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#散文詩

浮きたがり

グリーンルームを透き通る光にとって 心は常に凪いでいるのと変わらない だからこそ太陽は私を…

5

雪国

. . . . . . . (微かな) (羽虫にも劣る雪が) (降っている...) . 天の川の手を私に垂らす 新…

2

電波塔

漣のような明滅が 冬 と光っている 空を滑るみぞれ雪 もまた 明滅して いのちが 溶けて 結んで…

4

泡夢

頭ン中に波そよぐ、 青海が…溢れているので 一、空気にすら脅かされうる私の視…

4

真紅

一瞬だった。 僕の心の林檎を齧る、 夕焼けの麓で 無造作に置かれた麦を 押し退けて駆けるよ…

2

空席

夕焼けに向かって振り投げたサンダルは あの日を境に帰ってこなかった 雨ばかり続く、服の重た…

2

月から降る涙

初めて歌声を載せた旋律は 涙が心の底に溜まって、それから それが膨れて、破裂して、その時に 月から降りてくる、翼のある生命体の その両手に抱えるハープ、それから 流れる涙のような、ものでした。 欠片となった感情を、一つ、一つ 打ち砕くので今日も笑みが一つ 消えますが、代わりに精神の 人間としての強さ、を得るわけです 少なくとも私はそう思っている、 あるいはそう思い込むことで なんらかのなにかを保っている ので、やっぱり人間としてのなにか、 を強くすることには代わり無い じゃ

無垢な接吻

大気で一心に 肺を満たす 両の手を 朝露で 湿らせて ただ 母になってくれないかと 願う …

5

夜色の猫

徐々に青く染まっていく たまらなく美しい街並みを見つつ 内では湿気が顔に抱擁するので たま…

2

君の死

ぬかるんだ蛙の皮膚にある土色のような 気持ちで、君は淡々と呼吸をする のを僕は傍から見てい…

無音と瞬き

眠気で、瞼が今か今かと、待ち侘びる 最愛の、無二の相方との再会を おぉその時だ、静かな雨音…

3

乾燥地帯

生まれた瞬間を誰も覚えていないのに、じゃあ貴方が母、と呼んでいる人は誰ですか。貴方が証明…

1

無力

あの山の、向こうの海を、 超えて丘を登ると、見える景色 それが、見える世界の中で、 一番美…

2

彗星と蝶

青と空気の壁が春の僕を撃ち殺した。遠近を忘れてしまうようなどす黒い葉緑体が、二滴ほど、雫が、落ちる。 干ばつに襲われた喉をかき鳴らすように水分が通り抜けていく。 電車が透明を叩き潰して、音と熱に変換し、それを容赦なく、一枚の紙に写し変えてしまう。景色がズレていく。前方向に発生した重力に逆らえない僕らは、前かがみになってこの線路をゆかねばならない。 つまづいても大丈夫だ。これは僕らを自動的に、運んでくれるようだから。 幾数もある山や谷は誰がやったのか、綺麗に整備されていて、一