どんな料理もおいしくしてしまう"とっておきの魔法"は「ハラペコ」なんだと気づいた、ワーキングママの話。
ワーキングママになって、約3週間。
ワーキングママといってもまだ研修中なので、気楽に出勤している。デビューしてお客さんと関わるようになったら、また感じることはいろいろと増えていくだろうけれど、今の時点で「ワーキングママになってよかった!」と思った瞬間ベスト1は・・・
夜ごはんが、とてつもなくおいしい!
ということだ。
運動やスポーツをするのが好きだったり、外にお出かけして動き回っている専業ママさんには、当てはまらないかもしれないけれど、
インドア&放っておいたらずっとじっとしていられる私が、ほぼ専業ママとして過ごすと、1日の運動量が少なすぎるのだ。
幼稚園バスは、マンションの下まで来てくれる。息子が幼稚園に行ったら、ほぼ家の中で過ごす。たまに電動自転車で10分圏内のスタバやマクドなどに行って、数時間居座ってやりたいことをやる。1ヶ月に1〜2回は友達とランチするために電車に乗ったりする。そして夕方になると、またマンションの下にバスが来てくれる。そのまま公園に流れていって遊ぶ子供たちのそばで、ママ同士で立ち話をする。そして5時になったら家に帰る。体が固まっているな、気持ち悪いな、と感じたら、朝か夜に20分ほどチベット体操やヨガをして体をほぐす。
そんな感じの毎日だった。
アタマやココロばかりを動かして、カラダを動かしていない感覚があった。
朝ごはんをがっつり食べると、お昼になっても全くお腹が空かないので、朝ごはんを軽めにするようになった。
それでもそんなにお腹が減らない。
それならお昼ごはんを軽くしたり抜けばいいのだろうけど、家にいるとなんとなく食べてしまう。さらにそのあと、コーヒーとおやつまで食べてしまうので、夜ごはんの時間になってもまたまたお腹が空いていない。
それなら、夜ごはんを軽くしたり抜けばいいのだろうけれど、自分が食べなかったとしても家族のごはんは準備しないといけない。家族が食べている横で何も食べないなんて私にはできず、けっきょく家族と同じだけ食べてしまう。
息子が幼稚園に入ってからの1年間、私のお腹はいつも満たされていた。
空っぽになることが、なかなかなかった。
そしてここ3週間。
幼稚園バスは時間が間に合わなくなってしまったのでやめた。幼稚園まで10分ほど自転車をこいで送っていく。そしてまた10分かけて家に戻ってきたら、残りの家事をしたり夜ごはんの準備をしたり研修内容をざっくり復習したり。10時15分になったら25分間自転車をこいで職場に向かう。11時から16時半まで研修を受けたあと、また35分間自転車をこいで幼稚園に向かう。息子を乗せて、また10分ほど自転車をこいで家に帰る。
そんな感じの日々。
11時からの5時間半勤務なので、休憩はない。朝ごはんは軽くヨーグルトと果物などを食べて、家を出る前にお茶碗に半分くらいの白ごはんの上に納豆か生卵をのせて食べる。それから夜の7時まで何も食べないので、夜ごはんを食べる頃には「お腹がペコペコ」の状態ができあがっているのだ。
出勤初日、そのペコペコのお腹に冷麺が入ってきたとき、感動した。
「お〜い〜し〜い〜!!!!お腹が空いているときに食べるごはんって、こんなにおいしいんやなぁ。」
しみじみとそう言いながら冷麺をチュルチュルと吸い込む私のことを、ポカンとした顔で見つめる息子と、「そりゃよかったね。」と淡々と相づちをうつ父ちゃん。
外で働く父ちゃんと、幼稚園に通う息子は、毎日こんな感覚でごはんを食べていたのかもしれない。
この「1日おつかれさま感」と「食べ物が体に染みわたる感」を久しぶりに味わうと、それだけで外で働くのも悪くないかもしれないなと思った。家で仕事をしている人でも、この感覚を味わえる人もいるのかもしれないけれど、私の場合はそうじゃなかった。
ハラペコの状態で夜ごはんを食べはじめると、「今日1日、自分に与えられているカラダとアタマとココロをめいいっぱい使いましたね。そのご褒美に、いつもよりちょっとばかり"ごはんがおいしくなる魔法"をかけておきましたので。おいしいごはんを食べて、ゆっくり眠って、また明日も思う存分がんばってくださいね!」なんて、だれかから言われているのを想像してしまうくらいに、ごはんがおいしい。そしてその魔法のかかったごはんたちが、ほどよく疲れたカラダとアタマとココロに染みわたっていく感じがたまらなく心地よい。
逆にお腹がまだ空いていないのに食べていると、「味がおいしい」という幸せを感じつつもどこか後ろめたいような、どこか申し訳ないような気持ちになることがあった。「働かざる者食うべからず」というけれど、それ以上に「食物連鎖」の中で生きている私の中の「お腹が空いてから食べなさい!」というサイレンのようなものが作動していたのかもしれない。お腹がすいていないのに食べるのはきっと人間だけだし、もしすべての生き物がお腹がすいていないのに食べてしまうようになれば、"循環"が崩れてしまうから。・・・なんて小難しいことを考え出してしまうくらい、まだまだエネルギーが余っている感覚があった。
