コーヒーと音楽 Vol.13

Nick Drake - Saturday Sun

追記：貼り付けていた動画＋歌詞は削除しました（2022/08/20）

ニック・ドレイクの1969年発表のデビューアルバム Five Leaves Leftに収められているSaturday Sunをこの土曜日に紹介します。

秋の週末は、夏の週末とは違います。冬の前の一呼吸の週末。木々の葉は紅葉を迎え、この時期にしか見せない美しさを運びます。運ばれた美しさはやがて土に還り、次の美しさの準備をはじめるのです。

僕は深く呼吸をして、目を閉じます。久しぶりの太陽を感じながら。あたたかく優しい日差しの中に包まれて。

そんな情景をそのまま含んだ曲が、今回紹介するニック・ドレイクのSaturday Sunです。彼のデビューアルバムの一番最後に収録された曲。この曲ももしかしたら今日のような土曜日につくられたのかもしれません。

ニックはどんなことを考えていたんだろう。哀愁も漂いますが、僕はやわらかく包み込む温かさの方をむしろ感じます。

YouTubeには自宅のピアノで歌うSaturday Sunの動画があります。Youtubeコメント欄には、Nina Simoneがこの曲をカバーしているのが聴こえるという投稿がありますが、まさに。

↑アンリ・カルティエ＝ブレッソンの決定的瞬間のような写真がCDジャケットの内側に。ニックは忙しい世界をずっとじっと見つめていたのでしょうか。享年２６歳。あまりにも短い人生でした。

ニックは紅茶を勧めるかもしれないけれど、僕は浅煎りのコーヒーを飲んで彼の音楽を聴きながら、人生で今日しかない2020年10月24日の秋の土曜日を過ごしたいと思います。

みなさん、良い週末を！

ファイヴ・リーヴス・レフト(紙ジャケット仕様)

追記:Saturday SunのSunはSundayにかけているのに今気づきました。アーティストはいろんな仕掛けをしているんだな〜。