも
遠く離れたカフェで
あなたの国粋主義は私を納得させ得ない
私の思いが
あなたには机上の理想論で
あなたには卑怯に映るように

広島の慰霊碑は告げる

安らかに眠ってください
過ちは繰り返しませぬから

広島平和公園原爆死没者慰霊碑

様々な解釈がある中
私は「日本も核を持ち、敵国に備えよ」と云う被爆者を知らない

記録映像の中のアインシュタインが語りかける

未来の紛争を想定して行動している限り、平和は実現不可能です
大量破壊兵器に限らず断固として暴力を放棄することが
絶対に必要です（字幕）

ＮＨＫ　映像の世紀-バタフライエフェクト-「アインシュタイン　科学者の罪と勇気」

衆議院での審議メンバーであった鈴木義男は記す

今度われわれは国を建て直すことになったのであって、そのために世界を見なほすこと、世界に対する考え方を根本的に変えることを明にしたわけである。そのために平和宣言を行なったのである。これは世界の憲法史上画期的なものである。それだけ文化的意義が深いのである。

鈴木義男『新憲法読本』35頁「第4章　平和主義の憲法」（鱒書房、1948年）
※国立国会図書館　デジタルコレクションにて閲覧可能

21世紀は
誰かが利益のために敷いたレールの上を
怨讐を煽られて走る列車から
降りる時代でありたい

※1）マッカーサーから近衛（当時元首相）と幣原（当時首相）に「帝国憲法改正」が打診され、「近衛試案」は近衛の戦犯容疑浮上により立ち消え、「幣原試案」は「国体護持」「改憲不要論」等をふまえた内容であった。他に、民間においても「試案」がなされ、就中、鈴木安蔵らの「憲法研究会」による「試案」は「国民主権」「天皇委任制」「人権」等が記されており、GHQに評価されてアメリカ国務省へ送られた（【参考】BS-TBS「関口宏の近現代史▽昭和20「 国際連合設立・憲法改正へ」2021年10月30日放送）
※2）憲政記念会館所蔵『帝国憲法改正小委員会速記録』（【参考】ＮＨＫ　ETV特集「義男さんと憲法誕生」2020年5月2日放送）