等しさ
足を失った蟻が歩いている
触覚を大袈裟に揺らし左右に振れ
大顎に加えた蟲の足を取り落としつつ
あちらこちらと隊列を乱す
元来の大自然の摂理に外れているが
何らかの変革が蟻の世界において
あったのだろうか
誰しも彼に手を差し伸べている
食べ物を置いて笑みかけて、
しばらくして離れてゆく
一匹を除いては
一匹だけ、あれこれと騒いでいるが
すすすと彼に近づくと
食事の邪魔をしている これはお前の
無駄な食べ物じゃないんだと言っている
ただ一人だけ機械的な世界の意思である
思いやりに溢れた機械の中の意思である
たまたま歩いていた農民の
薄汚いわらじに二匹はしかし
同時に絨毯のように引き延ばされた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?