「影差す牢格子」「種子と撒く者」ーー映画『戦場のメリークリスマス』の原作を読んで
原作はローレンス・ヴァン・デル・ポストの『影の獄にて』という短編集のなかの2篇である。
ひとつはハラ軍曹について扱った「影差す牢格子」。
もうひとつはヨノイ大尉と捕虜ジャック・セリエの交流を扱った「種子と蒔く者」。
原作を読んではじめて気づいたが、大島渚の映画はそれぞれ独立したこの二篇を忠実に描きながらもうまくまとめ上げている。とくに激昂したヨノイにセリエが立ち向かうクライマックスのシーンなどは、原作とまったく変わらない。
※ちなみに原作には映画の冒頭のような切腹シーンはない