まったく同じ料理であっても、お腹のすき具合によって"おいしさ"がちがうなんておもしろいなと思う。でもどうせ頂くのなら「よりおいしく頂く」のが、食べ物に対しての敬意のような気もする。
ワーキングママ助走中の私が久しぶりにハラペコになって。どんな料理もおいしくしてしまう"とっておきの魔法"は「ハラペコ」なんだと気づいてしまった。どんなすばらしいシェフの料理も、たとえば焼き肉をたらふく食べた後にはおいしく感じないにちがいない。「別腹」という言葉もあるから、本当のところはよくわからないけれど。
「ハラペコ」になるためには、カラダをたっぷり動かして、アタマをたっぷり働かせて、ココロをたっぷり動かせばいい。そしたらエネルギーを使う。人間にはスマホみたいに「残り○%」なんて教えてくれるメーターはないから、「エネルギーを補給してくださいね」という合図として「お腹がすく」のだ。
もしくは、「ハラペコ」になるまで待てばいいんだと思う。放置しているスマホだって少しずつ電池が減っていくように、私たちだってじっとしていてもエネルギーを使っている。心臓は絶えまなく動いているし、それに合わせて血液が循環している。カラダの内側はどんなときでも忙しく循環しているのだ。そして、アタマやココロをじっとさせることができる人はほとんどいないから、アタマやココロを動かすことでもエネルギーは少しずつ使われているんだろう。
「ハラペコ」になる速度は、「動き方」や「過ごし方」や「基礎代謝がどのくらいか」などによって人それぞれだと思う。朝たべたら夜までハラペコにならない人、朝はお腹がすいていなくて、昼になってからごはんをたべる人、などなど。もちろん、朝たべたら昼にはハラペコになっていて、昼たべたら夜にはハラペコになっている人もいるだろう。
なにはともあれ、「ハラペコ」になったらエネルギー補給をする、ということ。
そんなの当たり前のことを、すっかり忘れていた。充電しっぱなしのスマホみたいに、ここ最近の私はいつもエネルギーを継ぎ足して継ぎ足して過ごしていた。
底の方に古いガソリンがいつも残っている感覚は、少しモヤっとするものだったりする。
エネルギーを空っぽまで使い切って
またエネルギーを満タンに補給する。
そのエネルギーがグルグルと循環している感じは、すがすがしくて、心地よいものだ。
がんばって、ゆるめて、がんばって、ゆるめて。
使いきって、補給して、使いきって、補給して。
ハラペコになるということは、その循環とバランスが、うまくいっている合図のような気がする。
だからお腹がグ〜ってなると、なんだかうれしくなる今日この頃だ。
「ハラペコ」からの夜ごはん、バンザイ!
1年間ゆっくりと専業主婦をしていたママが働きはじめて、1番最初に感じたことが「夜ごはんがおいしい」なんて、ぜんぜんかっこよくないけれど。人間臭すぎるけれど。
まだ働きはじめて3週間で「ハイ」な状態なんだろう。「幸せ」「楽しい」「おもしろい」という部分だけがキラキラ輝いている。
しばらくすれば、そのキラキラと同じだけの「しんどい」「いやだ」「めんどくさい」「いそがしい」なんていう部分がどんどん湧きあがってくるんだろう。今までの人生で、「楽しいだけ」で完結することなんて一度もなかったから。
昔はなんとか"それらを避けよう""それらから逃げよう"ともがいていたけれど、今はそうじゃない。
いろんな時期がある。
仕事を辞めて専業ママになったら、
時間には余裕があるし、
大好きな家にいられる時間が長いけれど
お金が底をついたり、
子供とべったりで煮詰まったり、
なんだかエネルギーが余っちゃっている、
なんて思う。
そしてまた仕事をはじめたら、
お金を自分でかせげるし
子供とある程度距離をとって余裕ができるし
エネルギー循環がいい感じだけれど
きっと時間が足りないと感じたり
お家でゆっくりしたいと感じたり
仕事でのモロモロに心を使うのだろう。
でも、それはそれでよし。
来るなら来い!
そんなふうに、ドシッとした感覚でココにいる。
だからこそ今だけは、「夜ごはんがおいしいな」なんてバカみたいにシンプルな幸せをただただ味わって。"魔法みたいだ"と無邪気に喜びながら、毎日夜ごはんをモグモグ食べていたっていいじゃないか。
そんなふうに開き直って、これからきっと訪れるであろう"いろいろなこと"と向き合う、心の準備と栄養補給をしている。
さてさて。研修がもうすぐ終わる。
ワーキングママ生活の本番はこれからだ。
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