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雑誌『土の香』を読んでいた?南方熊楠

 『柳田国男の歴史社会学 続・読書空間の近代』佐藤健二(せりか書房, 2015年)』に収録されている昭和前期の民俗学関係雑誌のリストによると、昭和前期までに発行された『土の○○』という書名の民俗学関連の研究、蒐集の雑誌は、本山桂川の編集していた『土の鈴』、飯尾哲爾の『土のいろ』梅林新市『土の色』、加賀紫水の『土の香』がある。この中で南方熊楠は『土の鈴』、『土のいろ』に投稿、購読していたことが知られているが、『土の香』の一部も読んでいたようである。南方熊楠顕彰館の「所蔵資料・蔵書一覧」で検索してみると、南方の蔵書の中に『土の香』の「甲賀三郎乃伝説」(趣味叢書第1篇、土俗趣味社、1932年)がある。「甲賀三郎乃伝説」の著者は民俗学研究者・出口米吉であり、『土の香』ではあるが実質は出口の単著である。私もこの本を持っているので、以下に写真を掲載しておきたい。

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南方と出口は性に関する民俗、伝説や昔話など共通の関心を持っており、交流もあったので、出口の著作を読んでいたのだろう。南方が『土の香』の他の号を読んでいたかどうかは分からないが、少なくとも「甲賀三郎乃伝説」を通して『土の香』の存在は知ってたものと思われる。

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