【レビュー】『首位相手にアウェイで滲ませた悔しさ』~第14節FC町田ゼルビアVSファジアーノ岡山~

試合結果

2023 J2 第14節
5/7 14:03K.O. @町田GIONスタジアム
町田(1-1)岡山
16分 チアゴ・アウベス
55分 平河悠

スタメン

マッチレポート

岡山が先制するも、町田が追いつく。ともに3連戦を2勝1分でフィニッシュ

試合終了の笛が鳴り、両チームの選手が腰や膝に手を当ててうつむいた。互いに3連勝を目指す町田と岡山の一戦は1-1で終了し、それぞれが勝ち切れなかった悔しさの残る試合となった。

大粒の雨が降る中でキックオフを迎えると、岡山は狙いをもった攻撃を仕掛けた。最終ラインから最前線にロングボールを蹴り込み、チアゴ・アウベスが裏に抜け出して、櫻川がその下でサポートする。狙いが実を結んだのは、16分だった。自陣左サイドから鈴木がロングフィードを蹴ると、櫻川が相手と競り合う。こぼれたボールは池田が頭でクリアしようとするも、懸命に追いかけたチアゴがクリアボールを身体に当てて抜け出した。背番号7は独走状態でGKとの1対1を迎えると、右足でネットを揺らした。先制点を奪ったチアゴはゴール裏に一目散に駆け出していき、サポーターと喜びを分かち合った。

リードを許した町田は、平河のドリブルと翁長のロングスローを含めたセットプレーで反発する。37分には平河が左サイドを縦に突破して深い位置からクロスを上げると、髙橋が右足で合わせたが、シュートは枠を外れた。

後半は追いかける町田が高江に代えて荒木を投入し、システムを[4-4-2]から[4-1-3-2]に変更してスタートした。エリキとデュークからこぼれたボールをトップ下の荒木が前向きで回収し、平河と髙橋がサイドから切れ込むと、56分に同点に追いつく。自陣で相手のスローインをカットすると、素早いパスワークからデュークが右サイドに抜け出してクロス。これはゴール前中央のエリキには合わなかったが、平河がPA左で右足を一閃し、鋭いシュートを右スミに突き刺した。

追いつかれた岡山は町田がマンツーマンでプレスの強度を高めたことで、自陣でのプレーが長くなる。それでも次々に選手交代を行い、悪天候に左右されない技術をもつ河井を起点にゴールを脅かしていく。83分には河井のクロスからバイスがシュートを放つも、GKポープにブロックされた。町田も89分に藤尾を入れて、縦に早い攻撃で決勝点を奪いに行くも、90+3分の藤尾のシュートはGKの正面に飛んだ。最後まで勝敗を分ける1点は生まれなかった。

アウェイに乗り込んで首位相手に先制した岡山。勢いが増した後半の立ち上がりに同点弾を奪った町田。両チームともに今季2度目の3連戦を2勝1分で終えた。

コラム

首位相手にアウェイで抱いた悔しさ。サポーターと一緒に強くなる

試合終了後、岡山の選手たちは浮かない表情でサポーターに挨拶した。

シュート数は岡山が6本で、町田が13本。チャンスの数では下回った試合だったが、首位相手にアウェイで引き分けという結果に悔しさを抱いていた。

その源にあるのは、本気で勝ちに来ていたから。キックオフすると、相手CBの背後を突いていき、狙い通りの形から16分にチアゴ・アウベスがネットを揺らす。最高の滑り出しだった。

しかし、後半は町田が選手交代とシステム変更で勢いを増してスタートすると、圧力を受けて失点を許す。左サイドからのスローインを奪われるミスが招いたものだった。失意の同点弾を受けて選手たちが天を仰ぐ中、ゴール裏のサポーターが大きな声を張り上げた。びしょ濡れになりながら、チームを励ます声を背中にぶつけていく。「大丈夫だぞ」「まだまだ行けるぞ」と盛り立て、チャントのボリュームも増した。声援を背にした選手は試合終盤に相手を攻め立てるも、あと一歩届かなかった。

勝ち切れなかったが、ゴール裏は試合後にファジアーノコールの大合唱で選手を迎えた。首位相手にアウェイで勝てなかったことに悔しさを募らせつつ、力一杯に励ました。選手も、サポーターも悔しい気持ちになったのは、勝利できると自分たちを信じていたからで、首位を相手に堂々と渡り合えたからでもある。土砂降りの中で今節に悔しさを味わった岡山は、サポーターと一緒に強くなる。

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