もう星の名前を教えてはくれぬのか

足元を照らそうとして、闇を追い払おうとして
もう夜空の星も見えなくなってしまった
私の目が衰えたのか
街の光が強すぎるのか

もう星に導かれて道を進むこともない
もう星の名前も思い出せない
宵の明星と飛行機の瞬く光とを見誤るとは

"我が友ピングよ もう星の名前を教えてはくれぬのか…"

夜の闇の漆黒が私を飲み込むことがもうないのか
輝く星々の天蓋に押し潰されそうになることはもうないのか
星の光が語る神話に耳を傾けることはもうないのか
神話に身を焦がされた巫女の狂った声に狼狽えることは、もうないのか

夜はもう、闇と恐怖と死とで私を拐かしてはくれないのか

"我が友ピングよ もう星の名前を教えてはくれぬのか…"

※……""部分は木城ゆきと『銃夢 ラストオーダー』2巻p.163より引用

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