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「不完全である勇気」を持つことで挑戦できる

最近、挑戦する人には「不完全である勇気」が必要だと痛感した。この note は今後何かの拍子で勇気がくじかれるかもしれない未来の自分に向けて書いたものだが、他の人にも役立つように書いてみる。

不完全である勇気Courage to Be Imperfec」とは、自分の不完全さを認める勇気のことである。完全であろうとするのではなく、不完全なありのままの自分を受け容れること、つまり「不完全な自己の受容」を良しとしている。

この言葉はアドラー心理学(個人心理学)の創始者アルフレッド・アドラーAlfred Adlerの高弟であるルドルフ・ドライカースRudolf Dreikursによって作られたもので、アドラーの思想が基となっている。

「不完全である勇気」は、自分の不完全さを言い訳にして挑戦することを回避してしまう人に必要な勇気である。意識的に何かに挑戦しようとしているのだが、結果的に挑戦を回避している人には「不完全である勇気」が欠けているのだ。

完全である人などいない。しかし、人は新しいことに挑戦するとき、否が応でも何もできない不完全な自分と向き合わなければならない。自分の現在の姿と思い描いている未来の姿とを見比べたとき、自然とギャップが生まれてしまうからである。人はそのギャップを劣等感として感じ、その劣等感を解消しようと努力する。このことをアドラー心理学では「優越性の追求」と言う。劣等感を持つことは決して悪いことではない。劣等感があるからこそ人は努力して成長する。問題はその劣等感を言い訳にして、逃げ出すこと。このことをアドラー心理学では「劣等コンプレックス」と言う。この劣等コンプレックスが大きな問題だ。人は不完全である勇気を持たないかぎり、様々な言い訳をして挑戦することをうまく回避し続けてしまう

たとえば、「〇〇ができたら、XXに挑戦する」というような言い訳をする人がいる。これは完璧主義の人によく見られる傾向で、彼らは失敗しないような準備が完全にできてから挑戦しようとする。失敗しないように準備すること自体は悪いことではない。しかし、完全さに見を置いてしまうと、それは挑戦しない言い訳となってしまう。また、失敗しないように準備して失敗したとき、落胆は準備をした分だけ大きくなる。すると、小さな失敗でも怖くなり、次第に自分の中で失敗することが許されなくなる。その結果、あなたの目標は「挑戦すること」ではなく「失敗しないこと」となってしまう。そうなってしまった場合、失敗しないために挑戦すること自体を回避してしまう。挑戦さえしなければ、失敗するということがなくなるのだ。そして、あなたは無意識的に挑戦することができない理由を見つけ出し、努力することなく最初から挑戦をあきらめてしまうのである。なお、できない理由を見つけることは歳を重ねるごとに簡単になる。人はこのようにして失敗を恐れて挑戦することを回避する。挑戦を避けるようになると、あなたが思ってもいなかった負のスパイラルが起きる。挑戦を避けることは自分自身の成長がストップすることに繋がるので、ますます失敗ばかりするようになる。失敗ばかりしていると、自信を失い、ネガティブな思考を自動的にするようになる。そして、あなたはますます挑戦をしなくなるどころか、やる気を失ってしまうのだ。「完全ではないから挑戦しない→挑戦しないから成長しない→成長しないから失敗する→失敗するから自分は完全だという自信を持てない」というプロセスを何度も繰り返すと、最終的には自分は何をやってもダメな人間だと無力感を感じるようになる。これを専門的な用語では「学習性無力感」と呼ぶ。このようなプロセスで、完全であろうとすることが自分自身をどんどん苦しめていってしまう。

こうならないためには、「不完全である勇気」を持つことが必要になる。"Only if(もしも不完全さを克服したら), I'm OK" ではなく、"Even if(たとえ不完全であっても), I'm OK" とする勇気。その勇気には、自分の想定とは違うギャップを受け入れる心の大きさや強さがある。そして、「不完全である勇気」を持つことで、不完全なときでも挑戦していく勇気を持つことができる。このことから、「不完全である勇気」は「挑戦する勇気」と表裏一体であると言える。そして、挑戦することは完全であることよりも大事である。挑戦した先に勝利や成功があるからだ。

不完全な自分を責めているかぎり、あなたは永遠には幸せにはならないだろう。今の自分をありのままに認める「不完全である勇気」を持つ人だけが、本当に強い人間になれる。。

また、「不完全である勇気」を持つ人は、自分自身の価値を理想からの減点法ではなく、現実からの加点法で見ることができる。自分の価値が上がっていくことは喜びとなり、人生は豊かになる。

スティーブ・ジョブズの有名なスタンフォード大学での卒業スピーチに、「Stay Hungry, Stay Foolish.」という言葉がある。直訳すると「ハングリーであれ、愚か者であれ」となる。おそらく「愚か者であれ」は「不完全であれ」という意味も含まれているのではないかと個人的に思う。彼は新たな人生を踏み出す卒業生に「不完全である」ことの重要性を教えていたのかもしれない。

最後に、アルフレッド・アドラーの言葉を記しておく。

「(不完全な勇気があれば)誰でも何でも成し遂げることができる」


参考文献

  • 『「今、ここ」にある幸福』

  • 『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』

  • 『まんがで身につくアドラー 明日を変える心理学』

  • 『図解 使える心理学大全』

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