見出し画像

【BCGが解説する 地銀の未来】地元から離れず、企業・産業誘致を! 脱炭素支援や新事業創出へリスクテイクを期待。

世界で活躍するコンサルティングファームの目に、地域銀行の未来はどう映っているのか。そして、地域銀行の生産性を引き上げるためには何が必要なのか。ボストン コンサルティング グループ(BCG)の久保直人・マネージング・ディレクター&パートナーに解説してもらいました。

久保さんは、「地元でのプレゼンスを高め、他地域の収益取り込みや銀行・企業と基盤共有を行えば、自らの新たな強みにできる」と話します。(金融ジャーナル編集部。2024年4月号「生産性向上 地域銀行の挑戦」掲載分を一部再編成、肩書き、数字等は掲載時点)。
同じ特集記事のA.T.カーニーへのインタビューはこちら



地域銀行の未来を創るには

——「地域銀行の未来」をどのように見ていますか。

地域銀行を取り巻く経営環境は激変している。未来を考える上では、まずはこの変化を押さえる必要があるだろう。主なドライバーは3つあるが、最も大きいのはやはり地域の人口減少だ。人口減少は需要や労働力の減少につながるため、企業経営にダイレクトに影響し、地域の産業が弱る要因になる。これにより地域銀行のビジネスは、法人、リテールともに縮小してしまうリスクがある。

2つ目はデジタル化だ。特にデジタル技術の革新はいつでもどこでもアクセスできる新たなチャネルを生み出すことで場所の制約をなくし、“地域”という概念を薄めている。また、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のようなデジタルと金融の新たな展開も従来型の銀行の存在意義を脅かすものとなり得る。

3つ目はサステナビリティ、脱炭素対応の必要性の高まりだ。世界でビジネスを展開する自動車産業や製造業などのTier1企業では、脱炭素への意識が急速に高まっており、

ここから先は

3,562字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!