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毎日書くやつ

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ルールは以下。 ・書く時間は1時間以内。 ・書く分量は原稿用紙1枚分以上。 ・書く頻度は毎日。 ・書く道具はスマホ。 ・書く内容はなんでもいい。
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#コンプレックス

ロックンロール・コンプレックス(50日目)

ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』を読み終え、チャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』を読み始める。表面的な共通点は、アメリカ大陸を移動していること、酒浸りなことだろうか。
ルシア・ベルリンは比類ない膂力(それはすなわち観察眼と切実な描写と一抹のユーモアである)で読者を作品の視界に引きずりこむ、強烈な短編集だった。
ブコウスキーはだいぶユルく、ダメ人間(と読者に思わせて笑われるように書い

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膜の中(42日目)

くたびれて何も考える気がしないので、考えずに今日あったことだけを書けばいいのかと思ったが、それはそれですごく難しくないか。
だって1日の中で、あったことは無限にあるのに、どうやって選んで、かつ書けばいいのだろう。
平日はほとんど会社と家の往復しかしていないし、会社のことをここで書く気はほぼ全くないので、日々があまりに「出来事」に欠けている。

でも世の中には、なんでもないような日々を鮮やかに切り取

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短足デブとファッション(38日目)

太っている人のためのファッション誌というものは存在しないのだろうか。

雑誌やウェブでかっこいい服を見かけても、実際に買って着てみると、「ああ、これは服がかっこいいんじゃなくて着ていた人がかっこよかったんだな」という残酷な真実を知ってしまうことがしばしばある。

例えば先日、花柄のシャツを ZOZOで買った。黒く染め上げた下地に鮮やかな南国の花が踊るいかしたやつだ。
下記写真のようなものをイメージ

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三島由紀夫スポーツ論集を読んで(22日目)

だらだら読んでた佐藤秀明編『三島由紀夫スポーツ論集』(岩波文庫)をようやく読み終えた。

や、めちゃくちゃ面白かったです……。
『金閣寺』くらいしか読んでおらず、正直価値観はあんまり合わなさそうだなと敬遠していた作家だったのだけど、ごめんなさい、文章上手すぎておののきました……。

東京オリンピックやボクシングの観戦記も、自分はそこに出てくるアスリートのほぼ全員を知らないし、他にも飛び込みやら重量

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リア充なのにルサンチマン(10日目)

先日観に行った湯浅政明監督『きみと、波にのれたら』が、正直とても合わなくってがっかりしていたのだが、その後タイムラインでいろんな方の感想を見ると、自分の目がルサンチマンで曇っていたのだろうかと思えてきてなかなか辛い。
リア充爆発しろの精神が爆発して、この映画の美点をまるっと見逃していたのだろうか、と思ってしまう。

あ、今回、この映画のネタバレをしますので、その点ご留意の上でお読みください。

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「好き」の深さ(9日目)

山崎まどか著『「自分」整理術 好きなものを100に絞ってみる』という本が、本棚のわりと取り出しやすい場所に鎮座している。
コラムニストの山崎まどかさんが、ジョン・ヒューズの映画とかジョン・スメドレーのカーディガンとか、好きなもの100個についてひたすら語っている本。
とても好きで、いつも真似したくなる本。

なんかね、このnoteもそういう風にできるとすごく素敵だなと思ったりするわけですよ。
でも

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写真を撮れない(8日目)

写真を撮るのが苦手だ。

大学生のころ、親が昔使っていたフィルムカメラを譲り受けた。
ローライ35という、小ぶりで余計なものが削ぎ落とされた、でも愛嬌のあるカメラだった。検索したら今でもけっこう人気があるらしい。
当時はすでにデジカメ全盛期だったが、近所の写真屋でモノクロフィルムを買って、カメラを携えて街に出てみた。

カメラを持って歩くと、ただぼんやり視覚情報を摂取していた目が、「何を撮るか」と

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