【レビュー】『勇敢な侍が巻き起こしたビッグサプライズ』~グループE ドイツVS日本~

試合結果

2022 FIFA カタールワールドカップ
グループE
11/23 22:00K.O. @ハリーファ・インターナショナル・スタジアム
ドイツ(1-2)日本
33分 イルカイ・ギュンドアン
75分 堂安律
83分 浅野拓磨

スタメン

マッチレポート

勇敢な姿勢で成し遂げた歴史に残る大逆転劇

大きなことを成し遂げるには勇気が必要である。蒼き侍たちがビッグサプライズを巻き起こし、勇敢な姿勢の重要性を示した。

キックオフすると日本は[4-4-2]でミドルプレスを掛け、鋭いカウンターを繰り出していく。8分にピッチ中央で鎌田がボールを奪い、右サイドを抜け出した伊東のクロスを前田が押し込んでネットを揺らすも、オフサイドだった。その後は相手をリスペクトし過ぎてプレスに行けなくなる。ドイツに[3-2-5]で立ち位置のズレを作られ、左サイドに張り出したラウムを起点にした攻撃を受ける時間が続くと、先制を許す。33分にキミッヒのパスに抜け出したラウムをPA内で権田が倒してしまい、ギュンドアンにPKを決められた。しかし、守備陣の奮闘を中心に何とか1失点に抑えて折り返すと、後半に勝負に出る。

冨安を投入してシステムを[4-2-3-1]から[5-4-1(3-4-2-1)]に変更し、マークのズレを消した。それでもドイツが個の力で日本の守備を掻い潜ってくる中で、森保監督は勝気な采配を振るう。57分、長友と前田に代えて三笘と浅野を投入する。61分、左WBに配置した三笘が自陣からボールを運び、浅野がシュートを放った。68分にも右サイドを抜け出した酒井から浅野が右足を振り抜いた。途中出場の選手を中心に反発していく中で、70分にドイツの波状攻撃を受ける。しかし、権田がスーパーセーブの連続で絶体絶命のピンチからチームを救った。

その直後に田中に代えて堂安を投入し、5分後にも酒井に代えて南野を投入する。攻撃的な選手を次々と送り出した森保監督の采配が実を結ぶ。75分、左サイドから三笘が切れ込み、スルーパスに抜け出した南野が中央に折り返す。これはノイアーに弾かれるも、こぼれ球を堂安が押し込んだ。途中出場の選手が躍動して同点に追いつく。そして、83分、自陣で得たFKから板倉がロングボールを前線に蹴り込むと、タイミングよく抜け出した浅野がPA右に進入して右足を一閃。ノイアーの肩口をぶち抜くシュートを決めてドイツを打ち破った

後半から敢行した5バックは守りを固めるためではなく、得点を取るための策だった。後ろから相手を捕まえていき、前から圧力を掛けに行く。個の力のあるドイツ相手にマンツーマンで挑むという大胆な采配に選手たちが高い集中力で応えた。勇気で手繰り寄せた歴史に残る大逆転勝利だった。


コラム

我慢の45分に見せた伊東純也の柔軟な対応力

伊東純也が見せた柔軟な対応力が大逆転劇の下支えとなった。

[4-4-2]の右サイドハーフで先発した伊東は、鋭いカウンターから幻となった8分の前田大然の得点シーンを作り出した。しかし、その後は前に出ていけなくなってしまう。ドイツの左サイドに下げさせられた。

ドイツは左サイドの高い位置にダビド・ラウムが張り出し、内側にジャマル・ムシアラが入ってくる。4バックで守っていた日本は酒井宏樹が相手2選手をケアしなければいけない状況に陥り、外側と内側を織り交ぜた攻撃からピンチを作られた。20分、ラウム、イルカイ・ギュンドアン、ムシアラのパスワークからムシアラのシュートをブロックし、こぼれ球を拾ったヨシュア・キミッヒのミドルシュートを権田修一が横飛びで切り抜ける。31分のPKを与えた場面は伊東が内側の相手選手が気になり、フリーで抜け出されたラウムをPA内で権田が倒してしまったものだった。

マークのズレから先制を許し、得点を取るべく前に出ていくことも1つの手段ではあった。しかし、その後も伊東はラウムをマークするためにディフェンスラインに入った。彼の判断によって形成された5バックを中心に徹底して守り、失点を1に抑えることができた。ポジショニングのズレを作られたまま攻め込まれ続けると、大量失点をしていても不思議ではなかった。

状況を理解した伊藤の柔軟性あったからこそ、逆転勝利へ望みをつなげることができ、ドーハが歓喜に包まれた。

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