【レビュー】『苦しみながら粘り強く獲得した勝点1』~第3節水戸ホーリーホックVSファジアーノ岡山~

試合結果

2023 J2 第3節
3/5 15:00K.O. @ケーズデンキスタジアム水戸
水戸(1-1)岡山
42分 木村太哉
50分 武田英寿

スタメン

マッチレポート

苦しみながら粘り強く獲得した勝点1

またしても岡山は6年間未勝利のケーズデンキスタジアムで勝つことができなかった。いや、今節に限ると負けずに済んだという方が正しいと感じるくらい岡山は苦しい戦いを強いられた。

開幕戦以来の勝利を目指す岡山は、ほとんどの時間を水戸に主導権を握られた。櫻川とイグォンがプレスを掛けるも、安永が後方に落ちてCBとパスを回してきたため、数的不利で後手に回ってしまう。ただ、自陣ゴール前ではバイス、柳を中心に粘り強く守り続けると、42分にワンチャンスを仕留めた。鈴木の鋭い縦パスをイグォンがキープし、河野がクロスを上げる。これを櫻川がニアサイドで競り勝ち、木村が飛び込んだ。劣勢の中でも冷静さを保ち、チャンスを決め切って先制点を奪った。

リードして迎えた後半は自分たちの時間で進めようとギアを上げるも、50分に失点を許す。自陣右サイドの低い位置で河野が安藤にボールを奪われると、安藤のクロスを武田に押し込まれた。ミスから招いた不本意な失点は、己の勢いを削ぎ水戸に火を付けた。

追い付かれた岡山は強度と連動性が増した水戸のプレスに苦しんだ。ボールをもつ選手がすぐに包囲されて後方から段階的に前進することができなくなると、孤立した前線にボールが収まらず自陣で耐える時間が続く。56分には河野のパスを自陣で安永にカットされ、安藤のシュートが枠に飛んできたが、GK山田が何とか弾き出してピンチを脱した。

悪い流れを断ち切りたい岡山は、積極的に選手交代を行う。64分に本山と高木、70分には仙波を立て続けに投入する。特にトップ下に入った仙波が攻撃のテンポを加えて相手を惑わし、そこに高木と木村の推進力が加わって攻撃が活性化する。さらに85分に川谷とルカオを投入したが、ゴールをこじ開けるだけのパワーを出すことはできなかった。

岡山は劣勢の時間が長かったが、粘り強さを発揮して勝点1を得た。佐野と坂本をU-20日本代表で欠き、田中が前節に負傷し、チアゴ・アウベスはベンチ外が続いている。主力クラス4選手が不在という難しい状況ではあるが、次節からはホーム2連戦だ。引き分けではなく勝利が欲しい試合でどのように勝点を積み重ねるのか。木山監督の手腕に注目だ。

コラム

今季の取り組みが詰まった得点

木村の今季初ゴールは、今季にチームが取り組んでいることが詰まった素晴らしいモノだった。

42分、左サイドでのスローインからパスをつなぎ、相手のプレスを交わして右サイドから前進する。相手を押し込むと、左SBのポジションから内側に入った鈴木が空いた手前のスペースから鋭い縦パスを打ち込んだ。イグォンが中央で冷静にキープし、右サイドから河野が正確なクロスを供給する。これに対して櫻川、ムーク、木村がそれぞれニア、センター、ファーに入って厚みをもたらす中、櫻川がニアで競り勝って木村がファーで飛び込んでネットを揺らした。

相手の状況を見てパスをつなぐ主体的な攻撃で相手を押し込んだこと、鈴木の特異なポジショニングが得点に直結したことも素晴らしかったが、クロスから得点が生まれたことがチームとして大きかったと思う。

今週の公開練習では2日間ともクロスからのシュート練習に重点的に取り組んでいた。特に意識していたことが、動き直して最後まで詰めることだった。シュートを決めた木村は河野のクロスが自分の方に飛んでこなくても足を止めなかったからこそ、櫻川が触ったボールにいち早く反応できた。チームとして勝てなかったことは悔しいが、さっそく練習の成果が表れたことを前向きに捉えたい。


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