<伝統工芸>木の器をつくる(木地師)堆朱杏奈

木の器を作る職人をしています。産地で8年働いて見えてきた現状、このまま衰退すると思い漆…

<伝統工芸>木の器をつくる(木地師)堆朱杏奈

木の器を作る職人をしています。産地で8年働いて見えてきた現状、このまま衰退すると思い漆器を自分で売り出す事に決めました。 会社経験ゼロの学生上がりの私が なぜ手仕事なのか、なぜ伝統を守らなくてはいけないのか、カタツムリの様にゆっくりゆっくり、でも奮闘している日々をつぶやきます。

最近の記事

自分が信じなきゃ誰が信じるんだ。

毎日仕事や生活に追われる中でやらなきゃいけない事を増やしているのは私自身。 それは手仕事を守りたいと言う気持ちがあるから。だけど毎日毎日やる事の多さや、周りからの反応、期待も含めて自分にのしかかってくる。 正直、重い。 だけど、だけど自分がやらなくて、自分が信じなくてどうする。 弱い私だから、発信は皆んなの為になる事を発信するためのものなんだろうけれど、私は自分の為に書きたい。 信じてとにかく一つひとつ終わらせるんだ。 今はどうなるかわからないけど、とにかく信じよう。

    • 手しごとは「生きる」こと。

      今日は手仕事に対して考えが変わったのでここに記したいと思います。 8年この仕事をして最近やっと見つけた答えです。  物があふれ、テクノロジーが進んだこの世の中でなぜ「手しごと」にこだわるのか?ろくろの世界にも旋盤という機械があります。この機械があれば大量に、安定的に作ることが可能です。ただ、とても技術が必要なので簡単ではありません。 私が旋盤を使わず「手しごと」にこだわる理由、それは私が「生きてる」ことを実感したいからです。  キャンプに例えると想像しやすいでしょうか?わざ

      • 思い出に残っているのはプロポーズのために準備するお客さんのお話し。

        今日はご来店されたお客様で特に印象的だったエピソードについて書いてみたいと思います。 工房に遊びに来てく出さる方は主にご夫婦やお子さん連れのご家族です。 木工ろくろは悲しいかな知らない方が多く、役8割のお客様が陶芸(ねんど)と間違えてご来館されます。それでも中にはきちんと木工ろくろと理解して遊びに来てくださる方もいます。 「結婚式でプロポーズを「一生お味噌汁を作ってください」(だった気がします…汗)と彼女に伝えたいです!!!」というお客さま。 「あぁそれでお椀作りを!」

        • 明後日京都へ行きます。

          なんと、私なんかが明後日京都にて移住についてお話しさせていただくことになりました。 移住するつもりではなかったのですが。人生わからないものですね。 お時間のある方是非遊びにいらしてください! 「めぐる石川」 石川県の各地にUIターンし「まちづくり・食づくり・ものづくり」などの活動をしているコーディネーターとともに、京都・関西から 石川との関わりを見つける企画です。 「食」9/29 石川の豊かな「食と地域」を味わう@京都 「作」10/26 石川の継がれる「ものづくりと地域」を

          ストーリーテリングとデザイン思考アート思考のセミナーを受講して。

          セミナーを受講して学んだこと、腑に落ちたことそれは、「自己肯定と世界は一体であること」。 講師の先生は笠井成樹先生 ハーバード大学マーシャル・ガンツ博士のメソッド「コミュニティ・オーガナイジング」の専門家。 慶應義塾大学SFC研究所 所員(2014 - 2018)。 NPO法人ソーシャルプロデューサーズ代表。  セミナーの内容はざっくり、ストーリーテリングとアート思考について ストーリーテリングとは 人が話を伝えるとき、価値観の理論的な説明のほかに、発信者が過去に経験し

          ストーリーテリングとデザイン思考アート思考のセミナーを受講して。

          「そんなの無理」から、「出来るんじゃない?」にすこーんと頭と心が切り替わった瞬間

          自分でも今の自分にとても驚いています。「出来る」と思うようになったから…。今までの私は「いや、無理でしょ。」しか考えられなかったのに…。そのきっかけを今日は綴ります。  ある日インスタを見ていると、ココナッツオイルブームの発起人「荻野みどりさん」の投稿に目が留まりました。 内容は、荻野さん主催のunite our hope持続可能社会実現を目指したオンラインコミュニティー主催の「give & take market」開催の告知と共に参加店の募集でした。 「開催まで1か月

          「そんなの無理」から、「出来るんじゃない?」にすこーんと頭と心が切り替わった瞬間

          ちょこっと内緒話。自分への挑戦状

          私は木工ろくろをしています。こだわりは昔ながらの手挽きです。同業者のほとんどは旋盤という機械を導入し最後の仕上げをだけを手作業にしています。皆さん口をそろえておっしゃるのが「もう手で挽いてと言われてもできないかもしれない。」と。これは伝統工芸なのだろうかと疑問に思う点です。しかしながら時代の流れを見ると手仕事を残す意義も見いだせないでいます。  課題としては手作りは早く生産することにとても体力を使うというので中々安定した量を作ることが難しいと感じています。 又、もう一つ大きな

          有料
          1,000

          ちょこっと内緒話。自分への挑戦状

          「梅干し」は疲労回復の薬、それはもう魔法の一粒

           私は木の器を作る職人です。木を機械に取り付け回転させ、そこに刃物を当てて削っていく仕事です。この仕事は集中力が欠かせません。少し気が緩むと削りすぎたり、時には怪我にもつながります。毎日来る日も来る日も基本8時間ずーーーーっと同じ作業の繰り返しです。8時間集中し続けなくてはならないのはかなり厳しいものがあります。  集中が切れることもしばしば。面白いもので一度集中が切れるとぷつんと手が止まってしまいます。そんな時に登場するのが私のヒーロー「梅干し」です。梅干しを食べて作業に

