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街で困ってる人、助けますか?

FROM 安永周平

ちょっと想像してみてください…

あなたは今、電車で7人掛けのイスの真ん中に座っています。そこへ、両腕に松葉杖をついた人が乗ってきました。立っているのはツラそうなので、席を譲ってあげた方がよさそうです。ただ、この場合あなたが席を譲ってあげて終わり…という簡単な話ではありません。真ん中に座っていた人が席を譲ってくれても、困ってしまうことがあるのです。

席を譲ってあげる際の気遣い


というのも、その人が席に座るためには、後ろを向いて、2本の松葉杖を片方の脇の下に束ねて座る必要があります。電車が止まっている時なら大丈夫ですが、走り出すとサッとは座れません。バランスを崩して窓ガラスに手をついて、どうにもならなくなってしまう可能性もあります。

そういう時は、席を譲った人がちゃんと座れるまで面倒を見てあげるか、もしくは座席の1番端の席の人まで順々に真ん中の方に詰めてもらって、端の席を空けてあげなければならないのです。電車の座席の端には天井まで伸びる鉄の棒がありますから、端の席を空けてあげれば、足の不自由な人は棒につかまりながら座ることも、立つこともできます。

街で盲目の人が困っていたら…


さて、もう1つ考えてみてください。あなたが街を歩いていて、両目が不自由な人が困っている状況に出くわしたらどうするでしょうか。

こういう時、多くの人はオロオロしたり困った顔をしたりする人が多いと思います(僕もそうですが)。ちなみに、道の真ん中で目の不自由な方が杖をトントンとついているのは「どっちへ行けばいいのか分かりません。教えてください」という合図なのだそうです。

そして、そんな時に僕らが「あぁ、右へ曲がってください」とか「左へどうぞ」と説明してもダメなんだそうです。これ、実際に街中で目をつぶってみればわかりますが、音がどっちの方向から来るかってほとんどわかりません。声だけで右、左…と指図されても、その人は自分の向いている方角すらよくわからないんですね。

気遣いができる人、できない人…


こんな時には、声をかける前に必ず不自由な人の手を握るか、あるいは肩に自分の手を乗せて身体を正しい位置にしてから教えてあげないと、せっかくの親切が役に立たなくなってしまいます。ただ、このようにすれば目の不自由な人も、これからこの人が安全な道を教えてくれるのだという心の準備ができます。

何が言いたいのかと言うと、先の座席を譲る、あるいは目の不自由な人に道を教えてあげるためには、優しさと勇気の他に「思いやりの技術」が必要だということです。これまた、先日紹介した名著『気くばりのすすめ』の中で書かれている内容ですが…現在の日本こそ、この技術を持ち合わせている人がどんどん減っているような気がしませんか?

スローガンだけじゃ何も変わらない


「お年寄りを大切にしましょう」「目の不自由な人に席を譲りましょう」…なんていうのは、ただのスローガンに過ぎません。スローガンだけでは何の意味もありませんし、人の行動が変わることはありません。人に対する思いやりの技術をちゃんと身につけて、正しい知恵や知識のもとに行動してはじめて価値が生まれるんです。

「知りて行わざれば、知らざるに等し」という言葉があります。いい話を聞いた…だけで終わって、結局は自己中心的で本当の人間らしい行動力に乏しいのでは、本当に”知らない人”と何も変わりません。むしろ、知っていて見て見ぬ振りをしているなら、知らない人より悪いのかもしれません。

役立つ知識と思いやりの技術


ですから、僕らは知識を得て、それを実践する技術を見につけ、思いやりのある人間に自分を近づけていかなければならないのではないでしょうか。 繰り返しますが、具体性のないスローガンでは、自分の行動はもちろん相手に提供できる価値も変わりません。優れた知識を得て、それを実践する中で”技術”として身につくから成長するんです。

いきなり難しいことから始める必要はありません。仕事で言うなら、お客様に手紙を書く…といった小さなことでもいいんです。相手を思い、そのために時間を取って、できれば手書きでお礼の手紙を書いてみてください。これ、個人的な経験から言っても本当に喜ばれます。LINEやメールで済ます人が多い中で、アナログな手紙を送ったらインパクト絶大です。

テクノロジーの進化が目覚ましい時代ですが、こうした時代だからこそ「思いやりの技術」を持った人は、覚えてもらえますし、気に入られますし、信頼されます。繰り返しますが、難しいことではありません。小さなことを実践し続ける人が、その技術を身につけるんです。

慣れてくると、もう習慣になりますけど…習慣となった技術ほど強いものはありませんよ。ぜひ、小さなことから始めてみてくださいね。

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