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トイレの神様と放送室
中学生の時、放送委員を何度かやったことがある。
放送委員は、私物のCDを持ってきて、給食時間に流すという役割だった。いわゆる「お昼の放送」だ。当番制で、二週間に一度ぐらいのペースで放送委員の仕事の順番が回ってくる。三人一組なので他の二人もCDを持ってくることもあったのだけれど、あまり枚数を持っていないと言って、私が持参することが多かった。他の二人は、時々「友達に借りた」と言ってHoneyWork
赤福とひいおばあちゃん
山口県のド田舎に、私のひいおばあちゃんが住んでいた。家の周りは、見渡す限り畑と山があった。古くて広い家だった。猫が住み着いていた。
私は二回だけ会ったことがあった。いずれも小学生のときだったような気がする。記憶が曖昧なので、矛盾点があるかもしれない。それと、山口の方言がよくわからないので、雰囲気方言を使わせていただくが、目を瞑って欲しい。
近所に誰も住んでいないので、窓もドアも全開だった。家の
思えばサル山が好きなガキだった
幼稚園のとき、遠足で動物園に行ったことを覚えている。
その翌日、幼稚園で「昨日見たどうぶつさんの絵を描いてみましょう」と先生が言った。
友達がゾウやキリン、カバの絵を描く中、幼稚園児だった私はサル山の絵を描いた。サルではなく、サル山。山に登るたくさんのサルの絵だった。
絵は全員分が壁に貼りだされた。私がそれをひとりで眺めていると、先生が「遠足の絵は毎年描いてもらってるけど、サル山の絵を描いたのは
嫌いな男の名前でTwitterをしていた話
小学四年生まで、私は金沢市という「石川県の中でイチバン都会なところ」に住んでいた。少し歩けば、金沢駅や、香林坊という栄えた街があって、少し歩けば、城跡や21世紀美術館がある。しかし違う方角へ少し歩けば田んぼが広がっている。「石川県でイチバン都会なところ」はそんな場所だった。新幹線はまだ開通していなくて、人が少なく、空気が綺麗で、私の住んでいたマンションの七階の窓からは白山という日本で90番目に高い
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