          「梅干し」は疲労回復の薬、それはもう魔法の一粒

          少し前の自分が背中を押してくれる瞬間

          こんにちは。 会社員になったことがない学生上がりの職人の私が個人事業主として奮闘している毎日をつづっています。今日は自分でも驚くのですが、少し前の自分が私の背中を押してくれる事がありました。  今私は木の器の職人をしています。この仕事を木地師と呼びます。現代の木地師は一般的に材料屋さんから材料を購入し器に加工し問屋へ卸す事が主流です。しかしこのやり方では林業へお金が渡らず木材は安いままです。そこで私は独自の方法で林業の方から直接原木を仕入れ木へのフェアトレードとして器を加工

          少し前の自分が背中を押してくれる瞬間

          簡単な習慣さえ身につけると自分に小さな自信につながるかもしれない。

          こんにちは。 会社員になったことがない学生上がりの職人の私が個人事業主として奮闘している毎日をつづっています。今日は何事も続かない、何かに挑戦してもすぐにぶれてしまい自己肯定感がすぐに落ちるそんな私が最近きがついた事を書き留めたいと思います。  私が挑戦したこと、ファスティング、Twitter、町のゴミ拾い、華道、写真…。と上げればキリがないほど色んなものに手を伸ばしてみました。どれも長くは続きません。けれどこんな私がたった一つだけ続けられていることが有ります。それは「朝ヨ

          簡単な習慣さえ身につけると自分に小さな自信につながるかもしれない。

          本当の失敗をした。

          こんにちは、いつもお読みいただきありがとうございます。 やる事たくさん、やりたい事沢山出て結局何もできていないツナです。完全に迷子になっています。頭の整理も兼ねて呟かせていただきます。 さて、先日投稿した記事について、 このお仕事、結果からお伝えするとお取り引きをお断りさせていただく事になりました。  理由は責任を持てる器を制作する事が出来なかった事にあります。経緯を書きますと漆が思った以上にに乾かなく、塗りの工程を職人さんにお願いし色サンプルも作ってもらいましたがなか

          さて、乾かない漆をどうしよう

          昨日書いたのは、学生上がりの会社入社経験なしの私が漆器業界で8年仕事、生活をしてみえてきた漆器業界の現状、このままでは衰退すると肌で感じ、自分でコンセプトを考え小売を始める事にした事、そして念願の漆器の小売店先への取引がきまり、デザイン、仕上げ方がきまり、 さぁ、納品という今。 器に塗った漆が乾かない…。 前回書きましたが、漆は湿度80%、温度25度前後の中で化学反応で乾いていきます。器に漆を塗った後は「室(むろ)」という押し入れの様な棚の様な物に置いて大体は一晩置いて

          あぁ。やらかした…。

          私は木の器を作る職人木地師(きじし)をしています。 私は会社に入社経験なく美大や専門学校を卒業した後、親方の元で仕事を始めました。 やはりこの仕事は降ろしが主な仕事ですが、産地で8年仕事をしているとこのままでは衰退すると肌で感じています。 私は指をくわえて見ているだけではダメだと思い、とにかくがむしゃらに足掻きながら仕事を生み出す努力をしています。 念願の小売店に器を取り扱って頂くようになりましたが…。これまた大変な実失態を犯しました…。 今年の夏、取引先と器のデザイ

          木は自分の必要な酸素しか作りません

          このお椀は 林業で切られ、行き場の無い木材から作りました。 木は、光合成を行い酸素を出しますが、木は夜の呼吸や土に還る時に二酸化炭素を放出します。 つまり 「木が出す酸素は±0」 なのです。 したがって自然界以外に人工的に出した二酸化炭素は何処にも行き場がありません。 事実、問題視されている二酸化炭素の量は石油を燃やした量なのです。 漆器は100%天然素材で作る事が可能です。地球に負担のないモノづくりが可能のはずが、 職人が日頃使っている木材は県外の木で、 中には岩手

          木は自分の必要な酸素しか作りません

          大きな木は育てるのにお世話が必要。

          今日のお皿は 「欅の大皿」 このお皿も隣の市のおばあちゃんの木。 製材方法は「縦木取り」です。 縦木取りとは、木口を上下に通す木取りの方法で、道管が(木の血管)縦に通っています。 このお皿は直径21センチ弱です。 こんなにも大きいお皿を作るには単純計算をしても木の直径は47センチは必要です。つまり最低でも50年は欅を育てる必要があります。 実際、木は直径で65センチ程ありました。 欅は直径60センチ育つまでにおよそ70年から150年かかると言われています。 お皿の

          大きな木は育てるのにお世話が必要。

          「伝統工芸」って本当は「未来工芸」だ。

          伝統工芸と聞くと古くから伝わる物、古いものとイメージするだろう。もしかしたら、古臭いと感じる人もいるかもしれない。 しかし、私は本来の伝統工芸をしているものほど「未来工芸」と呼び方を変えるべきだと思う。なぜなら、昔の人は自分たちの材料の確保をと同時に未来の子孫のために材料を残し、あるいは育ててきた。昔の人は常に「未来」を見据えて作ってきたからだ。 それが現代になり昔から伝わっているという理由で「伝統工芸」と呼ばれるようになった。だがどうだろう、現代の「伝統工芸」は本当に未

          「伝統工芸」って本当は「未来工芸」だ。