矢野利裕『教育と市場、ときどき身体』 ~「新自由主義」批判の何が問題か
雑誌「現代思想」は毎年4月に教育特集を組んでいる。近年その特集の舵取りをしているのが大内裕和と三宅芳夫であり、彼らは日本の教育の現状を語るときに頻繁に「新自由主義教育改革」が悪いと言う。2023年4月号の巻頭対談でも「新自由主義」という単語が何回出てきたか数えたくなるくらい頻出していた。しかし、その数ページ後ろに掲載された表題の矢野論文には「「新自由主義」批判を超えて」という副題が付いており、まさに上記巻頭対談のような言説に待ったをかけている。私たちはつい「新自由主義」とい