遠野蜜柑

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記事一覧

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 十一話

「馬飼四天王はこの辺りじゃ最強の代名詞だった……。それはお前も知ってるよな? けど、花園さんが一年生のお前に倒されたことでその威光にヒビが入っちまった。これまで…

遠野蜜柑
12時間前
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トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第3話

「オレたちは下請けなんだよぉ。ガキのエルフが森から出てくるタイミングになるとこの森の出口付近で網張っとけって奴隷商のやつらに言われるんだ」 「どうしてそいつら…

遠野蜜柑
1日前
1

トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第2話

 里を出てから数時間。  ようやく森を抜け、開けた道に出ることができた。エルフの里から森を出るまで半日以上はかかると大人たちには言われていた。これは距離以上に複…

遠野蜜柑
1日前

トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第1話

あらすじヤンキー系金髪美少女の愛車として運送業のお手伝いをしていたトラックである俺は赤信号で飛び出してきた男子高校生を避けようとして電柱に激突。 車体発火を起こ…

遠野蜜柑
1日前
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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 十話

 よく考えたら地球侵略しにきた宇宙人の拠点を壊して謝るのって変だよなぁ。  そう思いながら、ひとまず俺は今後の方針を話し合うため、江入さんを自分の部屋に連れてき…

遠野蜜柑
1日前

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 九話

 風魔先輩の襲撃から二週間が経った。  クラスでの人間関係は変わらずだが、風魔先輩を最後に妙な絡み方をしてくる輩が現れなくなったので俺の高校生活は随分と過ごしや…

遠野蜜柑
1日前
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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 八話

「本当は一人でいるところを狙いたかったが、人通りの少ない場所はこの先にはないのでな」  風魔先輩は俺たちに歩み寄りながら不穏な発言をする。  狙うって何!? また…

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2日前

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 七話

 江入さんに襲撃されてから一週間ほど経った、とある日の昼休み。  缶コーヒーを買いに行くために廊下を歩いていると背後に人の気配を感じた。  いや、人の気配ってい…

遠野蜜柑
3日前

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 六話

 その日の部室は偶然にも俺と江入さんの二人だけだった。  本のページを捲る音が二重奏。  パラパラ……。  すごく静かだ。酒井先輩と鳥谷先輩の騒がしい二人がいない…

遠野蜜柑
6日前
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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 五話

「あたしを狙っていたんじゃないなら、あんたの目的は何なの? まさか擬態じゃなくて本当に人間になってるとは思わなかったけど……あんた、高校に通ってどうするつもり?…

遠野蜜柑
7日前
1

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 四話

「ふふっ、わたしのファミリーになったら下らないちょっかいからは守ってやるからな」 「鳥谷先輩!」  俺は思わず抱擁したくなるくらい感激した。寸前のところで堪えた…

遠野蜜柑
8日前
7

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 三話

 放課後、悲しみのスロウスタートを終えた俺はとぼとぼ下校していた。 「ん? なんだ……?」  背後に殺気立った気配を複数感じる。  これは……後方に10人、20人…

遠野蜜柑
9日前
3

前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 二話

 俺が彼女に渡したのはただの水ではない。アイテムボックスに詰めていたコレクションのひとつ。 『傷や万病を治し、人間の能力を大幅に引き上げる幻の神水』だった。 勝手…

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9日前
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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 一話

あらすじ高校進学のために地方から上京してきた少年、新庄玲央(しんじょう れお)は入学式の前夜、唐突に自分の前世が異世界で無双していた魔王だったことを思い出す。 …

遠野蜜柑
9日前
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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 十一話

「馬飼四天王はこの辺りじゃ最強の代名詞だった……。それはお前も知ってるよな? けど、花園さんが一年生のお前に倒されたことでその威光にヒビが入っちまった。これまで絶対的と思われていた四天王が無名の新入生に負けた事実は他校の連中に隙を見せる形になったんだ」

「ふーん?」

 それでこいつらは今までのお礼参りで追われてたわけ? 幅を効かせていた強者が落ちぶれて狩られる側になる。正直、自業自得なのではな

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トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第3話


「オレたちは下請けなんだよぉ。ガキのエルフが森から出てくるタイミングになるとこの森の出口付近で網張っとけって奴隷商のやつらに言われるんだ」
「どうしてそいつらはエルフが出てくることがわかるんだ?」
 ヒューヒューと呼吸が怪しい感じになりつつある男の襟首を持ってガクガクと揺さぶる。
「そ、そこまでは詳しく教えてくれない……。だけど確かな情報筋だって話してた。これまで向こうから指定された日にエルフ

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トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第2話

 里を出てから数時間。
 ようやく森を抜け、開けた道に出ることができた。エルフの里から森を出るまで半日以上はかかると大人たちには言われていた。これは距離以上に複雑な獣道に足を取られてしまうことが理由なのだが、俺は足元の障害物を容易く踏み潰して進める脚力を持っていたおかげで通常より早いペースで来れたようだ。
「法定速度もないだろうし、初っ端から九十キロくらいだしちゃおうかな……」
 街道をまっすぐ辿

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トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~ 第1話

あらすじヤンキー系金髪美少女の愛車として運送業のお手伝いをしていたトラックである俺は赤信号で飛び出してきた男子高校生を避けようとして電柱に激突。
車体発火を起こして廃車となってしまう。
最後になんとかご主人である美少女を助けようとした俺は女神様に気に入られてエルフとして異世界に転生させてもらうことになった。
転生特典として、トラック時代の強度と走行力を維持したまま……。

