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無力

あの山の、向こうの海を、
超えて丘を登ると、見える景色
それが、見える世界の中で、
一番美しいと、知っている
恋慕と、慈愛と、嫉妬と、哀愁と…
あらゆる言葉を含みうる、
歪な光景。
僕の、心ほどに複雑で、
たった一分、一秒の後には
全て移り変わっていて
ヒトの目にはその膨大な
ソレを掴むことは出来ないだろう
僕が科学を知らないならば
きっとそこには、神様がいるんだ。
僕が国語を知らないならば
きっとそこには、温度だけがあるんだ。
僕が世界を知らなければ、
きっと、
そこに永遠に存在したんだ。

知ることは、
学ぶとは、
蓄えるとは、
自ら塞ぎ込み、杭を立て、
線を引き、壁を作り、
隔絶するという
ことに他ならない、
のかもしれない。

いつまでも、この目に色が
残り続けることを
願うことしか出来ない
無力な僕は、
今日も息をしている。

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