初恋
ぺトリコール香る頭の大きな僕の背で
髪を右手でクルクルやる君と脚
途端、「夏だね」の声で
空気と心臓が揺れた
君が そんなことを言うから
この花壇のアジサイは紫になってしまった
生物係なんだから、と撫でてみて
けれど
粗野な撫で方に アジサイは
いくつかの輝きを 落として
乱暴に 野性的に 暴力的に
無闇やたらと伸ばされれた手が
僕の心臓を
無制限に 無限大に 無条件に
奪い攫ってゆく
たまらず心臓を吐き出した
血液は巡らないけれど
それの方がマシだった
シトラスの香りが冷めてゆく
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