トラックがエルフに転生し

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 十話

 よく考えたら地球侵略しにきた宇宙人の拠点を壊して謝るのって変だよなぁ。
 そう思いながら、ひとまず俺は今後の方針を話し合うため、江入さんを自分の部屋に連れてきていた。
「はあ……どうっすかね……」
 江入さんの宇宙船兼自宅はその機能を果たせなくなってしまった。
とりあえずスクラップになったそれは俺の空間魔法に収納して持ち帰ったが、この後のことは何も思いつかない。
「ん?」
 ブブッとスマホがバイ

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 九話

 風魔先輩の襲撃から二週間が経った。

 クラスでの人間関係は変わらずだが、風魔先輩を最後に妙な絡み方をしてくる輩が現れなくなったので俺の高校生活は随分と過ごしやすくなっていた。

 中間テストも丸出さんや結城優紗にノートを見せて貰ったり、勉強を教えて貰ったおかげで無事に乗り越えることができた。

 全教科平均点以上は一ヶ月のハンデありにしては頑張ったほうだと思う。

 停学期間中に自主勉強してて

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 八話

「本当は一人でいるところを狙いたかったが、人通りの少ない場所はこの先にはないのでな」
 風魔先輩は俺たちに歩み寄りながら不穏な発言をする。
 狙うって何!? またストーカーなの!? 都会ってストーカー多いね!
「風魔先輩? どういうことなんですか? こいつに何か用なんですか?」
 結城優紗が訝しむように訊ねた。
「なに、大した用事ではないさ。ただ、そこにいる魔の者を滅却しようと思ってな」
「滅却…

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 七話

 江入さんに襲撃されてから一週間ほど経った、とある日の昼休み。

 缶コーヒーを買いに行くために廊下を歩いていると背後に人の気配を感じた。

 いや、人の気配っていうか俺を追跡してるやつの気配だ。

「おい、何の用だ? 隠れてないで出てこいよ」

「よ、よく気がついたわね……」

 俺に言われて廊下の曲がり角から出てきたのは赤みがかった茶髪の美少女。

 久しぶりに会う結城優紗だった。

「やれや

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 六話

 その日の部室は偶然にも俺と江入さんの二人だけだった。
 本のページを捲る音が二重奏。
 パラパラ……。
 すごく静かだ。酒井先輩と鳥谷先輩の騒がしい二人がいないとこんなもんか。
「ふむ……」
 ボクシング部のバーベルが視界に入った。
 ちょっと筋トレしてみるか。
 床からバーベルを持ち上げる種目。デッドリフトってやつをやるぞ!
 ガシャンガシャン。
「…………」
 魔王の力を持つ俺からすると、部

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 五話

「あたしを狙っていたんじゃないなら、あんたの目的は何なの? まさか擬態じゃなくて本当に人間になってるとは思わなかったけど……あんた、高校に通ってどうするつもり?」

「どうするって……別に?」

「別にってなによ!」

「いや、だって特に事情がなければ大半の中学生は惰性で進学するだろ?」

 将来のこととかはそこまで考えず、とりあえず進学する中学生のほうが多いはずだ。

 高校進学時にその先の進路

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 四話

「ふふっ、わたしのファミリーになったら下らないちょっかいからは守ってやるからな」

「鳥谷先輩!」

 俺は思わず抱擁したくなるくらい感激した。寸前のところで堪えたけど。

「ただ、その前に……さっきは逃げててよくわかんなかったからな! 君にどれほどの力があるのか確かめさせてもらうぞ!」

「えっ?」

 鳥谷先輩はスカートを捲って伸縮式の金属トンファーをどこかから素早く取り出すと、そのまま俺の顎

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 三話

 放課後、悲しみのスロウスタートを終えた俺はとぼとぼ下校していた。
「ん? なんだ……?」
 背後に殺気立った気配を複数感じる。
 これは……後方に10人、20人……もっとか?
 そこそこの集団からストーキングされていた。いや、でも勘違いって可能性も――
 試しに走って逃げる。すると、
「あ、逃げたぞ」
「追いかけろ!」
「花園さんの仇討ちだ!」
 やはり俺をつけていた。恐らく花園の子分たちだろう

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 二話

 俺が彼女に渡したのはただの水ではない。アイテムボックスに詰めていたコレクションのひとつ。
『傷や万病を治し、人間の能力を大幅に引き上げる幻の神水』だった。
勝手に実験台にしたのは申し訳ないけど死にたいって言ってる人だしさ。ワ
ンチャン病気が治るかもしれないんだから別にいいよねっていう。
 ちなみにこの『傷や万病を治し(以下略)』の瓶はまだ×999以上ある。
 彼女に使って効果があれば、いざという

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前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい 一話

あらすじ高校進学のために地方から上京してきた少年、新庄玲央(しんじょう れお)は入学式の前夜、唐突に自分の前世が異世界で無双していた魔王だったことを思い出す。
記憶の復活と共に魔王時代のチートパワーも取り戻した玲央。

その力のせいで彼は学園の四天王と呼ばれる不良たち。
異世界帰りの元勇者。
地球を侵略するために潜伏していた宇宙人など。

様々な連中から目をつけられるハメになってしまうのだが……。

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