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知っておいて損は無い 世界はゆっくり進歩している  書籍「ファクトフルネス」

コロナ禍が当たり前となった私たちの日常。感染者数や死亡者数など、悲観的な数字を目にしない日はありません。

気持ちが塞ぎこみになりがちの時だからこそ、少し見方を変えてみたい。

私たちを取り巻く世界の真実に目を向けることで、ストレスを少しばかり減らして、気分を少しだけ軽くするような考え方も有りではないでしょうか。

書籍「ファクトフルネス」とは?

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今回紹介するのは「ファクトフルネス」。2019年のベストセラーにも数えられている一冊です。

著者はスウェーデン出身の医師、ハンス・ロスリング。世界保健機構やユニセフのアドバイザーとして活躍、スウェーデンで国境無き医師団の立ち上げもしています。

2005年にギャップマインダー財団を設立して、息子夫婦らと共に、事実に基づく世界の見方を広める為の講義やTEDトーク(無料試聴動画配信サービス)など精力的な活動を行います。2017年没。


この本では、人間の間違った思い込み10選をテーマに、世界に関する正しい事実についての詳細が述べられています。

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・世界の平均寿命の変化
 1800年は31歳だった寿命が、2017年には72歳まで延びている

・災害による死者数(年間死亡者数 10年間の平均 )
1930年代には、死者数が97万人だったのに、2010年代になると、7.2万人まで減少している。

・携帯電話の保有率(世界人口における携帯電話を持っている人の割合)
1980年 0.0003% →  2017年 65%まで増加している。

他にも、オゾン層破壊物質の使用量減少や新しい音楽の増加(1年あたりの新譜数)、予防接種の割合の増加(1歳時)など、幅広い分野の数字データを元に、世界がどんどん良くなっているという持論が展開されていきます。

この本を読むと、普段、私たちがどれだけ間違った認識を持って、世界を眺めているのかがハッキリします。

世界が悪くなっていると思い込みやすい理由とは?

太古の昔から人類は本能を働かす事で、怪我や毒などを回避し、安全に生きて延びてきたという、長い歴史があります。

その為、危険を避ける為の本能が発達する過程で、いわゆる物事のポジティブ面よりネガティブ面に気付きやすいという特性が、人には備わっているのです。

メディアは、この特性を逆手に取り、火事や自然災害、交通事故や虐待、最近だとコロナウイルスですが、私たちの恐怖本能を大いに刺激しながら、ドラマチックに注目を集める手法が主流化になっています。

報道関連の(地上波が特に酷いと感じています)質の低下が叫ばれている日本だけに限らず、世界各地でも同じような状況は起きているのです。

とはいえ、「メディアはけしからん!」とか、「偏向報道のジャーナリストは排除せよ!」などと、一方的な批判をしたくなる気持ちはよく分かりますが、少々筋違いに当たります。

もし、報道員が、

「○○市の本日の交通事故死者数はゼロでした。」

「△△新幹線が、▲▲駅に定刻通りに到着しました」

「□□病院のコロナ感染した入院患者のうち、■人が無事に退院しました」

という良いニュースの記事を書き上げたとしても、採用はおろか、ジャーナリストとして失格の烙印をおされる可能性すらありえるのです。

(それでもコロナ関連の情報で、感染者数や重傷者によって恐怖心理をやたら煽るやり方には、大いに辟易を感じますが)

その為、私たちが生活している世界では、良い変化の方が悪い変化より多い場合でも、あなたの耳に良い情報が届きにくいのには、ちゃんとした理由があったのです。

普段から「悪いニュースの方が広まりやすい」という事をしっかり認識した上で、自分で気を付けながら良いニュースを探すことがポイントです。

現在は、ネット社会の発達により、私たちは世界中に存在する多くの情報を瞬時に手にできる時代となりました。

悪い情報も拡散しやすくはなりましたが、取捨選択の自由は私たちの側にあります。

意識を少しだけ変えて、希望のある情報にもしっかりアクセスしていくことが大事なんだと思います。

「ファクトフルネス」は 今あるコロナ世界も予測していた!

この本では、今後の世界が直面するであろう5つのリスクとして、世界的な感染症流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、極度の貧困が挙げられています。(執筆時期は2017年頃)

コロナ時代である現在を、完全予測していたその慧眼には、ただただ賞賛する他はありません。

「恐怖」と「危険」は全く違う。恐ろしいと思うことは、リスクがあるように「見える」だけだ。一方、危険なことには確実にリスクがある。

これぞ、見えない恐怖に右往左往するコロナ時代を端的に表した言葉だと感じました。


そして何よりも

自分の考えを裏付ける例を集めたりするより、意見の合わない人や反対してくれる人と会い、自分と違う考え方を取り入れよう。それが世界を理解する素晴らしいヒントになる
謙虚であるということは、本能を抑えて事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気付くことだ。自分の知識が限られている事を認めることだ。
事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも、世界を良くし続けるために、私たちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ。

などの人生における格言のような下りが多数、記されています。自己啓発としても十分通用する内容、全世界でベストセラーになったのは、至極納得です。

先行きの見えにくい、不安な今の時代だからこそ、目を通しておきたいこの1冊といえます。

ここまでご愛読ありがとうございました。


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