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言葉というものが、いかに人の人生を変え、支え、つき動かしてくれるかが学べる一冊。『言語化力 - 三浦崇宏』【書評】

三浦 崇宏 著『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』

本著をひとコトで表現するならば、「言葉というものが、いかに人の人生を変え、支え、つき動かしてくれるかが学べる」一冊。普段、何気なく使っている言葉という存在が、いかに可能性を秘めたものなのかを教えてくれる。

行動の先に結果があり、結果はやがて歴史になる。じゃあ、行動の前には何がある? そう。指針となる言葉があるはずだ。自分を変える、誰かを動かす、そんな言葉の大切さと破壊力を教えてくれる一冊です。

こんな時代に、自分の道を切り拓くための道具がある。それは分厚いキャリアガイド本でもなければ、海外の大学で取得するMBAでもない。仮想通貨も、最先端のAIも、5Gも関係ない。ぼくやあなたが今まさに使っている「言葉」だ。
誰でも簡単に意識せずに日常的に使っている「言葉」こそが、あなたの価値を明確にし、あなたの願いを叶え、あなたを成長させるたった一つの、そして最強の武器だ。

かつては社会に対して、不特定多数に対して発言できるのは、「選ばれた人」だけだった。だが、今は、望めば誰もが、より自由に発言できる時代になっている。そこで必要なのは、
自分の言葉で話せるかどうか」「自分の言葉を持てるかどうか
そして、
言葉で他者を動かすことができるかどうか

言葉を自分の思う通りに使えるようになれば、あなたの言葉は、必ずあなたをあるべき場所に連れていってくれる。人間関係をよりよくすることもできる。仕事も、前に進めてくれる。

注目のクリエイターが放つ、誰もが人生を変えることができるほんの小さな「言葉の使い方」を紹介。

著者の三浦崇宏さんといえば、社会の変化と挑戦にコミットするクリエイティブ企業「The Breakthrough Company GO」のトップでありクリエイティブディレクター。本著にも記載のある通り、話題になった数々の広告を手掛けている。

NewsPicksの対談や討論企画などでも目にする三浦崇宏さんと言えば、とにかく頭の回転が早く、その状況下に散っている言葉たちを取りまとめ、要約して場に戻すという作業に長けた人だなという印象があった。だからこそ、本著で語りたかった主題が「言語化力」というのも頷ける。

本著は字面だけを追ってノウハウを学ぶような実用書では決してない。著者の人間性や体験から出てくる言葉に、まるで目の前で授業を受けているかのように触れられる一冊。そこには熱があり、力があり、迫力がある。生き様から生まれた著者の言葉がぶつけられる。

人は言葉を使う生き物で、広告屋も言葉を駆使する職業。本著では、人生論になり過ぎず、広告論になり過ぎず、両方に共通する言葉の概念が多く語られている。その中でも、第2章「印象に残る言葉をつくる、一生残る言葉をつくる」は、著者ならではの考え方がにじみ出ている。何より、メディアを通じて著者本人が、そういった言葉を紡ぎ出しているのを目の当たりにしているからこそ、説得力が違う。

自分も言葉を扱う職業に就いているからこそ、言葉の重要性については強く思う。例えば、「伝えること」と「動かすこと」の違いだ。

音楽は言葉の壁を越え、情熱や友情を伝えられる。言葉がなくとも、必死にボディランゲージすることで欲求を伝えられる。しかしだ、憎しみ合う国同士が和解に向けて取るべき行動は何かと問われると、答えは、言葉を用いたコミュニケーションだと考える。

音楽やボディランゲージがツールとして劣っているという意味ではなく、センシティブな問題やクリティカルな事態を解決に導く際には、言葉は必ず必要となり、言葉で理解し合った後に、行動があると思う。それほどに、言葉というものは、力を持っているということだ。

また、本著の特徴として、著者が豊富な著名人の名言を引用してくれている。これを好む好まないには個人差があるかもしれないが、一個人としては本著の厚みを増してくれていて大歓迎だ。何より、言葉を伝える際に、例え話を用いたり、著名人の名言を引用して説得力を増したり。それこそが、言語化力の真髄であるとも考えられるからだ。

本著で登場する、アランというフランスの哲学者の言葉、

悲観は気分、楽観は意志

この言葉は、自分の胸に刻んでおこうと思った。こういったニュアンスのことは肝に命じながら生きてきたつもりだったが、ニュアンスは胸に刻めない。では、生涯消えないよう、胸に刻むためにはどうすればいいのか。そうだ。言語化するんだ。ここまで思考することで、本著の深みがグッと増した。

これからさらにハードモードに突入する日本。生き抜いていくためには、何らかの指針が必要だ。漠然としたものが指針となり得るだろうか。ダメだ。もっと明確に指針を持たないと。指針とは? そう。自分自身が紡ぐ言葉だ。著者ならではの言葉を用いて言葉の大切さを謳う本著。熱くなれる一冊です。

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