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スイーツ特許の価値を最大化する特許スキル
バニラビーンズの特許の記事を書きましたが、この特許の請求項、知財部員的にいうと、面白い特許だなと思います。
何が面白いか?というと、この特許、上手く請求項の表現を変えて、広い権利にできそうな気がします。
知財部員は、この「特許7458604」の請求項を読んで、特許のポイントを推測するのですが、正直、
【請求項1】
バニラ果実を殺菌する殺菌工程と、殺菌後のバニラ果実を保温した状態で保管する保温工程と、保管後のバニラ果実を発酵させる発酵工程と、発酵後のバニラ果実を乾燥させる乾燥工程と、乾燥後のバニラ果実を閉鎖空間内で保存する定着工程と、を有するバニラビーンズの製造方法において、
前記定着工程が、ローズウッド製容器で、バニラ果実を保存することを特徴とする、
バニラビーンズの製造方法。
この
「ローズウッド製容器」
の部分が、特許庁の審査官が特許としてグッときたポイントです。
そうした場合、他の請求項の構成は、さほど限定的に記載しなくて良いと思います。
即ち、
この特許は「バニラ」に限定していますが、「バニラ」に限定せず、より一般的な「果実」全般にしても問題ない
ことが想像できます。
【請求項1】
所定の果実を殺菌する殺菌工程と、殺菌後の所定の果実を保温した状態で保管する保温工程と、保管後の所定の果実を発酵させる発酵工程と、発酵後の所定の果実を乾燥させる乾燥工程と、乾燥後の所定の果実を閉鎖空間内で保存する定着工程と、を有する所定の果実のビーンズの製造方法において、前記定着工程が、ローズウッド製容器で、所定の果実を保存することを特徴とする、所定の果実のビーンズの製造方法。
上記のように
「バニラ果実→所定の果実」
と修正するだけで特許として成立する可能性が高いです。
これが最初の知財部員として狙う請求項になります。
しかし、これは、
レベル10くらいの知財部員の狙いであり、レベル50くらいの知財部員になると、更に次のような請求項を狙います!
【請求項1】
所定の果実に対して第1処理を行う第1工程と、第1工程後の所定の果実に対して第2処理を行う第2工程と、第2工程後の所定の果実に対して第3処理を行う第3工程と、第3工程後の所定の果実に対して第4処理を行う第4工程と、第4工程後の所定の果実を閉鎖空間内で第5処理を行う第5工程と、を有する所定の果実のビーンズの製造方法において、前記第5工程が、ローズウッド製容器で、所定の果実を保存することを特徴とする、所定の果実のビーンズの製造方法。
上記のように、
「殺菌工程」、「保温工程」…など、工程が具体的に記載されていたところを全て、一般的な表現にして「どんな処理工程」でも良いようにしました。
これを更にレベル100の知財部員なら、次のように請求項を改良します!
【請求項1】
所定の果実に対して第1処理を行う第1工程と、第1工程後の所定の果実に対して第2処理を行う第2工程と、第2工程後の所定の果実に対して第3処理を行う第3工程と、第3工程後の所定の果実に対して第4処理を行う第4工程と、第4工程後の所定の果実を閉鎖空間内で第5処理を行う第5工程と、を有する所定の果実を特定の状態にする製造方法において、前記第5工程が、ローズウッド製容器で、所定の果実を保存することを特徴とする、所定の果実を特定の状態にする製造方法。
「ビーンズの製造方法」に関する特許でしたが、これを
「特定の状態にする製造方法」
にすることで、ビーンズに限らず、取り合えず「所定の果実」を「特定の状態にする工程において、ローズウッド製容器を使う」ことを特徴とした特許になり、かなり汎用的な特許になります。
このように段階的に言葉を上位概念化し、特許の本質だけを残した、筋肉質な特許にします。
もちろん、これだと、広すぎて審査官がダメだしをする可能性はあります。
※ただし、そのときも、まだレベル1000の知財部員が行う対策はあります。それは別の機会にでも。
こういう言葉遊びをして、最適解を見つけるのが特許業界で働く人間のお仕事になります。
興味のある方は、ぜひ、特許業界にいらしてください。
ハマると面白いですよ!
良くわかなんないけど、良い特許を取りたいという方は、私に相談でもしてくだされば!
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