悪魔が他人の顔をしていない
悪魔が他人の顔をしていない
よく知った顔だった
分かってるんだろう?という顔で僕を見ている
分かっていたような気がする
こうなることは知っていたのに
分かっていたのに
本当はあなたが悪魔だということまで
悪魔が他人の顔をしていない
美しいと思った顔だった
私のことが好きなんでしょ?という顔で僕を見ている
ああ、いまだにあなたが美しいと思う
悪魔がすることがいつも正しい
悪魔が言うことがいつも正しい
だから僕は何も言い返せない
「黙って私に従えば幸せになれるよ」
地獄に落ちると分かっているのにあなたに従ってしまう
知らないふりをしてあなたに従ってさえいれば必要な時間は過ぎてくれる
僕が地獄に落ちるまでの時間が
悪魔が他人の顔をしていない
よく知った顔、美しいと思った顔だった
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