【レビュー】『執念が生んだ劇的勝利』~第22節ファジアーノ岡山 VS FC琉球

マッチレポート

最後まであきらめない想いが生んだ劇的勝利

最後まであきらめない執念が劇的な幕切れに導いた。

3連勝を目指した岡山に、琉球が立ちはだかった。アウェイチームはピッチを幅広く使いながら、中央で三角形を作りパスを回して攻めていく。9分、武沢がミドルシュートを放ち、21分に中野が左サイドから切れ込んで左足を振り抜いた。堀田が枠を捉えたシュートをダイビングセーブで防ぐ。岡山は自陣で守ることを強いられるも、堀田の好守、バイスと柳の粘り強い対応で切り抜ける。そして縦に早い攻撃を仕掛け、29分にはイグォンが抜け出してシュートを放ったが、相手のブロックに遭った。チャンスを仕留めきれない岡山は39分にもピンチを迎えた。しかし、堀田が冷静な反応でケルヴィンのシュートを弾いて窮地を救った。

後半、デュークを投入した岡山はサイドからクロスを供給するも、W杯出場を決めた豪代表FWには合わない。琉球がボールを握って攻め込む展開が続く。52分、中野がPA中央からオーバーヘッドシュートを放ち、4分後には背番号11がPA手前で河井からボールを奪い、ケルヴィンがシュートを打った。しかし、堀田が落ち着いて対処する。背番号35はゴール前に入ってくるクロスにも果敢に飛び出して掻き出した。

試合はスコアレスのままアディショナルタイムに突入し、両チームともに5人の交代枠を使い切った。サポーターの後押しを受けた岡山の執念が琉球を上回っていく。途中出場の幾笑が推進力を出し、バイスと柳もゴール前に上がる。そして93分にドラマが待っていた。自陣でのFKを堀田がゴール前に蹴り込むと、こぼれ球を河野が拾い、佐野がゴール前にクロス。これを柳が競り勝って落とし、幾笑が押し込んだ。シュートはジャストミートしなかったが、あきらめない執念が乗り移ったボールはDFに当たってゴールマウスに吸い込まれていった。

強みとするプレスを剥がされて、自陣で守る時間が長かった。ビルドアップにトライするも、プレスを受けて効果的に敵陣に入っていくことができなかった。決して自分たちのやりたいことができた試合とは言えない。しかし、粘り強く守り続けて、最後まで勝点3をあきらめなかった。どんなに苦しい状況でも、決してめげない、へこたれない、くじけない。岡山の勝利に対する強い執念が劇的な勝利をもたらした。


コラム

待望の結果を残した宮崎幾笑

背番号10は試合後のインタビューで感極まっていた。

今季、宮崎幾はウイングのポジションをつかんで開幕戦を迎えると、4試合連続で先発を果たす。背後を取るランニング、相手に向かって突進するようなドリブルで“ニアゾーン”を果敢に突き、攻撃をけん引していた。しかし、なかなか得点やアシストといった結果を残すことができずにいると、第7節の岩手戦を最後にケガで戦線を離脱する。

昨季は栃木との開幕戦でゴールを決めたが、なかなかコンディションが上がらず、出場時間はチームで19番目の953分に留まった(Football LABより)。完全移籍に切り替わった今季は「絶対に活躍してやる」という強い気持ちを抱いて準備してきたからこそ、開幕からキレのあるプレーを見せていた。それなのに、結果を出せないままケガでプレーできない。そして離脱している間にチームは成長していくが、そこには自分の姿がなかった。

それでも背番号10はひたむきにやり続けた。第18節の仙台戦で約2カ月ぶりに復帰を果たすと、持ち味の推進力を発揮。以降すべての試合に出場し、今節に劇的ゴールを決めてみせた。昨季の開幕戦以来、実に475日ぶりの得点は本人が最も求めていたものだった。ついに結果を残した宮崎幾にはもっともっとゴールやアシストを求めていきたい。大きな期待が集まる背番号10は、これからもチームを勝利に導くために走り続ける。

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