【レビュー】『執念で掴んだ3連勝』~第33節いわきFC VS ファジアーノ岡山~

試合結果

2023 J2 第33節
9/3 18:00K.O. @いわきグリーンフィールド
いわき(1-2)岡山
50分 チアゴ・アウベス
66分 下田栄祐
90分 ステファン・ムーク

スタメン

マッチレポート

『ムークが土壇場で決勝点。競り勝った岡山が今季初の3連勝を達成』

岡山は初めて乗り込んだいわきグリーンフィールドで、いきなり仕掛けた。5分、仙波のスルーパスに反応した坂本が倒されてPKを獲得する。得点を渇望してキッカーを志願した坂本のシュートは左ポストに当たり、同コースに飛んだGK高木和にも当たって先制とはならなかった。ただ、岡山は気落ちすることなく相手陣内でのプレーを増やしてゴールに迫っていく。17分のFKではチアゴ・アウベスの地を這うシュートが枠を捉えたが、GKに防がれた。

4試合負けなしのいわきは、ボールサイドに人数を集めることでプレスの強度と連動性を高めて岡山に襲いかかる。特にタッチライン沿いでは、相手ボールになった瞬間、一気に3人で囲い込み素早く奪い返していた。そして26分には自陣右サイドでクロスをカットすると、カウンターが発動。手数をかけずに突き進み、左サイドを駆け上がった谷村が右足を振り抜く。強烈なシュートはGK堀田の好セーブに防がれたが、その後も縦に早いカウンターで岡山の中盤のスライドを振り切ってゴールを脅かした。

0-0で迎えた後半の立ち上がりは、いわきが積極的に仕掛けた。途中出場の岩渕が裏への抜け出しを狙い、加藤が左サイドからドリブル突破を図る。しかし、試合を動かしたのはアウェイチームだった。50分、仙波のスルーパスにチアゴが抜け出す。背番号7は左足を警戒した相手DFを巧みなステップで翻弄し、右足でネットを揺らしてみせた。

先制を許したいわきは両SBが積極的に攻め上がることでサイド攻撃が活性化し、66分に同点に追いつく。両サイドからクロスを放り込み続け、最終的にはPA手前でこぼれ球を拾った下田のシュートが相手DFに当たってネットに吸い込まれた。

その後はいわきが果敢に攻め込んだ。それでも岡山は84分にGK堀田が鋭い反応で至近距離からのシュートを掻き出し、柳も身体を張って相手FWに自由を与えない。全員で集中して耐えしのぐと、試合終了間際に得たCKから途中出場の木村がPA内で倒された。ゴール前で足を動かし続けた背番号19の執念が相手選手の反応速度を上回る形でPKをゲット。これをステファン・ムークが冷静に沈めて、今季初の3連勝の喜びをサポーターと分かち合った。プレーオフ圏との勝点差を『2』に縮めた雉軍団は、一戦必勝の精神で悲願のJ1昇格に向かって突き進んでいく。

コラム

『右サイドに防波堤を築いた末吉の献身性』

81分に木村とバトンタッチするまで、背番号17はチームのために右サイドを上下動し続けた。

前半は岡山がボールを保持して相手陣内に進入する時間が長かった。そのため、右WBの末吉は高い位置に張り出し、ドリブルとクロスでのチャンスメイクを狙っていく。ただ、いわきはサイドからの素早いカウンターが持ち味で、末吉が攻め上がったことによって生まれた背後のスペースを突いてきた。ボールを持った相手選手が岡山の右サイドから前進を図ると、末吉は瞬時にスタートを切って快足を飛ばす。スペースに戻るのではなく、ドリブルする相手選手に対して一目散に寄せていき、身体を入れてボールを奪ってみせた。

後半はいわきがハーフタイムにドリブラーの加藤を投入したこと、左SBの宮本がオーバーラップの回数を増やしたことで、末吉は自陣で守る時間が増えた。しかし、加藤が細かなステップで仕掛けてきたドリブルに対しては、小刻みなステップで応戦し、縦突破もカットインも許さない。54分には身体を強くぶつけて加藤からボールを奪うと、加勢に来た宮本にも競り勝ってサイド攻撃を封じた。

スピードを生かしたカウンター対応でピンチの芽を何度も摘み、球際での粘り強さを生かした対人守備で深い位置への進入を食い止める。今夏から岡山のユニフォームに袖を通した背番号17は、献身的な守備で右サイドに防波堤を築き、今季初の3連勝に大きく貢献した。

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