早退

 空腹に耐えられず、米を二合炊いた。炊けたら茎わかめご飯の素を混ぜて、ラップでくるみ握る。五個できた。これが今日の私の食料。もちろん、子ども達には別の夕食を作る。
明日が年金支給日で、今日は金がないのだ。
朝食を抜いていたので、三個も一度に食べてしまった。時刻も昼近いし、まあいいかと思う。
塩気がやや足りないが、わかめに味がついていて美味しかった。ゴマも入っているし。
下の六年生の息子の始業式に、上の息子の中学校の入学式が終わり、新しい生活が始まった。気持ちがわさわさする。
二人とも反抗期に入り、気難しいことこの上ない。
そろりそろりと薄氷を踏むような生活。何しろ不機嫌になられたら、暴力を振るわれるから。殴られ蹴られ、私の身体は痣だらけだ。
今日も無事二人がそれぞれ登校した後、安堵と疲労で倒れ込んでしまった。まだ新学期二日目なのに。
春休み前もまた、苦難の連続であったのだ。昼まで寝て学校に行かない長男。朝学校に行ったと思ったら、昼前には帰りたいと言っているからお迎えに来てくださいと、次男の先生からの電話が毎日のようにかかってきていた。次男はお迎えが遅れると、ロッカーの扉を蹴ったりして暴れていたらしい。
こんなことは子ども達の父親にはとても言えない。今ですら、精神病院にお前を措置入院させて、子ども達と一生会えなくしてやると脅してくるのだ。
発達障害のお前が育てているから、子ども達も発達障害になった。お前のせいだ、という理屈だ。
彼とは次男が産まれる前に離婚していて、私と息子達の新戸籍も作ってあるというのに。
子ども達は、すぐに逆上する父親に懐いていない。偶にしか会わないし、当然だ。

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