絶ッッッッ句

どうしたものか

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しとしとと

おいしいですね。 しとしととした彼女のつぶやきは、物理学的にいえば全く通らない。しかし一言一句違わず僕には明瞭に入ってくる。お酒を飲んで騒ごうという会にあるまじき静黙に、確かに反芻して何度もすんなり心の中に入ってくる。憂いをいくつか秘めたような笑顔、風が吹いたら飛んでしまいそうな華奢な体、さてどう扱ってしまっても壊れてしまいそうな相手に何を話そうか。 「それ、1口…、……くださいよ」 既に僕が口をつけた酒だ。そういうことを気にしない相手なのかもしれない。泣いてしまいそうな悲痛

    • なんか仕様変わった?

      • もぬけの朝

        こびりつく朝の砂のつぶ、 とおくの稜線が濃くなるのとおなじそくどで 頭蓋骨の中に君が増えていく とまれのあかい標識 とか、 コンビニの安いドーナツ とかにも ほんのりとした起爆剤を含んで クローゼットの奥にしまったはずの髪留め なんだってそうだった あの時はそれほど輝いてて この雲がクリームだったら 僕はイチゴになれないのかな っていう 君みたいな僕のセリフを君は覚えていないかな。

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          34本

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          江戸のシイラカンス

          やァシイラカンスといふものが 飾られていると聞いたのだが (和服を着崩している、ちらりと見える脇差) 古代も古代の大神秘、アフリカなる地の珍物とな と語る彼の背には、幾人もの影 現代を生くる化石なのだよと父君からは教えられたものだ 鮭 商人はこっそりと見せたのだ それは見紛う事なきただの鮭であるが 詮方無いこと それは彼の真実である アフリカから来たる白い歯の男は言う コントラストの美しい何某よ シイラカンスなるものがあるならば 君にぴったりじゃないかね 無知は

          江戸のシイラカンス

          ストロベリー・ドーナツ

          落ちる雪の 僕らを照らすように 夜風にひとさじのグラニュー糖 瞬く間に掻き消えた すっかり黒んだ電波塔は もう使われていないのだ 規格に合わない合理性は わがままな月の光から 慈愛にも見えるつめたさ、 突風が ドーナツの穴を通り抜けていく 口に酸っぱさを残して

          ストロベリー・ドーナツ

          すっかすか~

          パンの上で溶けた砂糖の甘い匂いが キラキラしただけの子たちといっしょにエスカレーターを登ってくる お揃いなキーホルダーがいくつか音を立てて ふわりとした金木犀の匂いが混ざる、 幼稚なおとぎ話の花畑を眺めてるみたいで そそくさと逃げるようにして 相手には聞こえないよう下向きに鼻で笑った 数学にイライラしていたんだ 前髪の作り方とか、ピアスを開ける場所とか そんなことばかり気にする彼らが キラキラになるまでの過程を無視して 結果だけ見ていつもイライラしてた 今すべきことは何なの

          すっかすか~

          初恋

          ぺトリコール香る頭の大きな僕の背で 髪を右手でクルクルやる君と脚 途端、「夏だね」の声で 空気と心臓が揺れた 君が そんなことを言うから この花壇のアジサイは紫になってしまった 生物係なんだから、と撫でてみて けれど 粗野な撫で方に アジサイは いくつかの輝きを 落として 乱暴に 野性的に 暴力的に 無闇やたらと伸ばされれた手が 僕の心臓を 無制限に 無限大に 無条件に 奪い攫ってゆく たまらず心臓を吐き出した 血液は巡らないけれど それの方がマシだった シトラスの香

          なんやかんや嬉しいな

          なんやかんや嬉しいな

          心宮

          細雪に情けなく腕を震わして 遠雷と聞き違うほど 深い産声を上げる哀しみに 「何かあったのかい」 クジラの大質量に掻き消されていく 調律の狂った行進曲のまま 「僕が支えるさ」 そう言って笑えば それだけでいいだろうか 教会に神が寄り付かないように、 僕から君は離れていって その内に僕の中でも教義が分かれて あぁ これは これこそが祈りで 軽く灰に染められたクジラたちが 星の心臓に炭素を投げつけて 酷く 重く 冷たく 暗い 深層海流 ここはこころの生まれた場所

          怒り

          突き通る雲、 垂直に白く 怒りなほどに透明で 真ん中の葉っぱをひとひら 詩を書き付けてやる と思うと途端に何も浮かばない コンクリートジャングルを歩くけど 昨日には花咲いてたわだかまりが ふぅっ … と 空いていた 幼稚園児が白いクレヨンで 飛行機雲を描いていて 「そうやって使うんだ」呟いた 空を駆けていく一閃、 僕は まるで怒りみたいだ

          切開

          水のように 貴方のやわらかい雪原に す 、 ぅ… …と、 金属同士が触れ合うが歪な 和音は起こるはずも無く 互いに世界観を譲り合い、 止揚の結果として 取り乱したのは、蜂蜜のような赤 押し花みたいな貴方は もうずっと 笑顔で 途端 たなびく 雲煙の上 ピアノの雨を浴びる 鼓膜を情景が濡らした朝、

          浮きたがり

          グリーンルームを透き通る光にとって 心は常に凪いでいるのと変わらない だからこそ太陽は私を こんなにちくちく照らすのだろう 眩しい 明るすぎて 私のキタナイ毛穴や、傷や、涙を 前方に映し出してしまいそうで 恐ろしくなったので カラスウリの花が咲く。 月面の静かな海が溺死させる 水と肺胞の唾液との混色で 映し出されたキャンパスの色を 枕に空へと足を投げ出して くらげ 私はくらげだ 都会に煽られるレジ袋にも近い 一枚のくらげ 黒塗りの覆面達の頭上を走り抜ける 一冊のくらげ

          等しさ

          足を失った蟻が歩いている 触覚を大袈裟に揺らし左右に振れ 大顎に加えた蟲の足を取り落としつつ あちらこちらと隊列を乱す 元来の大自然の摂理に外れているが 何らかの変革が蟻の世界において あったのだろうか 誰しも彼に手を差し伸べている 食べ物を置いて笑みかけて、 しばらくして離れてゆく 一匹を除いては 一匹だけ、あれこれと騒いでいるが すすすと彼に近づくと 食事の邪魔をしている これはお前の 無駄な食べ物じゃないんだと言っている ただ一人だけ機械的な世界の意思である 思

          悠鬱

          愛 夕 雨

          海の、透き通る青

          オオオ,ルルル,ゴゴゴ,ーーー,ルルル, ,,,は さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波,,, さざ波 ,,, ,,,のように 虹の貝殻が 波打ち際に訪れ,,, 乾いた砂粒ばかりが,,, ,,,私の心を満たす,,,

          海の、透き通る青